有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JACS ASAP

2005-06-15 08:16:28 | 新着論文
Alkali Metals plus Silica Gel: Powerful reducing agents and convenient hydrogen sources

シリカゲルへNa2Kアロイを吸着させ、その還元電位やハンドリングがコントロールできるという報告。
関口先生の珪素珪素三重結合もカリウムグラファイトという温和な還元剤を用いることで成功しています。還元剤の還元電位を制御でき、容易に調整できる手法という点で実用化されれば安全にかつ使える還元剤の種類が増えそうです。実際調整できるか?と言われると、ノウハウがないと挑戦する気になりませんが、ある程度データがそろえば広く使われる試薬になると思います。

以前Inorg Chem で植木鉢に土と廃棄ナトリウムをいれ、土をかぶせて、そこから水を吸収させて安全に廃棄するという論文があり、シリカゲルで一回だけ代用したことがあります。確かに安全でしたが、万が一のことがあったときを考え、ルーチンのつぶし方に戻しています。

Chem Eng News 2005, 83, 34 (May 23 2005)

2005-06-15 08:03:02 | 記事
Fighting Lab Fires

http://chemstation.livedoor.biz/archives/24452463.html
こちらのサイトでの記事紹介をみて、おっかないなぁと思い読んで見ました。
効率最優先で行っている自分の安全意識は、企業にいけば即指導もののことを結構やらかしています。注意するところはしているつもりですが、そのルーチンが事故原因になることを意識しました。帰るときにブレーカーを落とし忘れたり、廃液タンクのふたを閉め忘れたり・・・この記事を読んで注意する気持ちになりました。

理研の火事ですが、噂できいたところ、trap to trapでカリウムミラーを乾燥剤に使っていたところ、実験者が冷却して、室温に戻りきる前に席を離れてしまったそうです。運の悪いことに溶媒の上からでなく、下から溶け始めそのためガラスが割れてカリウムがころりん。あたりにとびちった有機溶媒。空気に触れてカリウム発火、飛び散った有機溶媒が燃え、さらに実験室の溶媒に燃え移ったそうです。 やはり温度変化のあるものは定常状態になるまでは離れてはいけないなと再認識しました。
そういえば、結構冷却反応はルーチンで行いますが、自分はアセトニトリル、イソプロパノール、メタノールを-40 -78 -98の目安で使っています。四塩炭は環境に悪く、アセトンはイソプロパノールより蒸発しやすそうなので、使わないようにしています。一方で-98でエーテルでやるアメリカ人がいました。まぁ液体窒素とエーテルを使ってくれたそうで隣の研究室までエーテル臭。メタノールでやってくれといえば、毒性があるからいやだ。 不覚にもエーテルとメタノールの毒性本で調べてしまいました・・・即答できなかった自分が情けない・・・。そんなことより、このときも部屋のどこかで、ショート程度の火花が出てれば事件になっていたと思うとぞっとします。