「回らない」風力発電で監査請求 揺らぐ“理想の事業” /茨城

つくば市が、04年度から3カ年計画で市内の小・中学校全52校に小型風車75基を設置する「まほろば事業」で、期待していた発電量を得られていないとして、市民団体が市原健一市長らに事業費約3億円の弁済を求める監査請求を起こした。環境教育と、消費電力の削減の両面を持つ理想の事業が、大きく揺れている。【栗本優】
(毎日新聞) - 2月3日11時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060203-00000070-mailo-l08

つくば市の小・中学校風車が回らないという問題。
気になったのでいろいろ調べてみた。
参考サイトはこちら

つくば市まほろば事業
http://www.tsukumaho.net/about_f.html
小型風力発電機による環境教育
http://www.asahi.com/ad/clients/waseda/opinion/opinion157.html
ずさんな、つくば市の風力発電計画
http://tanukur.blog8.fc2.com/blog-entry-392.html


まず、風車は「ダリウス・サボニウス併結形風力発電機」でその名の通り
ダリウス型とサボニウスを組み合わせた物。
ダリウスだけでは初期起動が難しいのでサボニウスを付けたよう。

直径5.3m 定格出力10kW 定格風速15m/s

直径は5.3mと割と大きい。私は1~2mくらいの物を想像していたが。
ここで気になるのは定格風速。15m/sというのは、ちょっと高すぎる。
普通の場所ではなかなか15m/sもの風は吹かない。
小型の風車だと、定格風速は12m/s程度が多い。

風力発電機 エアロゼン2風力発電機 エアロゼン2
定格風速10.5m/s

家庭用風力太陽光ハイブリッド発電システムOWL(アウル)家庭用風力太陽光ハイブリッド発電システムOWL(アウル)
定格風速12.5m/s

カットイン風速は2m/sなので、低風でも発電できるよう。
ただ、これでも回っていないということは、かなり風が弱い地域ということか?
一部で、回すのに電気を使うアシスト付きの機種か?と言われているが、回って
いないことから、違うと思う。少なくとも電気を浪費することはないだろう。
(監視システム等の電力は別として)

定格出力10kW 定格風速15m/s ということから、発電効率を計算してみた。
ダリウス型の受風面積の計算が分からないので、直径5.5mの円を受風面積に
している。
発電効率、パワーの計算はこちらを参照下さい↓
ソフィアエンジニアリング株式会社
http://www.sophia-eng.com/kindofwt/kindofwt2.htm

結果は、Cp=0.20 風の力全てを1としたとき、20%が電力に変換できる。
大型風車でCp=0.3程度なので、これは妥当なところだと思う。

さて、それでは、この風車75基から、どの位の発電が見込めるか?
24時間、365日定格風速の15m/sの風が吹くと、631万kwh。
つくば市全小中学校での年間電力を全てまかなえます。
もちろん、15m/sもの風が吹かないですが。。。

計算すると
風速3m/s では 5万kwh
風速2m/s では 1.5万kwh

2m/sの時には、試算の60万kwhと比べると約2.5%となる。
実績は4ヶ月で0.2%程度とのことなので、これでも多い。

つくば市の風況が分からないが、一般的に平均風速は2~3m/s程度。
60万kwhというと、発電量が大きすぎるのが分かる。
さらには、風の全エネルギーは風速2m/sで年間25.3万kwh。
試算の数字におかしいとは思わなかったのか。。。

早稲田大学では、試算に直径15mの風車を用いたことを明らかにしている。
直径15mでも、Cp=0.2で60万kwh見込むには風速3.5m/sが必要。
2m/sのカットイン風速でも回っていないことから、別の出力特性で計算
したのか、平均風速を高く見積もったのか、または、もっと詳しく計算すると
こうなるのか。。。

どちらにしろ、この見積もりがおかしいことは明らか。
「環境」という名前を使った無駄な公共投資、談合、詐欺か?

私が行ったのは簡単な計算なので、実際にはもっと効率が良いのかもしれない。
特に発電特性図、低速時の出力が分からなかったので、Cpは全ての風速で同じと
している。
それでも、ちょっと計算してみるとおかしいのは分かる。
市民団体も報告書を鵜呑みにせず、少し計算するべきだったのでは?

もちろん、もっと悪いのは業者、早稲田大学、つくば市ですが。。。

つづく


参考文献
風車工学入門―基礎理論から風力発電技術まで牛山 泉
風力発電技術―地球環境新時代を迎えて 先端技術で飛躍する風力発電清水 幸丸

(計算等おかしな点があればお知らせ下さい)

コメント ( 8 ) | Trackback ( 3 )
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コメント
 
 
 
はじめまして (tanukur)
2006-02-03 22:03:40
 トラックバックとコメント及び、記事内引用ありがとうございました。



 風力発電としては、私も1~2mの小型のを想像していたら、かなりでかいのでビックリしました。それにしても消費電力量が発電量を上回る理由がよくわかりませんよね…(憶測ばかりで確かな情報がない)。



 市の方も早大の方に改善策を求め、三月議会までに回答するよう求めるとか発言してるけど、どうなるんでしょう(´・ω・`)



http://www.tokyo-np.co.jp/00/ibg/20060202/lcl_____ibg_____000.shtml

 
 
 
Unknown (mizu)
2006-02-05 11:03:40
tanukurさん。コメントありがとうございます!

私は風力発電好きなので、こんなことになるのは

非常に残念です。



つくば市の議会はどうでしょうね?

どう考えてもつくば市も片棒を担いでいる気がします。
 
 
 
怪しい風車です (笹研)
2006-03-05 14:12:12
はじめまして。



何年か前風車に興味を持っていて、いろいろと勉強し、自分で作ったりしたことがあります。



サボニウスでダリウスをアシストする風車は、特許では良く見かけるのですが実物を見るのは初めてでした。



ご指摘のソフィアエンジニアリング株式会社のデータからもわかるように、一般の風車は定格の風速で効率が最大になるように作られていますから、低風速での効率は定格をかなり下回ると考えて良いと思います。



さらにデータに表れる効率は、風速が一定で定常的な回転をしている状態での数値でしょうから、特に短い周期の風速変動が大きければ極端に悪くなるでしょう。



サボニウス+ダリウスの風車は、互いに助け合って欠点を補い合うようにも見えますが、見方を変えれば互いに邪魔し合って長所を消しているようにも見えます。



私はこの風車自体の実用性を疑っています。
 
 
 
Unknown (mizu)
2006-03-05 18:50:19
笹研さんこんにちは!コメントありがとうございます。



そうですね。やっぱり低風速での効率は下がりますよね。

データがないのではっきりしないのですが。。。



ダリウス風車は普通自己起動しないので、サボニウスを付ける。というアイデアは時々見ます。

多分、サボニウスで起動し、ダリウスが安定するようになれば、連結を解除して、サボニウスを切り離すのではないかと思います。そうでないと、サボニウスの分、かなりの抵抗になってしまうので。



特許電子図書館で、「ダリウスロータ及びそれを用いた風力発電装置」という特許を見つけました。早稲田の名前は入っていませんが、多分、これが問題の風力発電だと思います。



つくばの風車自体はどうか分かりませんが、この特許では

「ダリウスロータが定常回転している際には、通常、サボニウスロータの回転速度は、ダリウスロータの回転速度より低速となるため、ダリウスロータの可動軸4とサボニウスロータの可動軸5の連結は解除されている」となっています。



発電効率もそんなに悪い訳ではなく、この風車自体と言うよりは、設置のされ方、費用に問題があると思います。
 
 
 
小さい風車なら良かったかも (笹研)
2006-03-05 19:32:19
なるほど、回り始めたら切り離すわけですね。



それなら回転の負荷になりませんが、やはりサボニウスが中心に居座って、一番おいしそうな中心の風を遮っているのが気になります。



恐らく余計な物が付いていないダリウスに比べれば、かなり性能が劣るのではないでしょうか。



むかし見よう見まねでダリウス風車を作ってみたことがあるんですが、結局うまく回りませんでした。プロペラ型なら素人の工作でもとりあえずは回りますが、ダリウス風車の原理はちょっと難しいので、かなり精密な設計と工作が必要と感じました。ただでさえデリケートで難しいのに、障害物があって風を乱されては、はたしてちゃんと回ってくれるのだろうかと思ったのです。



サボニウスを邪魔にならない別の位置に付けるとが、回り始めたら動いて隠れるとかいう機構があればいいのですが。



もう一つ気になるのは大きさです。障害物のない田舎ならともかく、風速変動が大きい街中では、ローターの慣性モーメントが小さい小型の風車がレスポンスが早く有利と思います。ところが設置されたものは直径5.3mと大きい。これでは効率の高い回転数に達するまでに風速が変わってしまいそうです。



まあ全く回らないのであればそれ以前の問題ですが、慣性モーメントが小さい小型風車であれば始動も容易でしょう。また小さければ値段も安いでしょうから、だめでも損害が少く済みますし。
 
 
 
Unknown (mizu)
2006-03-05 20:58:16


確かに、余計な機構が付いている分、ダリウス単体より効率は悪くなるでしょうね。



ダリウス風車を作ったことがあるんですね。

ダリウスは翼型を作るだけでも大変だし、適切な迎え角に設定するのも難しいと思います。その分、ちゃんとできると効率が良いのでしょうが。私は実物を見たことがありませんが個人的には、美しく無駄のないデザインで好きです。



大きさの問題は、つくばの風車の問題の核心部分だと思います。

学校に設置する以上、大した風力は期待できない。それなのに、5mもある大きな風車を選んでいる。多分、機種の選定などしてないのではないかと思います。



小さくて、弱い風でも回る風車は他にもあります。どうして、早稲田に調査依頼し、早稲田が作った風車を選定したのか。これが鍵ですね。





 
 
 
+1m/sの意味 (笹研)
2006-03-06 04:09:16
ご指摘の

http://tanukur.blog8.fc2.com/blog-entry-392.html

によると、本計画策定調査報告書では、風速が実測値より毎秒1m強く設定されているとあります。

この理由を推理すると風車が回らない理由が見えてきました。



http://ww7.tiki.ne.jp/~fshino/fuuryoku.htm

に掲載されている風車の発電特性によれば、風速2mでは発電量はゼロです。好意的に解釈すれば、極微量でグラフ上ではゼロに見えるだけかもしれませんが、全く回っていないと解釈することも出来ます。たぶん後者でしょう。



「カットイン風速は2m/s」というのは、2m/sから回り始めるのではなく、2m/sまでは回らないと解釈すべきなのでしょう。



このグラフのデータは1m/sおきに計測しているようで、風車が回り始めた最小風速の測定値が3m/sだったから、存在する最小発電量のデータとして3m/sの値を使って計算するしかなかったが、「カットイン風速は2m/s」を2m/sから発電するという意味だと思っている人に、「実は2m/sでは回らないんです」と正直に言えなくて、しょうがないから3m/sの最小発電量の値を2m/sの数値のように言ってしまったのではないでしょうか。



風車が回る最小風速のデータが3m/sからしかないと言うことは、本当はどこから回り始めるかはわからないわけで、ひょっとすると2.5m/sでも、あるいは2.9m/sでも回らない可能性すらあるわけです。



悪気のない嘘かもしれませんが、この手の嘘なら見抜けますよねえ。

 
 
 
Unknown (mizu)
2006-03-06 22:43:56
笹研さんこんにちは。発電特性図あったんですね。

私は、風車としては悪くはない。という立場だったんですが、データがねつ造されていたなら、話は別です。



実際のカットイン風速、起動風速は実機で実験するしかないんじゃないでしょうか?法廷で明らかになるでしょうか?まだまだ注目です。

 
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