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ベトナムの子どもたちに奨学金を――FUJI教育基金

ベトナム南部・北部の中学・高校生、大学生に奨学金を贈って勉学の支援をしています。

ベトナム奥地・中部高原地帯の中学校(1)

2012-04-15 | ベトナム奥地・中部高原地帯の中学校

 ルーンさん(FUJI教育基金代表)たちの友人で、長年ホーチミン市に住んでいる長谷川義春さん(奥様はベトナム人)が、最近、ベトナム奥地(中部高原地帯にあるコントゥム省[Tỉnh Kon Tum, 崑嵩省])で、中学校の寄宿舎を作りました。

 その「報告書」と新聞記事(日本語訳)が届きましたので、8回に分けて紹介します。
 オリジナルは、
   http://www.erct.com/1-TinTuc/Sinhhoat/NgocTem/Report-4.htm :長谷川義春 (2012年2月)
で見られます。


  私(長谷川義春さん)は、ベトナムの子どもたちの勉学環境をなんとかしたいと思い、メコンデルタ河口付近の寒村(チャビン省チャクー郡)での竹と木の葉で出来た校舎を建て替えようと、準備をすすめていました。

 しかし2010年7月、この計画を止めて、メコンデルタ河口付近よりももっと貧しいベトナム中部山岳地方の学校に寄宿舎を作るという方向へ、方針を転換しました。
 「トゥオイ チェ」新聞にその旨の連絡を取ると、早速、新聞社から
  「候補地として、この学校はどうか?」
という返事とともに、5枚の写真と、同紙記者が調査した《寄宿舎建設候補地調査報告書》が送られてきました。

 まず、その《報告書》を以下に要約します。

         ………………………………
《寄宿舎建設候補地調査報告書》

 私(記者タイ バー ズン)が調査に当たったのは、コントゥム省内でも最も生活困難な地域であるコンプロン郡ゴクテーム村(*訳注1)の中学校。
 高い山の上という地理的条件によって、この地域の気候条件は非常に厳しい。
 この学校は、コンプロン郡内で最も中心地から遠い地域にあって、生活や勉学条件が困難な2校のうちの1校とされている。

 ゴクテーム中学校は、コンプロン郡の中心地から35キロメートル離れたところにあり、そこに行くための道路は、山の斜面を削って作られた非常に通行が困難な道である。
 学校の生徒は100%少数民族の子供たちで、生活は非常に困窮している。
 起伏に富んだ地形で通学が極めて困難なため、ゴクテーム中学校はそれぞれ離れた村落に、分校を10校持っている。
 本校の近辺に住んで毎日通学できる中学生の数は数十名。
 残りはすべて本校から何十キロも離れた村落の出身者で、いちばん遠い村落から学校まで歩くと、片道半日(*訳注2)以上かかる。
 学校に至る明確な道すらない村落もある。
 そういった村落の出身者178名が、本校の仮設宿舎に入って勉強している。

 慢性的な食糧不足のほかに、ここの生徒にとって緊急に必要なものは、“衣服”と“宿舎” である。……

 *訳注1:コントゥム省は、ベトナム中部を南北に伸びるチュウンソン山脈南端の省。
 面積の約70%を森林(すなわち山地)が占め、農地は14%しかない、国内有数の貧しい省。
 コントゥム省の人口密度(1平方キロメートル当たり)は、ベトナム全体の平均の257人に対し40人(2006年調査)で、ベトナム北西部のライチャウ省とともに、国内で最も低い。
 チュウンソン山脈最高峰のゴクリン山(標高2,598メートル)は、コントゥム省内にある。
 コンプロン郡ゴクテーム村の中学校は、省内東端の山上に位置し、渓流を挟んで東がクアンガイ省となる。
 コンプロン郡の人口密度は12人(2004年調査)で、コントゥム省内でもかなり低い。
 資料はないが、そのコンプロン郡内においても最も生活困難な遠隔地ゴクテーム村となれば、人口密度はおそらく1平方キロメートル当たり数人以下の、全国でも有数の極端な過疎地であるだろう。
 過疎地の学校は、必然的に学区(子供たちが割り当てられた学校に通学すると定められた区域)が極端に広くなり、通学路も延びるので、事実上、通学不能の生徒数も多くなり、それだけ寄宿舎の必要度も高まる。

 *訳注2:この場合は、昼間の半分、すなわち約6時間を意味する。

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