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【サッカー】ベスト8 その1

2010-07-03 | サッカー・ワールドカップ

 南アフリカ大会も残すところ僅か。

◆オランダ 2-1 ブラジル ~脆くも崩れ去ったハリボテの規律~


 こりゃ大変なことになったな……。正直、僕を含めた大半の人って、ブラジルの強さを「試合の状況がどうなろうとブラジルはブラジルである」というところ(=推測)コミで評価していたと思うんですけど、リードを奪われたカナリア軍団の醜態ったらもー言葉にできないくらい酷かったですね。まあ「ブラジルってこんな糞メンタルだったのか」と考えるのではなく「ブラジルですらああなってしまうのがワールドカップなんだなあ」と考えたほうが正解っぽいですが。
 試合は前半完全にブラジルがペースを握ります。何度も書いてるようにオランダは、自陣深いところにボールがあるときの守備は安定しているんですけど、中盤にボールがあるとき最終ラインが崩れることが多く、この試合最初の得点もその隙を突かれた形。その時間帯までは拮抗した好ゲームでしたが、フッと生まれた一瞬の空白期をブラジルは見逃さず、ハーフウェイライン付近からの足の長いスルーパスにロビーニョが抜け出しダイレクトでテクニカルなシュートを決めます。
 このあと、オランダは意気消沈してしまったのか前にボールを運ぶことができず、ロッベン、ファンペルシ、カイトの三人はほとんど仕事ができません。スナイデルにボールが入らないので全くリズムが作れないのに加え、オフザボールの動きが皆無でピッチに閉塞感が生まれていました。ここで追加点を奪われていたらほぼ試合は終わっていましたが、対するブラジルも徐々に攻撃の工夫がなくなってきて、オランダはそれに助けられた形。カカのシュートは紙一重でしたが、結果的にあのシュートがこの試合の分岐点になりましたね。やっぱオランダは自陣深くまでボールを運ばれるとしぶといから、もうちょっと最終ラインの弱点を踏まえた攻撃を仕掛けたほうがよかったんじゃないかなと。リードしたことで少し緩んだのかなんなのか、手数をかけすぎていたなあ、ブラジル。
 そして後半に入っても同じ流れが続くのかと思ったら、いきなり試合が動きます。前半完全に封じ込められたスナイデルが右サイドで切り返してからのクロス。すごく苦し紛れに見えたんですけど、これが実にいいところに飛び、オウンゴールを呼び込みます。あれはクロスを蹴ったスナイデルもすごいけど、「この体勢なら蹴らせても問題ねーだろ」みたいな守備の緩慢さを感じたなあ。今大会のブラジルの失点って、どれもこれも褒められたものではなかったですけど、決勝トーナメントではこの緩みが致命傷になりましたね。
 オランダは初戦のデンマーク戦に続き、オウンゴールが停滞ムードを切り裂きます。追いついたほうに勢いが出ることはサッカーではありがちですが、前半あれだけ隙のない守備をしていたブラジルに徐々にスペースが生まれはじめ、ロッベンやカイト、スナイデルが巧くボールを持てるようになります。特に後半のロッベンの出来は出色で、対面のバストスをチンチンにしてました。オランダは仕掛けた流れでコーナーキックを獲得し、カイトが絶妙のフリックオン。中でマークを外したスナイデルが逆サイドにヘッド。これで逆転。
 ここからは、セルフコントロールを失ったブラジルがボールを回すこともできず、メロがロッベンを踏みつけて退場になり、もうボロボロ。オランダもDFの選手がカードを貰いまくってて、かなりギリギリの試合だったんですけど、最後の最後まで粘り強いプレイを徹底していたので、頭に血が上ったブラジルにこれ以上の失点を喫することはありませんでした。
 なんつか、ドゥンガはリードされたときのプラン全く考えてなかったんじゃと思えるほど戦術の引き出しがありませんでした。ブラジルは自分らのプランが崩されたときの戦い方が拙すぎて逆に吃驚。オランダはたしかによくやりましたけど、それよりむしろブラジルの自滅っぽい雰囲気の漂う試合でしたね。
 ともあれ、個人的には最初から最後まで献身的に動いて得点にも絡んだ、オランダの矢野貴章ことカイトにMOMをあげたいです。


◆ウルグアイ 1(4PK2)1 ガーナ ~死闘~


 やべーやべー、この試合はやべー。今大会ここまでで一番スリリングだったかも。もちろん得点シーンはどちらも素晴らしいゴールなんですけど、PK戦とそこに至る展開は熱かったんですけど、何よりも一試合通してのガーナのブレなさっぷりと、ウルグアイの「どうやって相手を出し抜こう」と考え続ける姿勢がやばかった。両チームとも明らかに90分で試合を決めにいってたので、そういう意味でもヒリヒリするような緊張感ある攻防が楽しめました。
 立ち上がりから前半にかけては、どちらかというとウルグアイペース。この試合はフォルランがマジでキレキレ。これまでは黒子に徹する印象が強かったんですが、ドリブル、トラップ、キック、そしてオフザボールの動き全てがハイレベル。10番に相応しいプレイでウルグアイを牽引していました。ウルグアイの何が素晴らしいって、選手一人一人の持つバランス感覚がものすごく優れてますよね。例えばボランチがボールを奪ったあと、体勢を崩して前に出て行けなかったシーンがあったんですけど、そのときに右サイドの一番後ろにいた選手がガーッと上がって攻撃の厚みを増したんですよ。ウルグアイはどちらかというと左サイドのほうが積極的に上がっていただけに、ああいう「今は攻め上がるべき」という判断を的確に下して実行できるのはすごいと思いました。全員がチームのバランスを考えて動けているよなあ。
 ガーナはギャンが規格外すぎる。後ろからきた難しいボールをトラップできるとか、あんだけ囲まれてるのにボールを失わないとか、あまつさえ前に突破してしまうとか、守備の選手からしてみたらたまったもんじゃねーですね。これまでの試合で、ギャンが孤立してしまって攻撃に厚みが出ないという問題が散見されていましたが、この試合では改善されていました。クロスに対しては常に二人以上がペナルティエリア内に入っていたし、中盤が押し上げることでセカンドボールも拾えていましたので。その代償としてセカンドボールを拾えなかったときには一気にカウンターでピンチを迎えていましたけど、徐々にポジションを修正したことと、ウルグアイが韓国戦で見せたような前後分断サッカーになったことで、試合は完全に互角の力比べへと移行していきました。
 決定的だったのは延長後半終了直前に起こったスアレスのハンド。ゴールに入るボールを手で掻き出すという愚行でしたが、ウルグアイはあれに救われましたね。そもそもリプレイを見るとその前のプレイがオフサイドだったりしたので、またしても誤審で決着がつく危うい場面でした。ちゅうか試合を通してメイン側副審は何度もオフサイドの判定を間違えていて酷かったです。あれってスアレスのレッドカード取り消しになったりしないのかな? 120分走り回ったあとで、スタジアムの熱狂にかき消された感がありましたが、冷静になればウルグアイ側は納得いかないでしょーし。
 そんな感じで、アフリカ勢初のベスト4はならず。これで全滅です。

 正直なところ、ウルグアイはスアレスがいない状態でどういう戦いをするのか全く想像できません。右サイドの高い位置で常に相手ゴールを脅かし続けるスアレスがいてこそのウルグアイの勝ち上がりだからなあ。順当にオランダの勝ちになるんじゃないかなあ。


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