化学系エンジニアの独り言

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バイオブタノール

2006-06-27 | バイオマス
日本でもサトウキビから作ったバイオエタノールをガソリンに混ぜて、CO2排出を減らそうという実証が沖縄県各地で実施されている。宮古島では、全島のガソリンスタンドをエタノールガソリン(E3)にして、大規模に実証試験を行なうようである。しかしながら、エタノールにはいくつかの課題も指摘されている。

石油連盟の発表によれば、以下のような課題があるという。
ガソリンにエタノールを混合すると蒸気圧が上昇し、光化学スモッグの原因物質である燃料蒸発ガスが増加する。
既存車に3%以上の高濃度エタノールを使用するとNOxが増加する。
水分が混入するとガソリンとエタノールが分離し、燃料性状の変化や自動車部品値の腐食・劣化が発生する。水分混入防止のためには約3,000億円の設備投資が必要。石油会社が自腹で3000億の投資をするのはいやですよ、とは書いて無い。

世界におけるエタノールの年間貿易量は約300万kLのみで、輸出余力があるのはブラジルのみ。日本でE3に必要なエタノール量は180万kL。原油を中東に握られているように、エタノールはブラジルに握られることになる。
原料がサトウキビであるため、天候や食料品価格により生産量・価格が大きく変動する。んー今年のような冷夏では、エタノールの生産量が落ちて価格が上がるということですね。

輸入ガソリンが35円/Lであるのに対してエタノールは45円/Lであり、価格が高い。さらにエタノールの熱量はガソリンよりも30%少ないので、結果として燃費(1Lで走れる距離、ということは100円で走れる距離)が悪くなる。ということで、年間400億円のコストアップになる。これは消費者価格の上昇になるのですよ、とまでは書いて無い。

で、石連としては経済性には目を瞑るとしても、環境への悪影響をなくすためにエタノールそのものではなくて、エタノールとイソブテンからETBEを製造して利用すべき、としている。確かに、その方が環境には良いのだろうが、経済性とETBEを製造するエネルギーロスを考えると、本当に出来るの?

ということで、エタノールに代わるアルコール燃料をBPとDuPontは共同で開発しますという発表がありました。次世代のバイオ燃料と銘打っておりますが、バイオブタノールです。DuPontがこれまで培ってきたバイオテクノロジーとBPの持っている燃料油技術やマーケッティングノウハウをあわせて、エタノールに対抗してバイオブタノールを市販していこうというものです。

具体的には2007年にイギリスのBritish Sugarが持っているエタノール発酵設備を改造してブタノールを生産という。ブタノールの利点には次のようなことがある。

蒸気圧が低く、水への溶解性が少ない。これにより既存のインフラ(ブレンダーや油槽所)をそのまま使用でき、改造の必要が無い。
高濃度にガソリンに混入する場合でも、自動車の改造が必要で無い。
エタノールよりも燃費がアップする。
ということで、価格以外のエタノールの課題を解決してくれるようです。

ブタノールの原料はサトウキビ、てんさい、とうもろこし、小麦、カッサバ(何か良く分からん)となっている。将来的には、草やわら、とうもろこしの茎なども使用できるようにするそうだ。アセトン・ブタノール菌というのは古くから知られているそうなので、これを改良しているのでしょうか?

価格とエネルギー効率(製造の)を踏まえたうえで、エタノールか、ブタノールかの比較になるのでしょう。

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