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後期高齢者医療制度と妊婦・新生児医療

2008-12-05 | 社会
重病の新生児が入院の受入拒否をされたらいまわしにされた末、死亡したというニュースがありました。妊婦が入院拒否でたらいまわしにされ死亡したり、胎児がなくなったりといったニュースを聞くとつらくなりますね。

産婦人科医師や小児科の医師が少ない、と同時にそういった病院が少なくなっているとも言われています。これは大変な事態ではないでしょうか。少子化には歯止めをかけなければいけないのは自明です。人口を増やすことは経済成長の基礎中の基礎ですから。増えないまでも人口を減らさない方策は必要でしょう。しかし、小児科・産婦人科医が少なくなっていることは少子化対策とは反対の方向です。

少子化対策には色々ありますが、やはり安心して産む、子供が健康で育つことを最低限保障できなければいけないでしょう。今朝のニュースでは、その子供を入院させることが出来るのは特殊な設備を持った病院だけで、何れの病院もベッドに空きが無いので受入拒否したとのことです。確かに空きが無ければ闇雲に受け入れるわけには行かず、現場の医師を攻めるのは酷です。要は簡単で、もっとそのような特殊な設備のベッドを増やせばいいのです。そのために公的な支援が必要であれば、設備を増やすために補助するとか、設備の使用料(最終的には健康保険で払いますが)を高く設定して、病院が進んで設備を増やせるような仕組みにすればよいかと。

高齢者医療にお金をかけるのと、新生児医療や産科医療にお金をかけるのとどちらが良いでしょうか?高齢者を見殺しにしても良いと正面切って言い放つだけの勇気はありませんが、新生児医療に肩入れしたいものです。
しかし残念ながら新生児には選挙権が無く、高齢者には選挙権があります。更に新生児は自ら主張することも出来ません。政治家が自分も高齢者であり、選挙権のある高齢者に軍配を上げるのもまた自明です。
こんなことではいけません。

高齢者といえば、後期高齢者医療制度というものが話題になりました。端的に言えば、75歳以上の高齢者はこれまで以上に保険料が上がる、ということで大いに不満を訴えています。また、高齢者にそんな仕打ちは無いだろうという、某ニュースステーションのような主張が声高です。

この制度について完全に理解しているわけではありませんが、先の主張は少し的が外れていると思います。
現在の高齢者の医療負担が20年前に想定していた金額よりも増えていることはその通りで、また今後も増え続けていくと予想されます。健康保険の制度を設計したときに想定できなかったのですから、ここで軌道修正をしないと保険制度が破綻します。

そこで、想定と異なる部分を切り分けてどれくらい想定から金額が大きくなったのかを明確にする必要があります。そして想定よりも余計にかかる金額を、後期高齢者とそれ以外の保険料を払う人と応分に負担しようというのが、後期高齢者医療制度だそうです。

ここで大事なのは、保険料を払っている全ての人の保険料はあがるということです。したがって、後期高齢者の保険料も上がって当然なのです。ポイントは、後期高齢者の負担増加額とそれ以外の人の増加額が同じか、違いがあればどれくらいなのか、それが応分の負担という点から妥当かということです。

後期高齢者と区別するのは、この年齢層の人の医療費が想定とずれているからです。20年30年前にこれほど寿命が延びるとは予想できませんし、また医療の進歩で高度な医療が出てくるとも分からなかったでしょう。ですから、後期高齢者の医療費が想定よりも大きくなっているのは仕方が無いことです。ですから、これを踏まえて制度を見直さなければなりません。
このとき想定とずれている年齢層を分けておかないと、一体どれくらいがずれて金額が増えているのか分からなくなります。
後期高齢者と区分しているのはそういう理由なわけです。

この制度を批判するマスコミの論調は、75歳以上だけ保険料が上がる、したがって高齢者切り捨てである、のように聞こえます。老人医療費が上がるということを情緒的に主張しているだけです。

もっと物事を正確に報道して欲しいもんです。

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