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玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

セイヨウタンポポ

2019-05-25 03:55:31 | 春の花
セイヨウタンポポ

 いたるところの道端や空き地に春から秋まで見られる。地面にピタリとつく葉を放射状に出す(ロゼット)。葉のギザギザからフランス語で「ダン・デ・リオン」つまり「ライオンの歯」が英語でダンデライオンになった。明治時代に北海道に導入されてから拡大したとされる。玉川上水の道路添いにも広く生育するが、カントウタンポポも少なくない。区別点は総苞片がセイヨウタンポポでは反り返るが、カントウタンポポではそうならない点。花が終わると綿毛であちこちに飛んでゆく。








カントウタンポポの総苞片

果実





今から40年ほど前、セイヨウタンポポの分布拡大を懸念する声が多かったが、今やこの外来種の典型的な形態は少なく、カントウタンポポとの中間雑種が多くなったように感じる。これも外来種の生き残り作戦であろうか。
長谷川博之

タンポポの綿毛が飛び立つ瞬間が好きだ。どこへ飛んでいくかは風まかせだが、地面から解き放たれ旅立ちする、わくわくした気持ちが伝わってくる。地面に伏せて冬を耐えたのだから、良い場所に着地できますように。
牧田一雄


セイヨウタンポポ

スイカズラ

2019-05-25 03:39:08 | 春の花
スイカズラ

玉川上水には林縁が多いので、つる植物が目立つ。スイカズラもその一つで、林縁だけでなく柵にもよくからまっている。調査した区画あたりの出現率は実に81%にも達した。たくさんの花をつけ、えもいえぬ芳しい匂いがする。花は初めは純白だが、やがて黄色になり、その組み合わせが楽しい。若い葉は縁が波打ち、別の植物のようだ。玉川上水には多く、林の下を這っているが、そういうのは花をつけない。光が不十分で花を咲かせるほどの蓄積がないのだろう。冬に黒い果実をつける。










スイカズラの葉 左:若い葉、右:成長した葉

甘い香りに酔い、いつも連れ添う花を羨む。冬の葉は外に丸まり、冬を耐え忍ぶ「忍冬」は酸いも甘いも噛み分ける人生の達人の称号か。一日目は白く二日目は黄色い金銀花。
石井誠治

冬枯れの季節にも、上水の柵に緑色の枝葉をからませ存在を示すたくましさ。初夏には白と黄色の花、そして豊かな香りを漂わせている魅力的な花。
佐藤留美子

一輪のスイカズラを台所の外に挿したところ、根がついてまるで木のように太くなりました。花の時期には家の中まで甘い香りが漂い、夢ごごちの炊事をした記憶です。今はなき大好きな家の思い出。
リー智子


スイカズラ


キンラン、ギンラン

2019-05-25 03:11:04 | 春の花
シュンランに遅れていくつかのランが花を咲かせる。キンランとギンランは5月から6月にかけて林の下でそれぞれ黄色と白の花を咲かせる。シュンランと違い、背も高く、色もはっきりしているので人目につく。特にキンランは花も大きく、たくさんつくのでよく目立つ。それに数本がまとまっていることが多い。花はやや濃いめの黄色で、唇弁には赤い膨らみがあって、訪花昆虫にシグナルを送る。
 ギンランもキンランと同じようなところに生えるが、玉川上水ではキンランよりは少ないようだ。同じ属だが花の印象はかなり違い、スリムで小さい。花びらは開か図、全体に紡錘形。葉の細いものもあり、ギンランとしたものにササバギンランが含まれていると思われる。
 キンランもギンランも緑色の葉を持つが、栄養の半分ほどは地下の菌類から得ている。その菌類は樹木から栄養を得ているので、これらのランが育つには、木があってしかも菌類がなければならない。このことは盗掘をして栽培しても育たないし、移植をしても、定着はしないことを意味する。
 金と銀でオリンピックのメダルのようだが銅ランというのはないし、銅さんというおばあさんも(多分)いない。


キンラン

キンラン
木と木の間に鮮やかな半開きの黄色の花を見せるキンラン。こんなに綺麗な色とすっきりとした姿で咲く花をこれまで知りませんでした。伊豆大島ではキョンが食用にしているようですが私たちの玉川上水ではいつまでもその美形を見せてほしいです。
佐久間

キンラン
玉川上水のキンラン、ギンランはいつも柵から離れた奥のほうで咲いているようだ。楚々とした立ち姿はもっと近くで見たいのに、どうして!
松山景二


キンラン


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ギンラン

ギンランはキンランに比べ草丈も低く、白い花数も少ない控え目派。二番目の居心地を知る者として共感を覚える。銀だっていいじゃないか。
石井誠治

「キンラン」を明るい貴婦人とすると、「ギンラン」は清楚な佇まいの淑女のように思われます。最近は玉川上水でお目にかかれるチャンスが少なくなりましたが、樹林の中でこの淑女に会えた時の感動はいつまでも心に残っています。
小島 基男


動植物のスケッチをしていてうまくいったと思えるのは、これ以上省くとわからなくなるまで「描かない」で表現できた時です。花の色は白、茎は真っ直ぐで、葉は平行脈。ギンランはまさに無駄がなく、これ以上単純化できないかの如きです。一文字で表現するなら「凜」以外にありません。
高槻成紀


ギンラン



シュンラン

2019-05-25 03:10:53 | 春の花
シュンラン

 ラン(蘭)といえば豪華な花の代名詞のようになっている。確かに式典に飾られるシンビジウムとかエビネなどはいかにも立派な花という気がする。だがシュンランはそういう意味では地味で、花の高さは10センチほどだし、花そのものが緑色と緑がかった黄色程度なので、葉の間にあると花であるとわからないほどだ。ではきれいでないかといえば全くそうではなく、実に味わい深い美しさがある。花はもともと葉が変形したものだが、シンビジウムが葉であることを捨て去り、「化けた」というとすれば、シュンランは葉であることを慎み深く保ちつつ花になったといった風情がある。意外なことにシュンランも属名をシンビジウムという。日本の春にふさわしいランと言ってよいだろう。





シュンラン、ヤブラン、オオバジャノヒゲ、キチジョウソウ、
葉っぱだけではなかなか見分けられませんでした。
大石征夫

この4月、奥多摩への登山の折、山桜の下で昼休憩をしていたところ、ふと足元を見るとシュンランが咲いており嬉しくなりました。ふと私の父が山で見つけたシュンランを大切に持ち帰っていたのを思い出しました。
佐久間

山野草の好きな上司から「山で採ってきた」と立派な植木鉢に植えたシュンランを転居祝いに頂いた。小平で戸建てに住みはじめた時のことだ。梅の木の根元に地植えしてはや27年。春に黄緑色の花をつける。目立たないけど気品があり、好きな花だ。
辻 京子



シュンラン

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キンラン


ギンラン

コブシ

2019-05-25 02:40:25 | 春の花
ホオノキやモクレンの仲間。玉川上水の緑地を構成する樹木はコナラ、クヌギ、イヌシデ、ケヤキが多い。その他の樹木はぐっと少なくなるが、コブシは花マップの95の区画のうち21で確認された。冬のあいだ枝先に大きなビロード状の毛が生えた冬芽(花芽)をつける。そして早春に純白の大きな花を咲かせ、春の訪れを告げる。花びらの長さが5mもあり、同じ花でもハコベやヒメウズなどに比べると巨大な大きさだ。この花が大きな樹木に満開となると白い大きな球のようで見事だ。コナラなど玉川上水で多数を占める樹木は風媒花が多いだけに、コブシやミズキの虫媒花は少数派であり、それだけに目立つ。秋になると赤い種子が入ったデコボコした果実をつけ、種子を抜くと白い繊維状のものが伸びる。


木全体


玉川上水










冬芽


花の内部

果実


果実

実が弾けて赤い種子が白い糸先に揺れる。実の形が握り拳の指を折り曲げたときに膨らむ関節に似るためコブシといわれる。白い6枚に見える花びらは美しく、枯れ木に花の風情があり、山里ではタウチザクラと呼ぶ。
石井誠治

「北に向かいし枝なりき 花咲くことはおそかりき」と書いた壁掛けを頂いた。まだ植物に関心のなかった頃のことである。
「私の育ったところでは春いちばんに咲くのがコブシの花です。赤ん坊の手のひらのような咲きかたをします」ふわりと柔らかく咲く花を見るたび、山形県出身だった先生のことを思い出す。最近その言葉の意味が、温もりをもって拡がってくる。
辻 京子

コブシは「割合よく見る木」とのことですが、私が調査を担当した3km区間には1本しかなく、その1本が花を咲かせている姿を見るとふいに春の訪れを感じます。緑が少なく閑散とした春先の玉川上水で、遠くからでも目を引きます。
安河内 葉子



コブシ