歩かない旅人

 彼がなした馬鹿げたこと・・・彼がなさなかった馬鹿げたことが・・・人間の後悔を半分づつ引き受ける。ヴァレリー

再び見直そう、日本の実力のすごさ

2016-06-19 10:08:44 | 月刊雑誌「正論」を読んで

 

 


 日曜日の朝は、今日も穏やかに始まりました。長い舛添騒動も一段落し、次期都知事選に、メディアが騒がしく押していた蓮舫氏も、よくよく考えたら勝ち目のないことを悟ったのでしょう。件名と言うかずる賢いというか、まあどうでもいいことですが、今日は話題を変えていこうと思います。

  

 最近は9割と言う数字が、なんとなく幅を利かせています。世論調査では9割が舛添知事の辞任を求めている、と言う風に使われます。そういえば舛添知事も韓国に行ったとき、東京都民の9割が韓国のことを好きだと言っているなどとフザケタ便利な言葉として世間に跳梁しています。

 全身全霊、粉骨砕身、都民のために全力で働いているなどと抜々と言ってのけるその図々しいほどの自分を褒める、K・Yの無さには、ただ驚くばかりです。人が言わないから自分で言うしかないのでしょう。

 しかし、舛添氏が辞任したというニュースは、本当ならもっと早くすればよかったのに、此処まで粘ったという、その人間性が9割の人々の信認を失ったのかも知れません。辞めたくなかったその無念さに対して、誰も同感しなかった稀有な例として歴史に残るかもしれません。

 やっとこの、下らない話題から解放されそうです。すっきりとした話題として、正論から、またしても『折々の記』から抜粋します。改めて日本と言う国は素晴らしい、国と国民だったという事を再確認したいと思います。

 

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 (月刊雑誌 『正論』 平成二十八年 七月号より)

 【 折 節 の 記 】  三つの話題の最初の部分

 白人神話は音を立てて崩れ落ちた

    

                   高山 正之

 

 ルーズベルトは真珠湾で250人ぐらいは死ぬと思った。

   

 アンドリュー・ジャクソンはアラモの砦に籠った50人を見殺しにしてメキシコとの開戦口実にした。そして首尾よくテキサスを取った。

 マッキンリーは戦艦「メイン」をハバナ港で爆発させ266人を殺し、スペインと開戦した。それくらい死なせればどんな国とも開戦に持って行けた。

 で、彼は西海岸にあった太平洋艦隊をわざわざ真珠湾に持って行った。それを囮にして日本が奇襲をかけるのを待った。

 250人と読んだのは真珠湾の推進が14メートルしかなかったからだ。航空機から発射された魚雷は、通常40メートル沈み込む。つまり浅い真珠湾では雷撃は無理と読んだ。

  

 あとは急降下爆撃だが、日本人は近眼の上におぶって育てられるから、三半規管が異常で 「急降下は出来ない」と軍事評論家フレッチャー・プラットが言う。

 奇襲されても偶然の一発が当たるぐらい。むしろルーズベルトは死者が少なすぎることを心配した。

 しかし彼の読みはすべて外れた。日本機の放った20発の魚雷のうち19発が米艦隊の横腹に大穴をあけた。急降下爆撃も高高度爆撃も巧みで、戦艦アリゾナはその直撃弾を受けて沈んだ。

 戦死は2800人を数えた。予想の10倍を超えた。自国民を自分のペテンでそんなに殺してしまった。米下院議員ハミルトン・フィッシュの回顧録に議会での対日宣戦布告を前に青ざめ、狼狽えるルーズベルトの姿が描かれている。自分の犯した罪の深さに怯えていたのだろう。

 ペテンとは 「ルクセンブルグでさえ宣戦布告する」とパール判事が指摘したハルノートのことだ。「彼はそんな文書を日本に出したことさえ隠し通していた」とフィッシュは書いている。

 ルーズベルトの誤算は続く。不落のはずのマレーもシンガポールもコレヒドールもごく短時日の間にばたばた落ちてしまった。

 最大の読み違いは真珠湾の翌日から日本本土を爆撃して短期間で降伏させるはずだったB17「空飛ぶ要塞」が零戦に片っ端から落とされたことだった。

 

 米国は零戦に勝てる戦闘機を生み出すのに3年もかかった。そのあいだに日本は欧米の植民地を開放し、民は手を上げて哀れっぽく命乞いする白人を目撃した。白人神話は音を立てて崩れ落ちた。

 ルーズベルトが勝手に日本と戦争し、結果、大事な植民地を失った英仏蘭は彼を責めた。オレ達の植民地を取り戻せと。

 米国は物量で日本を倒すのに問題はなかったが、それでは 「日本がアジア解放に殉じたヒーローになる」(コーデル・ハル)だけだ。白人神話と植民地復活は不可能だ。ただ、マンハッタン計画が成功すれば話は違ってくる。

 そしてそれは彼が脳溢血で死んだ3か月後に産声を上げた。後任のトルーマンは躊躇なく原爆を使った。米国が神のごとく太陽の光を地上に再現したとき、野卑な三流国家は白人国家のリーダーに昇格し、第三世界の上に白人神話を再臨させたと思った。

   

 その証拠に原爆投下機エノラゲイは終戦の翌年、スミソニアン博物館に譲度され、セントアンドリュース基地に大事に保管されてきた。そして広島50周年にワシントンDCに堂々飾られた。

  

 全米ジャーナリストを対象にした 「20世紀の100大事件」アンケートが選んだ第一位は 「原爆で日本を降伏させた」だった。

 抗生物質の発見(11位)、でも月面着陸(2位)でも、ソ連崩壊(13位)でもなかった。では、「原爆」と 「日本降伏」のどっちに比重があるのか。

 米国は 「日本降伏」させた9月2日は国民休日にしたが、70年代には廃止した。一方 「原爆」は50周年でエノラゲイを飾り、70周年でオークリッジなど関連施設を国立公園にした。20万人を焼き殺した原爆が大事なのだ。

  

 ニューハンプシャー州議員ニック・ラバッサーは 「だから2発じゃ足りなかった(Two nukes just wasn’t  enough)」と言った。「二発の核」は、もはや米国の誇りを象徴する3人称単数の単語に昇格しているのだ。

 オバマが広島に来たのは米国の偉大さを現場で確認したかったからだ。米国人の誰が謝罪などするものか。

 

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 ハイ その通りだと言いたい気持ちは分かりますが、日本は良いも悪くも潔い民族です。情けない補償をいつまでもたからない、高潔な精神力を持った、世界でも稀な民族だと、誇りに思っています。

 時の流れと言うものは、驚くほど物事の考え方を変えます。ついこの前までアメリカ一極主義みたいな状況でしたが、いつの間にやら添えほどの力はないと、アメリカ自身が思い、他の国も思い始めていました。

 原爆を落とした国も。落とされた国も、それぞれ、それ以外の国にない重い歴史的な重荷を背負っています。さまざまな声がありますが、今のところ日本の体制のほとんどの姿勢は、実にあっぱれな褒めらえた態度と言えるでしょう。