うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0175. Match Point (2005)

2007年02月15日 | 2000s
マッチポイント / ウッディ・アレン
124 min UK / USA / Luxembourg

Match Point (2005)
Written and directed by Woody Allen. Cinematography by Remi Adefarasin, costume design by Jill Taylor. Performed by Jonathan Rhys Meyers (Chris Wilton), Emily Mortimer (Chloe Hewett Wilton), Matthew Goode (Tom Hewett), Brian Cox (Alec Hewett), Penelope Wilton (Eleanor Hewett) and Scarlett Johansson (Nola Rice).


ロンドンの上流階層に入りこむ、貧しいテニスプレーヤーの物語。『陽のあたる場所』のウッディ・アレン版ともいえる。途中の展開は想像がつくぶん、つらいところもあるけれど、最後がどちらに転ぶかは文字どおりマッチポイントまでわからない。テニスボールがネットにかかって真上にはねあがる冒頭のショット、そして結婚指輪がガードレールにぶつかってはねる終了まぎわのショットが、ねらいどおり秀逸な対照をなしている。

キャストはなじんでいた。次第にヒステリックになっていく奔放なガールフレンドの役は、当初ケイト・ウィンスレットにオファーされたという。そのことが意外に思えるくらい、スカーレット・ヨハンソンはよかった。

映像もいい。スタッフはおそらく現地調達だろう、イギリスの映像になっている。おいつめられて、ついに人を殺すいきさつがなまなましい。そして、そののちに背負う重さがいたましい。そこをもっと怖くえがけたと考えるより、ウッディ・アレンがここまで「事件」に手を染めたのは初めて、という見方をとりたい。十分に怖かったし、全体につきまとう主人公の居心地の悪さは、みている側をときどきたまらない気持ちにさせた。しいてくらべるとすれば、これより傷のえぐり方が深いのは "Monsieur Hire"『仕立て屋の恋』のパトリス・ルコント。

今回、見どころのひとつは「変化」にある。生きることが、しだいにのっぴきならないものへと変わっていく。しかもそれにつれて、生活はいっそうパサパサと乾いたものになっていく。可憐な婚約者はひたすら不妊治療にあけくれる妻になり、人生への野心は会議に遅れる言いわけに変わる。偽(いつわ)って居場所をえた人間のみじめさだけが変わらない。

結末は意見のわかれる点かもしれない。でも、これがアレンの回答である。運のいい男と運の悪い女の、かなり酷い物語。つくり手に悔いはないだろう。



メモリータグ■別荘で雨の戸外に走り出る娘、書斎のなかからそれを見る男。雨に濡れた芝生と木立ち。明るい逆光。おそらく陽差しのある午後に雨を降らせて撮ったのでは。でも悪くない。夏らしい緑が映りこんでいた。





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