うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0319. Catch Me If You Can (2002)

2009年11月12日 | 2000s
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン / スティーヴン・スピルバーグ
141 min USA

Catch Me If You Can (2002)
Directed by Steven Spielberg. Screenplay by Jeff Nathanson. Wrtten by Frank Abagnale and Stan Redding (book "Catch Me If You Can: The Amazing True Story of the Youngest and Most Daring Con Man in the History of Fun and Profit"). Cinematography by Janusz Kaminski. Performed by Leonardo DiCaprio (Frank Abagnale Jr.) and Tom Hanks (Carl Hanratty).


スクリーンで一度、ヴィデオで一度か二度観ていると思う。上映時間は141分とあるけれど、脚本の仕上がりがきれいで長さは感じない。演出がきびきびと手みじかであることと、実在の犯罪者がモデルという信憑性が大きいのだろう。どうみても逃げ道のない洗面所から脱出するシーケンスなどが、すなおにおもしろい。落ちもみごとだった――弁護士登録の詐欺はどう成功させたのか手口を教えろとFBIの捜査官に問われて、ほんとうに司法試験に合格したのだと詐欺師がこたえる。

ひとを騙す話、うそをつく話なのに寛げるのは、これがたくみなコメディーだから。詐欺の物語は騙すがわの緊張をえがくので、ふつうは見ているほうも緊張する。そしてだんだんものがなしくなってくる。犯罪はみじめなものでしかない。それが鮮やかにみえる瞬間があるとすれば、なにを描くかを突き抜けて、「どう描くか」という表現のありかたが焦点になる高さまで作品が昇華されているときにかぎる。かつてプロの犯罪者だったジュネが作家として稀有だったのは、そのことをただしく把握していたからだ――つまり、スタイルの重要性である。

「わたしを導いてくれるであろうものは、わたしが体験したことではなく、わたしがそれを物語る調子なのだ」
ジャン・ジュネ『泥棒日記』



メモリータグ■空港の厳重な検問をくぐり、つつがなく離陸する詐欺師。両側を何人もの女性パーサーがいかにもうれしそうに歩く。