英国王のスピーチ / トム・フーパー
118 min UK | USA | Australia
The King's Speech (2010)
Directed by Tom Hooper 1972-. Written by David Seidler. Cinematography by Danny Cohen. Performed by Colin Firth (King George VI), Geoffrey Rush (Lionel Logue), Helena Bonham Carter (Queen Elizabeth), Guy Pearce (King Edward VIII), Derek Jacobi (Archbishop Cosmo Lang). Estimated budget: $15,000,000. USA Gross:$138,795,342 (10 June 2011).
いってしまえば、たかだが「王の吃音」。こんな題材で脚本を書いた執念と執筆技術に驚く。そこに世界的な市場があるということにさらに驚くけれど、このみごとな英国プロパガンダ脚本を腕のいい監督がていねいに演出したという話は耳にしている以上、できばえは想定内というしかない――コリン・ファースが完璧にやってのけることもふくめて。
たとえば病弱だった大正天皇が公務をこなせるかどうかという題材で世界的な大ヒット作品を作れたらたいしたものだけれど(できないわけではない)、それなりの離れわざが必要になる。
兄のエドワード八世をガイ・ピアースが担当していて、うまく軽薄さを出していた。映像の光や編集のリズムはまっとう。2011年アカデミー作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞、特別賞。アメリカの英国崇拝も健在らしい。推定予算15億円ほどで、公開年の6月にはすでにアメリカだけで140億円ちかい収入を記録している。
監督のトム・フーパーはオックスフォードで英語学を学んだイギリス人。脚本のデヴィッド・サイドラー同様、おもにイギリスのテレビで仕事をしてきている。サイドラーのほうは受賞当時74歳、史上最高齢だったそう(翌年76歳のウッディ・アレンが『ミッドナイト・イン・パリ』で受賞して記録は更新された)。
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