ツリー・オブ・ライフ / テレンス・マリック
139 min USA
The Tree of Life (2011)
Written and directed by Terrence Malick. Cinematography by Emmanuel Lubezki. Original Music by Alexandre Desplat. Production Design by Jack Fisk. Art Direction by David Crank. Set Decoration by Jeanette Scott. Costume Design by Jacqueline West. Performed by Brad Pitt (Mr. O'Brien), Sean Penn (Jack), Jessica Chastain (Mrs. O'Brien). Estimated budget: $32,000,000. Gross: $13,303,319 (USA) (21 October 2011)
監督がテレンス・マリック、タイトルが『生命樹』と聞いた時点で覚悟はしていた。つまり、ある種の特異な冗長性についての覚悟です。でも見始めて、まだ覚悟がたりなかったことがわかった(笑)。
この作品は映像につきる。時間そのものを映し込んでは破砕していくような大胆な美しさで、光の揺らしかた、匿名的なアングル、カメラワーク、編集、そのどれにも才能が刻印されている。子供たちや母親の表情、官能的な水の表情、それぞれに感嘆するものがあって、ふつうの撮影ペースで撮っていてはどうみても撮れそうにないショットが多かった(案の定、赤字だそう)。撮影はエマニュエル・ルベツキ。2011年カンヌ映画祭パルムドール。
テーマはなにか――「ひとつの家族のいとなみを軸に、生命とはなにかを問う映像叙事詩」とでもいえばいいのか――ミクロコスモスとマクロコスモスを行き来しながら、神への問いかけがつづく。「宗教映画」とまで書いていた紹介もみたけれど、それはどうかな。しいていうなら有神進化論的な世界観ではあるだろう。でも生命はわたしたち生き物にとって普遍的な主題なので、とくに意識しなくても観られるように思う(なんにせよ恐竜まで登場するのです……)。
「家族の歴史」と「自然の歴史」はもうすこし有機的にリンクさせることができた気がする。子供たちを抑圧していた父親の謝罪も調和的に過ぎる。なにより根本的に長い。それでもたいへんな労力をそそいだ作品であることはたしか。
母親役のジェシカ・チャスティンは非常によかった。主演は最初の時点ではヒース・レジャーだったらしい。それは・あまりにも・正しい。実現しなかったことはこの映画のために残念です。役柄は古いアメリカの支配的な父親像で、結果的にブラッド・ピットが演じている。美術は詩的。女性の衣装は醜い。記号はまちがっていないのだけれど醜い。
メモリータグ■庭の大樹。