うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0178. 隠し剣 鬼の爪 (2004)

2007年02月25日 | 2000s
Kakushiken Oni no Tsume (The Hidden Blade) / Yoji Yamada
132 min Japan

隠し剣 鬼の爪 (2004)
監督:山田洋次、原作:藤沢周平、脚色:山田洋次・朝間義隆、撮影:長沼六男、音楽:冨田勲、出演:永瀬正敏(片桐宗蔵)・松たか子(きえ)・田中泯(戸田寛斎)・吉岡秀隆(島田左門)・小澤征悦(狭間弥市郎)・高島礼子(狭間桂)・緒形拳(家老)・小林稔侍(大目付)・倍賞千恵子(片桐吟)・田中邦衛(片桐勘兵衛)


山田さんのように、しっかりした脚本が書ける一流の作り手が着実に新しい作品をリリースしてくださることは、観るがわもうれしい。ただ、この作品と『たそがれ清兵衛』との筋の重なりかたは、ふつうなら避けると思う。藤沢さんの "海坂藩もの" あるいは "隠し剣" ものの読者は多いのだろうけれど、それだけに「三部作」と呼んですませるにはすこし無理を感じた。つくりたくてやって、結果的にそうなったならかまわない。でもつづけると、また寅さんになってしまう。これはプロデュースがわの責任が大きいのでは? 

作品そのものは楽しく観られます。こまやかな演出、力のいれどころ、抜きどころ、頭がさがるばかり。おもしろいのに文句をつけるような響きでごめんなさい。

どうしてこんなことを心配するかというと、松竹には、山田さんをだいじにしてほしいから。これだけ才能のあるひとを、えんえんと金太郎飴のようなシリーズ物にしばりつけて目先の収益をむさぼってきた過去の罪は重い。こういう絵が撮れる監督がいるうちに、ひとを育てていってくださいね。



メモリータグ■日本人の歩き方そのものを変えさせたことで知られる、ヨーロッパ近代兵法の導入がユーモラスにえがかれている。ここだけでも見る価値あり。もちろん「日本人」もそれまでいなかったわけですけれど……。いまなにげなく地面を歩く、この自分たちの歩き方さえ仕込まれたことを思うと、ちょっぴりさみしい国です。