今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

3学会合併の流れに思うこと 骨抜き認定制度はご勘弁を!

2007-09-15 09:11:41 | 家庭医療
日本でジェネラリストを志す人間が集う学会は3つあります。

 日本家庭医療学会日本プライマリ・ケア学会日本総合診療医学会

 それぞれの特色を私の主観でかいてみます

 日本家庭医療学会は家庭医をキーワードに比較的若いジェネラリストが集います。開業医の先生でも比較的に年齢層が低めです。もともとは、家庭医療を勉強していこうという研究会として発足しました。執行部の深い理解により、若手家庭医部会、学生・研修医部会など若者のパワーが学会全体を押しています。

 日本プライマリ・ケア学会は、一番歴史もあり医師会の開業医の先生のを中心に人数も最大、認定制度もあり、世界的なジェエネラリストの組織であるWONCAの日本支部としての機能も果たしています。 ちなみにWONCAは(World Organization of National Colleges, Academies and Academic Associations of General Practitioners/Family Physicians)の略

日本総合診療医学会はどちらかというともう少し大学や大病院のメンバーが加わったアカデミックでこじんまりとした会という印象です。 

既にこの3学会はジェネラリストを目指すということでは共通しており、なんとか一緒に活動できないかと話し合いはされてきました。2005年には3学会合同でWONCA Asia Pacific Regional conferenceを開催しています。

こうしたなか、国の医療制度として総合科の話が出てきて、日本医師会も総合医の認定に関して取り組みを始めました。 医師会と3学会は共同して総合医認定の話を進めてきましたが、この際3学会が合併したほうが話も進み、国民にも分かりやすい、発言力も増すなどの考えて合併の話が進んでいるようです。

 合併には大賛成です。 大同小異、そして何より3学会すべてに所属している医師の一人として、統一してもらうことは金銭的にも、アイデンティティの統一という面でも助かります。

唯一私が懸念していることは「もろいジェネラリストのアイデンティティ」でも書きましたが、しっかりした認定医、専門医制度が確立されるかということです。

同じジェネラリストでも、コアとなる能力は共通しますが、例えば総合内科医と家庭医ではやっぱり守備範囲が異なりますので、認定医をとるためのトレーニングカリキュラムは別々であるべきです。必然的に認定医も別になるはずです。少なくともAコース、Bコースぐらいの区別はしてほしいものです。 そうでなければ、認定のための条件が最大公約数になって骨抜き制度になりかねません。

緩い制度の認定医、専門医では国民にとってもデメリットですし、私たちジェネラリストのアイデンティティの保証にもなりません。 是非、硬派の認定制度をお願いします!!