ぐるぐる自転車どこまでも

茨城県を自転車で散歩しながら,水戸藩の歴史について考え,たまにロングライドの大会に出場,旅する中年男の覚書

タロコ渓谷への旅~武嶺へ出発

2013-04-18 11:06:39 | 自転車
ビールの酔いの勢いで眠りについたものの、うつらうつらしていた。
明日の挑戦のことがあるので、知らずに興奮してしまい、どうも眠りが浅い。
激しい雨音が聞こえる。
明日も雨だろうか。激しい雨にならないで欲しい。
いろいろと考えているうちに意識を失ってしまった。

朝5時に目覚ましをセットしておいたが、4時には目が覚めてしまった。
運動会の前の日の小学生の気分だ。
それでも寝不足になるのはいやなので、ベッドの中で寝返りしながらウトウトしていた。
そうしているうちにiPhoneから目覚ましのアラーム音のタッタタンタッタラタンという音が聞こえてきた。
ようし。起きるぞ。
部屋の明かりをつけた。
窓のカーテンを開くと、外はまだ真っ暗だ。
天気が気になる。外の暗闇に目をこらし、耳をすます。
雨音はしない。暗くて見えないが、外の雨は止んだようだ。



サイクリングウエアに着替える。
昨日、宿に着いてから汗まみれになったウエアを水洗いして、部屋のエアコンの前に干しておいたのだ。
手にとってかわk
完全に乾ききってはいないが、ほとんど乾いていた。
目的地の標高は3000mを超えるので、気温は5度以下になる。
寒いだろう。
ウエアは、ロングタイツ、ロングスリーブにした。
今日の予報も雨だ。
レインウエアとシューズカバーも持参することにした。



昨日、出会ったサイクリストはエネルギー切れになったと言っていたことを思い出した。
ハンガーノックだ。
完全にハンガーノックになった経験は無いが、何も食べずに2時間くらい走ったときに力が入らなくなってきて、あせったことがある。こんな場所でハンガーノックになったら大変だ。
いつもは、日本で友人と走っているが、今回は一人旅だ。
サポートしてくれる人がいない。
しかも、目的地までのルート上に食料を補給できる場所はない。
ものすごい山の中なので、店がほとんどないのだ。
自動車だってそんなに頻繁に通るかどうかわからない。
ハンガーノックになることだけは避けなければならない。
いろいろと考えながら
日本から持参したエナジーのジェルを背中のポケットに突っ込む。
1本およそ160Kcal。たぶん、6本くらいあれば十分のはずだ。

次は、朝飯だ。
残念なことに、こんなに朝早く、宿の朝食会場は開いていない。
しかし、待っていたのでは出発時刻が9時を回ってしまうだろう。
そうなると、目的地の到着予定時刻は午後5時頃になってしまう。
帰りは、真っ暗闇の中をえんえんと下ってこなければならない。
いくらライトをつけるからといっても、細かい落石や穴があったら事故を起こしかねない。
6時の出発のためには、朝飯は自前でとらなければならないのだ。
そのために前夜、宿の売店でカップラーメンを売っていたので1個だけ買っておいた。
カップラーメンの包装をはがして、お湯を注ぎ込む。
スープの粉や薬味を入れながら、こんなに早朝からカップラーメンを食うなんて、生まれて初めてのことだなと思った。
どう考えても、カップラーメンは朝飯にあうとは思えない。
しかし、売店に朝飯にぴったりのものはなかったのだ。
これなら、天祥にくる前に、最後のコンビニでパンとかお握りとかカロリーメイトとか買っておけばよかったなと悔やみつつ、ほどよく柔らかくなった麺をズルズルとすすった。

カップ麺を完食したら5時40分頃となっていた。
さあ、部屋を出よう。
ヘルメットや簡単な備品、ミネラルウォーターのボトルを抱えて、自転車置き場へ向かった。
自転車の鍵を外して、玄関へ移動する。
朝早いので、フロントには誰もいない。
手を伸ばして部屋の鍵をカウンターの向こう側へ置いた。
玄関のドアは、空いている。
早朝出発する人もいるので、24時間、玄関のドアは開けておくのだとフロントの人が昨日言っていた。

自転車を押して、外へ出る。
まだ明るくなってはいないが、ライトをつけなくとも路面が見えるくらいにはぼんやりと明るくなってきた。
昨夜の雨で路面が濡れている。
自転車にまたがって、深呼吸してみた。
雨と植物のやわらかく甘いかんじの香りが鼻腔をくすぐる。
見上げると、左右の山々の木々の葉が雨に濡れてみずみずしい。
タロコ渓谷の上を覆っている雲が動いている。晴れ間はない。

ハンドルを握り、右足を踏み込む。
ゆっくりと自転車が動き出す。
安定したら、左足をペダルの上に置く。
カチャと音がした。
ビンディングにセットされた音だ。

外は明るくなってきた。
ゆっくりと右左と交互に踏み込む。
さあ、武嶺へ出発だ。