ぐるぐる自転車どこまでも

茨城県を自転車で散歩しながら,水戸藩の歴史について考え,たまにロングライドの大会に出場,旅する中年男の覚書

自転車の旅~1日の移動距離

2013-08-14 00:03:33 | 自転車
自転車の旅を考える際には、いったい1日どのくらいの移動距離を考えたらよいのだろうか。
身もふたもない言い方だが、結論はない。

一時間当たりの移動距離の上限はたぶん20km。ふつうなら1時間10kmくらいを考えておけばよいのではないだろうか。
勾配が10%くらいの上り坂が続くなら、1時間5kmくらいを見ておいた方がよい。

たまに1時間に5kmしか進まないこともある。
時速5kmは人が歩くのと同じ速度だ。遅すぎる。
しかし、興味のあるところに立ち寄り、写真を何枚か撮影し、その付近で見かけた人に声をかけていろいろと話をしたりするとあっと言う間に20分~30分くらいはなくなってしまう。
場所によっては見学すべき場所や施設が面白くてついつい1時間ほども滞在してしまうこともある。
すると、何も立ち止まるべきところがない場所を1時間時速30kmくらいで進んだとしても、最終的に平均時速は10kmくらいとなることが多い。

人によっては1時間20kmで、7時間くらいだから140kmは行けるという人もいる。
しかし20kmは、途中で見学などはしないという前提での話だろう。
たぶん、ロングライドのイベントなら1時間20kmくらいがいいところだろう。
何度か有名なロングライドの大会に参加しているが、出場している人を見るとレースのような走りをする人がいる。
早く走りたい気持ちもわかるが、せっかくだから、もっとゆっくりと楽しみながら走るのもいいもんですよと言いたい。
ロングライドでは、観光の時間はない。たとえ、ちょっと気になるものがあったとしてもいちいち立ち寄ることはできない。ほんのちょっとだけ写真を撮るくらいだろう。
それを旅というのかという問題なのだ。
移動すればそれが旅なのだという人もいる。
自転車だから移動しながら風景も眺めることができる、それで十分だという見解も成り立つだろう。
しかし、しかしだ。
旅には出会いが必要なのだ。少なくとも自分との出会いが必要だろう。
普段の生活では刺激を受けない感覚がどこか刺激されることが必要なのだと勝手に思っている。
だとすると、そのような体験をする余裕と時間が必要ではないか。

時間に追われて走るのではなく、自分の感性を信じて時間を使ったらいいと思う。
初めて見たものをじっくりと観察するもよし、写真を撮るもよし、見学するもよし、人に声をかけるもよし、うまそうなものをつまみながら走るもよし、地べたに転がり空を見るもよし、なんでもいい。
自転車で旅するなら、もっともっと立ち止まるべきだ。




竜飛岬

2013-08-13 23:49:18 | 自転車
竜飛岬を訪れた。
前夜は、青森のねぶた祭りに跳人として参加し、年甲斐もなく踊りまくった。
青森といえば、本州の最北の地である。
頭には、「津軽海峡冬景色」のメロディが流れてくる。
ならば、竜飛岬の先端に立ち、津軽海峡を見るしかあるまい。

竜飛岬へは輪行することにした。
津軽線の時刻表を見ると、終点の三厩駅まで行く電車の本数は少ない。
青森駅発の始発に乗り込み、途中で乗り換えて、三厩駅に到着した。
最後まで電車に乗っていたのは、観光客ばかりで、鉄道ファンらしき人が多かった。

駅で自転車を組み立て、のんびりと竜飛岬を目指した。

竜飛岬は、本州の北のはずれである。
竜飛岬には小さな漁港がある。そこに太宰治が泊まった宿があった。
太宰治には、「津軽」という作品があり、その中で竜飛が描かれている。
私が訪問したのは夏で、太宰治が訪れた冬ではないが、雰囲気から十分に自然の厳しさを感じた。
「津軽」には、竜飛岬の崖下にある集落について次のような文章がある。

「兇暴の風雨に対して、小さい家々が、ひしとひとかたまりになって互いに庇護し合って立っているのである。ここは、本州の極地である。このを過ぎて路は無い。あとは海にころげ落ちるばかりだ。路が全く絶えているのである。・・・ 露路をとおって私たちは旅館に着いた。」

この旅館は現在は廃業し、観光案内所となっている。
開館と同時に太宰が宿泊した部屋へ行き、太宰が使ったといわれる食事のお盆などを前に座布団に座り、物思いに耽った。
竜飛岬は、竜が飛び去るほどに風が強い場所である。真冬ともなれば強風が海から吹き付けてくるだろう。心が凍てつく寒さである。小さな旅館は、海からの強風でガタガタと揺れたに違いない。
しばらく、旅館の中に展示されたこの地域の昔の暮らしぶりを示す写真などを見学し、その後、小さな漁港を自転車で散策し、有名な階段国道を上り、灯台へ行った。
灯台はものすごく見晴らしがよかった。
300度が海という素晴らしい光景が広がっていた。
あいにく、少し曇っていたため北海道側は見えなかったが、海峡を横切る船が見えた。
空には、鳶らしき鳥がゆったりと舞っていた。

水郡線サイクルトレイン~7月28日

2013-08-07 06:39:45 | 自転車
備忘録として

水郡線のサイクルトレインツアーが初めて実施された。
水戸駅発着で、サイクリングとしては磐城石川から大子まで走るコースだ。

この沿線に住む者としては、水郡線はかなりマイナーな路線でこれといった派手な観光地がないことからツアー応募する人がいるのかなと心配していた。
しかし、一ヶ月前には定員いっぱいになった。
なぜこんなに早く埋まったのか理由ははっきりしないけれども、一つは茨城サイクリング協会が後援したからではないだろうか。
参加者に聞いてみたら、霞ヶ浦一周のイベントでチラシをもらったので参加したという人がいた。別の人は水戸の自転車屋さんに勧められたと言っていた。
参加者の印象としては、茨城県内の人が多く、稀に東京の人がいるという印象だ。

レベルとしては、ギンギンに走る人は少ない。どちらかというとお楽しみ系の人、ビギナーの感じだ。
だから、走りものんびりしている。
距離も50キロ程度で楽チンだ。
加えて、制限時間はかなりゆるく設定されている。
ちょっと物足りない距離なのだが、お気楽なサイクリングであり、時期的に猛暑日となる可能性があるので熱中症などに配慮しているのだろう。
コースは、下り基調でほとんど上り坂はなく、交通量が少ない道路、一部久慈川サイクリングロードを走る。左右に久慈川の田園風景が広がり、その向こうに阿武隈山地の山がある。里山的な風景の中を久慈川とからみながら下る感じだ。青青とした稲穂が風に揺れる姿は日本の原風景を感じさせる。
このコースは、そういう地域の空気を感じられるかがポイントとなる。
決してわき目もふらずにガンガンに走るなどはふさわしくないと思うのです。

自転車を見ると、ママチャリさんが3人くらいいた。
いくら何でもママチャリではキツイのではないかと思ったが、ゆるりと完走されたようだ。
このツアーのために専用列車を走らせている。車両の右側半分に、釣りがわからロープで自転車のハンドルを吊り上げ、前輪を窓側に立てかけるやり方だ。

昼飯はルネサンス棚倉のレストランでバイキング式であり豪華、これはロングライドのイベントのエイドステーションとは異なっている。

最後は、大子温泉で汗をサッパリと流せる。入浴のためのタオルもついている。
ゆっくりと風呂に入り、休憩スペースで汗が引くのを待つ。中には、さっそくビールで乾杯している人たちもいた。これは、さぞかし美味しいでしょう。

大子駅の出発まで2時間あるので、大子を散策することにした。
芭蕉の句碑やら、街角美術館や漆のお店を覗いて、お茶を飲んで地元の人と話しをした。
最後は、サイクリングというより小さな旅モードで旅情タップリであった。

その後、大子駅に戻り、水戸へ戻った。
帰りに、塙町から参加者へのプレゼントや記念品などを受け取った。

水戸駅到着前に、主催者から感謝の言葉があったが、車内から拍手が沸き起こった。これは珍しい。
ほとんどの人はサイクリングトレインツアー楽しんだようだ。また、やって欲しいとの声が多かった。
私の感想としても、楽しめると思った。家族で、参加するのに良いと思う。今度は子どもを連れて参加しようと思うのだ。

こんな感じで吊るしていました。