棟瓦(むねがわら)の形状は、通常のシャチホコではなく、アノ大仏殿などに見られる如く“鴟尾(しび)”の形が採用されていて、興味深い。
先ほどの緑色の名残りといい、この棟瓦の形といい、推論を逞(たくま)しくすると、かつての平安京や平城京などが青や赤の瑠璃色をした屋根瓦で輝いていた様をも連想するような古色なスタイルである。
武徳殿という建築スタイルの性格上のことと、素材のセメント瓦の近代性。そうした取り合わせが、この建物の時代としての魅力であるに違いない。
因みに向こうに見える緑色の屋根は、相撲格技場の通称「乙亥(おとい)ドーム」。