岡崎直司の岡目八目

歩キ目デス・ウォッチャー岡崎が、足の向くまま気の向くまま、日々のつれづれをつづります。

吉良川の町並み 5

2008-01-30 01:41:13 | 建見楽学


“左瓦”について。

屋根瓦には、室戸地方ならではの特徴“左瓦”が乗る。
断面が逆“への字”になっているのが“左瓦”。写真では、二階の屋根と一階の左半分がソレ。この建物の場合は、珍しいことに意匠的な都合か、一階の右半分は通常の瓦を葺いている。
本来だと、棟方向の片側は全て同じでないとおかしい。何故なら、それは室戸ならではの強風対策であり、従って棟の反対側は通常の瓦、逆の側は左瓦で葺く、という按配。

吉良川の町並み 3

2008-01-30 01:30:27 | 建見楽学


住宅や土蔵の壁面には、必ずと言っていいほど、こうした数段の水切り瓦が施されている。

吉良川には数度訪れているのだが、横殴りの風雨から壁を守るためとは言え、ここまでの念入りな施工を必要とする風土建築というものに、いつも感動を覚える。
また今回教えてもらったことで驚くのは、上の段ほど瓦の角度が急になっているとのこと。
物理的な効果まではよく分からなかったが、もしそれが下から見上げた際の意匠的な配慮だとしたら、これまた凄い。

水切り瓦の分布密度は、高知県でも東部方面、安芸から室戸に集中していて、西部中村(四万十市)方面では少なくなる。台風の当たり加減の差となっているのは歴然。
愛媛県側でも一部に見られるのは愛南町(一本松)や久万高原町の高知寄りにわずかに、というところが面白い。

高知県室戸市に来ています。

2008-01-27 00:57:51 | 建見楽学


この写真は、国の町並み保存地区室戸市の吉良川にある「いしぐろ」と呼ばれる石垣。

ここの伝建(国重要伝統的建造物群保存)地区は、かつて備長炭の上方供給地として栄えた町並み。台風銀座らしい室戸地方の特徴である「水切瓦」も沢山見られる。

い~よぐるっと88、双海12

2008-01-21 11:49:02 | 地形観察


双海地区の山中に点在する集落を巡ると、起伏するつづら折れの車道から、様々に伊予灘が眺められる。
その千変万化の画角の変化が、実に見る者を楽しませてくれる。

正面手前の島は由利島。こうして立体的に見ると、二つの島が砂州でつながっている様がよく分かる。
戦時中は芸予要塞施設の一部である「呉海軍警備隊由利島監視哨」が置かれていた。もっと昔は、“由利島千軒”と呼ばれた集落があって栄えたとされる伝説も。

い~よぐるっと88、双海11

2008-01-21 11:25:43 | 土木遺産


『地蔵堂の手繰りの石垣』

双海地区を形成する地質は安山岩だけではない。こうした青石(緑泥片岩)も地域を彩る石材。
ここは、下灘の池の久保にある地蔵堂の石垣。伊予灘を望む山の中腹に開けた緩斜面に立地するものの、石は角の取れた丸みのある石で、海岸の浜石を運んだものであることが分かる。
地蔵堂の中に掲げられた絵馬には、享保三(1718)年頃に2.5km離れた“ジョウドの浜”から住民総出で運んでいる様子が描かれている。それで“手繰り(たぐり)の石垣”と呼ばれる。

い~よぐるっと88、双海9

2008-01-21 11:06:42 | 土木遺産


こちらも“黒雲母安山岩”の石垣。

先ほどの石垣と雰囲気が違うのは積み方のせい。“矢羽根積み”という積み方だが、地元では何故か“ヤマネ積み”と呼ばれる。石工という職人世界は、文字(漢字)で伝わるのではなく、口伝(くでん)で伝わるので、そうした言い回しとなることがある。

い~よぐるっと88、双海8

2008-01-21 11:00:41 | 土木遺産


このただならぬド迫力の石垣は、上灘にある由並(ゆなみ)小学校の石垣。

モチロン石質は、ご当地のアイデンティティ“黒雲母安山岩”。

左の階段を上がった右に立派な石柱の立つ学校の正門がある。