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◇企業システム◇NTT ComがSaaS/ASP基盤サービス提供開始

2008-08-12 14:25:14 | アウトソーシング

 【アウトソーシング】NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は 、アプリケーション事業者向けSaaS/ASP基盤サービス「BizCITY for SaaS Provider」の提供を開始した。これにより、アプリケーション提供事業者は、NTT ComのVPNサービスに直結した環境で、より安定したSaaS/ASPサービスを短期間かつ容易に提供可能となる。今回提供開始されたのは、「ネットワークゲートウェイ for SaaS Provider」と「サーバーホスティング for SaaS Provider」の2つのサービス。 (08年7月29日発表)

 【コメント】NTT Comが今回SaaS/ASP基盤サービス事業に乗り出した背景には、NGNの普及にSaaS/ASPが重要な位置づけになることと、SaaS/ASP自体が普及するためには、サービスレベルの確定に加え、セキュリティ対策がカギを握っていることなどが挙げられよう。NGN(次世代ネットワーク)はNTTが総力を挙げて取り組んでいる一大プロジェクトである。このNGNは従来の電話網とインターネットとを融合させた新しいネットワークである。NTTはNGNの全国規模での拡大と同時に利用の拡大も図らなければならないが、その際、SaaSを利用するアプリケーション事業者はNGNの上得意客となる。従来、ソフトウエアはパッケージによってユーザーに提供されてきた。ところが、今後は徐々にネットワークを介してソフトウエアをユーザーに提供するSaaS型に移行するであろうと言われており、そうなると必然的にNGNを利用するようになる。アプリケーション事業者が容易にSaaSシステムを構築できるためのアウトソーシングが今回の「BizCUTY for SaaS Provider」である。

 しかし、今後わが国でSaaSが普及するには、ユーザーとアプリケーション事業者間でサービスレベルの合意がなされなくてはならない。つまり、サービスレベルの合意がなくサービスを実施した場合、トラブルが発生する確率が高くなる。そこで、経済産業省では08年1月21日付で「SaaS向けSLAガイドライン」を公表した。一方、総務庁も08年1月30日付で「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」を公表した。これはSaaSでのセキュリティが保たれないと、ユーザーのデータが外部に流失したりする恐れが出てくるからだ。

 総務庁の外郭団体のマルチメディア振興センターでは「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」を新設し、現在これに基づき「ASP・SaaS情報開示認定サイト」を公開している。同制度に基づく認定企業の第1弾が08年5月に発表されたのに続き、08年7月には第2弾の発表(10社・11サービス)が行われた。これにより08年7月現在の同制度の認定企業は16社・19サービスとなった。認定企業となると実質上総務庁からお墨付きを与えられたことになるため、今後認定企業は増えてこよう。(ESN)