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◇企業システム◇レッドハットと日本IBMが、サンのSolarisユーザーをターゲットにLinux攻勢

2009-08-03 09:17:08 | システム開発

 【SI事業】レッドハットと日本IBMは、サーバーのオペレーティング・システム(OS)に「Solaris」を利用している企業のユーザーを対象に、「Red Hat Enterprise Linux」OSを搭載したIBMサーバーへ移行し、移行コストと期間を最適化しながら運用・管理コストの削減を支援するためのプログラム「Red Hat Advanced Migration Program powered by IBM(RAMP-I)」の提供を開始する。同プログラムの提供開始に伴い、レッドハットと日本IBMは、営業活動やコンサルティングおよびサービスの提供を共同で行うためのプロジェクト・チーム「RHEL移行支援オフィス」を発足させる。 (レッドハット/日本IBM:09年7月15日発表)

 【コメント】サン・マイクロシステムズがオラクルに買収されて以来、サンのSolarisユーザーをターゲットとした動きが活発になっている。今回のレッドハットと日本IBMの発表以前にも、日本HPは同様のプロジェクトを発表済みである。サンのUNIX・OS「Solaris」は、Linux対抗のためにオープンソースソフトウエア(OSS)化するなど、迎撃体制を敷いてきたが、オラクルに買収されるという激変に見舞われ、なすすべはない。現在ではUNIXとLinuxを比較されれば、多くのユーザーはLinuxを選択することは間違いないところだ。

 逆に、今回IBMとレッドハットが組んだということは、将来IBMによるレッドハット買収も絶対無いとは言えなくなってきたのではないのか。最近のIBMは企業買収による事業拡大に力を入れており、成果も出始めており、次のターゲットとしてレッドハットを狙っても少しもおかしくはない。マイクロソフトの業績に陰りが出始めている現在、IBMがLinux事業を一層拡大するチャンスでもある。

 今回の2社の提携でレッドハットは、①Red Hat Enterprise Linux搭載のIBMサーバーを運用・管理するシステム管理者のための研修を標準価格の半額で提供し、年間500名のRHCE(Red Hat Certified Engineer:レッドハット認定エンジニア)育成を支援 ②Red Hat Enterprise Linuxによるシステム構築を支援するためのコンサルティング・サービスを最大30%割引価格にて提供-を行い、一方、日本IBMは、 ①ユーザーアプリケーションにおける移行効果の無償アセスメントや移行作業の無償見積もり ②世界中のIBMで蓄積された手法やツールによる移行・検証・構築サービス ③サーバーなどIBMのハードウェア製品に対して、支払い開始を6ヶ月据置くリースや、初年度の支払いを支払い総額の10%にする「ステップ・ペイメント・リース」、また、IBM System xおよび一部のIBM Power Systemsを対象とした48ヶ月間は金利負担ゼロの「0%リース・プログラム」などの金融サービスーなど、ユーザーに対しこれでもかといった感じでアプローチを行う。

 Solarisに限らずUNIXユーザーがどういう判断を行うかは、今後の企業システムを占う上で大いに興味がわく。レッドハット+IBM連合の思惑どおりにLinuxに向かうのか、UNIXに留まるのか、さらにはマイクロソフトのWindowsを選択するのか。SOAや仮想化さらにはクラウドコンピューティングが急浮上してきた現在、プラットフォームの中心となるOSの今後の動向が注目されるところだ。(ESN)