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◇企業システム◇小田急百貨店が富士通BSCのオンメモリデータベースを導入しデータの高速処理を実現

2009-07-29 16:03:37 | ユーザー

 【ユーザー】小田急百貨店は、基幹業務システムをメインフレームからオープン系システムへ移行し、その基幹業務システムの中核である商品勘定システムのIT基盤に、富士通BSCが開発・販売するオンメモリデータベース「Oh-Pa 1/3 Data Server(オーパ・ワンサード データ サーバ)」を採用した。オンメモリデータベースを使用することで、ディスクへのアクセスではなく処理の速いメモリ上にすべてのデータを置くことで、大量のデータを高速処理することができる。この機能により、50万明細以上ある前日の売上情報から、日々出力する分析用帳票を約4分で出力することが可能となった。また、オープン系システムに移行したことにより、各店舗での商品の販売状況をWebオンラインで把握できるなど、必要な情報の参照が以前より速くなり、日々の販売戦略立案などの効率化を実現した。 (富士通:09年7月27日発表)

 【コメント】百貨店業界は、メインフレームについて長期間使ってきたユーザーが比較的多い業界の一つだ。これは、大量に発生するデータをPOSなどで単品処理するシステムを最初期から導入してきたからである。一度メインフレーム上でこれらの膨大なデータをシステム化をすると、オープン系に移行はそう簡単ではない。また、小売業はこれまでコンビニ、スーパーの躍進が激しく、百貨店は守勢に回らざるを得なかったこともメインフレームの長期間使用の原因となったことが考えられる。

 小田急百貨店では、長年使用してきたメインフレームをオープンシステムに切り替えるに当り、従来のハードディスクによるデータベスに代え、富士通BSCが販売するオンメモリデータベース「Oh-Pa 1/3 Data Server(オーパ・ワンサード データ サーバ)」に移行させたのが今回の発表のポイントだ。「一般的なRDBMSはキー値をインデックス内に保持してテーブル・データをコピーして使うが、オンメモリデータベースのインデックスはデータへのポインタだけ保存するので必要領域が少なくて一番アクセスが早い経路でデータを見つけるのでディスクI/Oより処理速度が速い」(教えて!goo)という特徴を持っており、現在ユーザーが拡大している。

 オンメモリデータベース普及には、サーバーの64ビット化がその背景の存在する。富士通BSCの資料によると、OSの64ビット化に伴う飛躍的なメモリ空間の拡大は、大容量データ処理の新たな可能性を生み出した。それが従来のRDBの概念を超え、すべてをメモリ上に展開する“オンメモリデータ処理”の実現させた。「Oh-Pa 1/3」(オーパ・ワンサード)は、オンメモリデータ処理に最適なデータ構造とアルゴリズムを採用。その結果、データウェアハウスの情報検索・分析や更新系バッチ処理などでは、従来のRDBと比べて数倍から数百倍という驚異的な高速化を実現できるのである。 高速処理がもたらす驚異的な時間短縮は、業務の見直し・再編や効率化を促すとともに、TCO(Total Cost of Ownership)削減も大きく期待できる。

 これまで、データーウエアハウス(DWH)は、本格的なシステムを構築しようとすると膨大なコストと大規模システム構築が必要であったが、これがオンメモリデータベースの登場によって、比較的小規模な投資でも、効果が得られる状況を作り出しつつある。これからの流通業は、迅速なデータ処理による適切な判断が企業の将来を大きく左右するといえるだろう。今後、オンメモリデータベースの動向からは目を離せない。(ESN)