【ユーザー】アシストが提供するオープンソースのオフィス・ソフトOpenOffice.orgのヘルプデスクおよび研修サービスが夕張市に採用された。夕張市には、第3セクターとして設立された株式会社HARPが、自治体システムのオープン化の推進や業務の効率化を支援する立場から、民間企業が償却したPC26台にLinux OS(Ubuntu)を導入し、再生させ提供した。このPCを有効活用できるよう、アシストでは夕張市にOpenOffice.orgの支援サービスを提供していく。今回PCが導入されたのは夕張市選挙管理委員会事務局で。これまで選挙が始まると臨時スタッフが増え、増員にともないPCの増設も必要となってくるため、PCの調達や工面が大きな課題となっていた。夕張市では現在約240台のPCを利用しているが、無償のオープンソース・ソフトウェア(OSS)の活用は平成19年3月より財政再建団体となり国の管理下のもと再建に励む夕張にとって、コスト増加を抑える施策となる。 (アシスト:09年6月30日発表)
【コメント】OpenOffice.orgは、コスト削減のみならず、特定のソフトウェア・ベンダーへの依存からの脱却という意味からも現在、多くの自治体で検討、導入が進んでいる。アシストが提供する、オープンソースのオフィスソフトOpenOffice.orgの支援サービスは、今年4月の四国中央市(愛媛県四国中央市)での採用に続き、今回北海道・夕張市が採用を決めた。これによりこれまで同社のOpenOffice.orgサービスを導入したユーザーは、住友電気工業、NTTコムウェア、トーホーグループ、それに地方自治体では栃木県二宮町、会津若松市などが挙げられ、今回四国中央市に続き北海道・夕張市がOpenOffice.orgを導入したことは、今後全国の自治体で一気にユーザーが拡大する可能性が出始めてきたということからも注目される。
現在、オフィスソフトに関してはマイクロソフト製が圧倒的シェアを誇っているが、OSSのオープンオフィスへの関心も徐々に高まりを見せ始めている。これは、コスト的にみてOSSの方が低価格で導入できることが、世界的不況に直面している企業、各自治体にとっては願ってもない条件だからである。特にバージョンアップの際などは新たな投資が必要となり、最新バージョンの導入を必ずしも必要としないユーザーにとっては原則無料のオープンオフィスの魅力が増す。
オープンオフィスの普及の動きは、IBMのグループウエア「ロータス」がオープンオフィス対応を打ち出したことも、その流れを今後加速させる可能性をうかがわせる。IBMはこれまでオフィスソフトに対してはマイクロソフトのオフィスソフトを担がざるを得ない状況であったが、オープンオフィスの普及の可能性が出てくることに合わせるかのように、オープンオフィス対応の「ロータス」の普及に意欲を見せ始めており、先ごろもマイクロソフトの新OS「ウインドウ7」の出荷を前に、ロータスの購入ユーザーが増加していることをあえて強調した発表を行った。
アシストでは、同社社内での導入経験をもとに、OpenOffice.orgへの移行に関する課題と対策、 OpenOffice.org概要や同社が提供する支援サービスを紹介するセミナーを順次開催するとともに、7月に開催される「アシストフォーラム2009」では導入ユーザーの一社であるトーホーグループによるOpenOffice.org移行事例の発表を予定している(7月9日(東京)、7月14日(福岡)、7月23日(名古屋)、7月28日(大阪))。(ESN)