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◇企業システム◇賃貸売買のアクロスがセールスフォース・ドットコム採用で売上高20%UP

2009-07-15 09:14:27 | ユーザー

 【ユーザー】セールスフォース・ドットコムは、アクロスコーポレイション(本社:兵庫県尼崎市)が、「Force.com」上で開発したさまざまな業務アプリケーションの活用で業務の効率化を実現、さらに09年1月には、顧客情報の正確な把握と広告予算配分の最適化により、売上高を20%向上したと発表した。 (セールスフォース・ドットコム:09年7月6日発表)

 【コメント】アクロスコーポレイションは、センチュリー21加盟店として関西エリアで4店舗を構え、賃貸物件の紹介・管理、物件の売買仲介を展開、関西の加盟店では取引実績トップを誇っている。同社は、これまで顧客情報管理にExcelを使用していたが、ビジネスの成長と案件の増加に伴い事務負担が膨大となり、入力の漏れやミスが発生するという課題を抱えていた。 こらの状況を改善するため、新システム導入を検討開始。当初はパッケージソフトの導入や独自開発を検討したが、初期費用だけで数百万円というコストが発生することから、アクロスコーポレイションにとっては非現実的であった。このような経緯を経て、セールスフォース・ドットコムのクラウド・サービスを検討、顧客管理だけでなく、全社横断でフロント業務関連のシステムが低コストで迅速に構築できると判断し、導入を決定。Force.com上に開発した新システムは、4カ月という短期間で開発され(07年9月から開発を開始)、08年1月に本格稼働し、現在、顧客管理や、物件情報の管理、広告予算配分の最適化などに使われている。

 アクロスコーポレイションはセンチュリー21グループの一社として1995年に設立、関西エリアにて4店舗を手がけ、賃貸物件の紹介、賃貸物件の管理、物件の売買仲介などの不動産仲介業を展開している。現在、クラウドサービスが注目を集めているが、クラウドサービスを導入して一番成果が現れやすいのは、このアクロスコーポレーションのような中堅企業であろう。ワード/エクセルなどオフィスソフトだけで処理するには、いろいろと障害が発生して事務の効率が上がらない。さりとて、自社でサーバーとパッケージソフトを導入し、専門のシステム要員によりカスタマイズするにはコストがかかり過ぎる。

 このような場合、クラウドサービスの採用することにより、経営に直結する成果を得ることができる。まず、システムを立ち上げる期間の短縮化が図れ、選任のシステム要員を置く必要もない。さらに、アプリケーションソフトについてはクラウドサービス側にあらかじめ用意されているものを活用すればよく、余程の特殊なアプリケーションでない限り、既存のクラウドサービスで十分対応可能だ。セキュリティについても今のところクラウドサービスに重大な問題は発生していない。むしろ自社でシステム構築した場合した方が、ウイルスやハッカー攻撃に対する防御のためのソフトや専門要員の配置が必要となり、コストの面でも問題が発生するだろう。

 アクロスコーポレイショングループ賃貸COO兼CIOの三澤 裕史 氏は「セールスフォース・ドットコムのクラウド・サービスは、いまや当社のビジネスを支える基盤となっている。店舗業務の効率化だけでなく、経理部門の作業負担軽減、経営判断の迅速化が実現し、売上高はサービス導入前に比べ20%増加した。今後検討している店舗数の拡大にも自信が深まった」と語っているが、クラウドサービスのユーザーの生の声として重みのある発言だ。大手企業でも各部門のシステム化の手段として、クラウドサービスは十分に検討に値するシステムである。ただ、企業の貴重なデータを外部に出すことに踏ん切りがつかない場合は、企業内に閉じたプライベートクラウドシステムを構築する手だってあろう。(ESN)