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◇企業システム◇神戸のスーパー「トーホー」がOSSのオフィスソフトOpenOffice.org採用

2009-01-28 11:27:01 | ユーザー

 【ユーザー】外食産業向け業務用食品卸売事業および一般消費者向け食品スーパー事業を推進するトーホー(神戸市東灘区、従業員数3906人)は、08年5月にオープンソースソフトウエア(OSS)の「OpenOffice.org」を社内標準ソフトとして導入することを決定したが、このほどアシストが支援サービスの一環として提供する、OpenOffice.orgのコンサルティングサービス、ヘルプデスクサービスおよび各種研修コースを採用した。同社ではグループ全体で約1500台のPCを導入しているが、現在のMicrosoft OfficeをOpenOffice.orgに全面的に切り替え、09年4月より全社利用することにしている。 
(アシスト:09年1月27日発表)

 【コメント】アシストは、他社に先駆け社内のオフィスソフトをMicrosoft OfficeからOSSのOpenOffice.orgに切り替えたが、同時に現在、外部に対してOpenOffice.orgのコンサルティングサービス、ヘルプデスクサービス、研修コース事業を提供している。今回トーホーはアシストのこのサービスを採用して、現在社内に設置されている約1500台のPC上で稼働しているMicrofoft OfficeをOpenOffice.orgに全面的に切り替え、09年4月稼働を目指すことになったもの。

 これまでトーホーグループでは、Windowsサーバー、PC、Microsoft  Officeの3つをグループ内標準構成として使用してきた。このうちPCについては毎年300台近くのリプレースや増設を行ってきたが、「増設のつど発生するWindows Officeの追加コスト、さらに近い将来発生するPCのOSバージョンアップに伴うMicrosoft Officeの買い替えコストが課題に上っていた」という。この解決策として、同社ではOSSのOpenOffice.orgを採用し、今後発生するコストの抑制を実現させることになったもの。

 OpenOffice.orgはOSSなので、一般の商用ソフトに比べコストを低く抑えることは可能だ。問題はMS Officeだらけの今の世の中で、自社だけOpenOffice.orgを導入して本当に大丈夫なのだろうかという一点にユーザーの関心が集まる。この点に関しては社内にいち早くOpenOffice.orgを導入したアシストの事例を見ればある程度の結論が出よう。アシストは社内業務においてほぼ100%OpenOffice.orgを利用しているという。アシストでは既存ファイルはどうしたかというと、ユーザー向けの契約書などはそのままで変換しておらず、約1000種類の雛形ファイルだけをOpenOffice.orgに変換している。また、社外とのファイル交換はPDFでよい場合はOpenOffice.orgのPDF変換機能を利用し、MS Officeが必要な場合は、OpenOffice.orgが持つMS Officeファイルへの変換機能を利用している。アシストでは次回更新時に3年間で約1700万円のコスト削減を見込んでいるという。

 オフィスソフトは、コストの削減のほかに世界標準に準拠しているかどうかも、特に官公庁などでは問題として挙げられる。これまではOpenOffice.orgがISOに準拠し優位に立っていたが、MS OfficeもISO準拠オフィスソフトということが認められ、 この問題では現在同列に並んだ。残るはコストの比較であるが、ユーザーとしても長期的な観点に立った場合、トータルな視点からどちらが本当に優位なのかを冷静に見極める必要があろう。(ESN)