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◇企業システム◇日本IBMが「Linux/OSSサポート・センター」開設

2009-01-26 14:12:09 | システム開発

 【ソフト開発】日本IBMは、ユーザーのITコスト削減を目指し、IBMのx86サーバー製品でのOSS(オープンソースソフトウエア)の活用を支援するための選任部隊の新設と、IBMのx86サーバー製品における最大で84%減の価格改定を発表した。専任部隊の名称は「Linux/OSSサポート・センター」で09年1月に新設。同センターでは「IBM System x」や「IBM BladeCenter」でのLinuxおよびOSSのソリューションの活用をサポートする。これによりユーザーのITシステム構築時の選択肢を広げ、さらに、商用ソフトウエアとOSSを組み合わせ適材適所で活用することで、ITコストの最適化を可能にするもの。 (日本IBM :09年1月22日発表)

 【コメント】日本IBMは、08年からIBM System xやIBM BladeCenterと商用ソフトウエア製品による仮想化ソリューションや高信頼性・高可用性を実現するソリューションの稼働検証を行い、その構成例を「IBM太鼓判構成」としてWebサイトなどに公開してきたが、今回これをLinux/OSSに拡大したもの。もともと同社はLinux/OSSに力を入れており、レッドハットなどとの連携なOSSの普及に貢献してきた。

 同社がOSSに力を入れてきた背景は、マイクロソフトの存在を抜きにしては語れないであろう。かつてIBMはマイクロソフト製品が企業システムに怒涛のごとく入ってくることには、これを必要悪としてとらえていたはずである。現在の企業システムからマイクロソフト製品を抜きにしては考えられないことは自明の理だ。このため、IBMは当初躊躇していたマイクロソフト製品を積極的に扱うことを表明し、現在にいたっているが、そんな中、LinuxをはじめとするOSSが企業システムにも採用され始め、現在では多くの企業がOSSを採用している。こうなるとIBMはマイクロソフト製品の対抗馬としてOSSの普及促進にまい進することになり、今回の「Linux/OSSサポート・センター」の開設もこの延長線上にあるわけである。

 一方、マイクロソフトも一時はOSSに対し敵対的態度をとっていたが、その後方針を180度転換させ、OSSも積極的に扱うことを表明。LinuxOSのディストリビューターのノベルと提携するなど、現在ではOSSに積極的に取り組んでいる。今回、日本IBMが新設した「Linux/OSSサポート・センター」は、“ユーザーのITコスト削減”をスローガンに掲げている。これは多分に今回の世界同時不況に対する新たな販売戦略の展開とみていいであろう。一方、マイクロソフトは既に「セイブ・マネー」キャンペーンを展開し、ユーザーのコスト削減をアピールしている。09年は、各ベンダーともユーザーのITコスト削減を錦の御旗として事業をスタートさせることになりそうだ。(ESN)