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◇企業システム◇日本ユニシスが十八銀行で3銀行共同開発の新勘定系システムが稼働したと発表

2009-01-07 11:29:57 | ユーザー

 【ユーザー】日本ユニシスは、十八銀行でWindows Server、SQL Serverを基盤としたオープンシステムをベースとした「新勘定系システム」を開発し、業務が開始されたと発表した。これは国内勘定系システム「BankVision」と国際勘定系システム「BankForce」のパッケージを基本としたもので、「BankVision」については、07年5月に稼働した百五銀行に続き2行目の稼働となる。05年7月から導入準備を開始し、共同開発した筑邦銀行、佐賀銀行、十八銀行の3行の中で、十八銀行が初の稼働となったもの。システムの運用については、日本ユニシスが提供する共同アウトソーシングセンターに運用を委託。なお、佐賀銀行は09年5月、筑邦銀行は10年1月の稼働を予定している。(09年1月5日発表)

 【コメント】今回の世界同時不況は、わが国の金融機関にも容赦なく襲い掛かり、このため現在各金融機関はかつてのバブル崩壊以来の緊張した体制となっている。このような情勢下において各金融機関とも勘定系システムを共同開発しようとする機運が高まり、その成果が徐々に発表されており、今回の十八銀行もそれらの一つに数えられるもの。もっともこれらの事例は、金融自由化以後、各金融機関が危機意識の高まりの下、数年前から取り組んできたもので、今回の世界同時不況のさなかにその成果が表面化していることは、タイミングがよいというか、何か皮肉な結果となった。

 同様な事例としては、同じく09年1月5日に日立製作所がトマト銀行と高知銀行向けに共同アウトソーシングサービス「NEXTBASE」によるサービスを開始したと発表した事例が挙げられる。トマト銀行および高知銀行では、基幹システムを「NEXTBASE」へ移行することによって、最新のハード/ソフトによる安定したシステム運用を実現し、24時間オンラインサービスの提供などが可能となる。さらに大規模災害対策として、高度なバックアップセンターを兼ね備えるなど、公共性の確保も実現。「NEXTBASE」はこれまで6行に採用され、05年5月徳島銀行向け、07年1月香川銀行向け、08年1月北日本銀行向けにサービスを提供しており、第二地方銀行向け共同アウトソーシングとしては、国内最大規模を誇っている。

 さらにNTTデータは、09年1月4日に「NTTデータ地銀共同センター」が福井銀行にアウトソーシングサービスを開始したと発表した。「NTTデータ地銀共同センター」は、次世代バンキングアプリケーション「BeSTA」を使用した地方銀行、第二地方銀行向けの共同利用型センター。04年1月から既に6銀行にサービスを提供し、今回福井銀行へのサービスを開始したもの。これにより次世代機能を有する地方銀行向け共同利用型センターとして国内最大となる。現在「NTTデータ地銀共同センター」への参加銀行数は13行、また、「BeSTA」採用の地方銀行は22銀行に拡大しているという。

 正に、共同利用センター間の国内最大競争は今後も熾烈を極めそうだが、これまで金融機関が独自に基幹システムを構築してきた方がおかしかったわけで、共同でシステムを構築したり、共同センターを利用する方が正常な姿といえよう。これからの金融機関の勘定系システムの構築は、オープン系の採用により構築/運用コストの削減が見込まれ、また、共同開発または共同利用センターによっても構築/運用コストの削減が見込まれることから、新たな業態が生まれつつある。システム開発/運用はIT企業にアウトソーシングし、金融機関は金融商品のサービス向上に全力を尽くすべきだという結論がはっきりしつつある。このことは他の産業にも当てはまることだ。(ESN)