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小説「2023年日本転移」36話

2020年12月31日 | 小説

               36話 ドザドグ大文明

日本はもちろん黒岩石族でさえ何も知らない大文明が黒山脈の
山中深くに1400万年に渡り発展を続けていた。
真紅岩族と呼び合う半球形で3~30mの完全岩石族。
身体構造に有機物は全く無い、黒岩石と命風結晶でできている。
命風を自在に結晶化し利用する体であり文明だ。

文明初期は命風で意思疎通していたが自然の真紅結晶発見と
理解により真紅風理論と技術は急速に進捗し文明の根幹が実現。
1000万年の昔から真紅族は真紅通信を大規模に使用した結果
500万年以前に体は黒を超えて真っ赤と変わり真紅に到達。

増殖は単体分裂であり2個の1m幼体を分離し1センチの真紅結晶
多数に老いた体は変化し命を終える。
歴史と死の集積が真紅谷を作り真紅風が柔らかく吹き上がる。
真紅族の大部分は黒山脈の洞窟を好む。

生きる糧は命風と真紅風であり文明はそれからすべてを得てる。
地上に出てるのは自然主義者や任務で出てる観察体。
観察体は12m半球だが体表に10センチの遠隔観察球を多数持つ。
観察体の遠隔操作で空中、海中、地中でさえ移動し通信する。
はるか高空に2個在る月は偉大な観察体が大昔に集団で持上げた
遠隔観察球であることは真紅族の常識だ。 

世界の表面を詳細に観察できるのは当然で普通なので今では
誰一人通信を受けようとしない。命風が吹くのは黒島だけであり
文明を築いたのも真紅族だけなのは300万年の常識。
内海の岩石族は体に有機物を持つ生物として未熟な野蛮族だ。
水生物でさえ僅かに命風を吸収し命の終わりに未熟結晶を残す。
命風吸収能力が低い野蛮族は水生物の未熟結晶で体を補う。

観察体は任務に就いたばかりで1万年さえ過ぎてない・・・
2個の月から受信し命風を記録し真紅風に注意する変化ない日々。
時々思うのは偉大な観察体が大勢で巨大観察球を空に持ち上げた
理由だ、何度も考えたが理由の欠片さえ判らない。
表面を詳細に観察できるのは判るが何の役に立つのだろう?
洞窟を1個増やす方が有意義では?
自問自答に答えは無い・・・ため息に相当する灰色の風が出た。

ん?
月の受信と命風に変化が在る。
命風の変化が野蛮族の移動を起したのか?
意識が緊張して行く、これは思考体と調整体に知らせる事態だ、

 

 

 


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