町工場 職人の声

職人と現場人間の想いを誰かに伝えたい!

小説「2023年日本転移」33話

2020年12月31日 | 小説

            33話 パニックの谷族

山裾から海岸に繁栄する東族とは別に谷や盆地を居住地としている谷族が
困惑から恐怖に変わりつつ有った。穏やかな命風が強さを増し続け暴風と
言える強さが何十日も続いた経験や伝承は一つも無いのだから・・・
暴風は山を下り谷や盆地で数倍の暴風となり海に消えていく。
東族領域から60キロ内陸、山脈の谷に偵察決死隊100名が集結した。
谷だけでなく山脈部族の大部分が偵察に賛同し実現。
北の大呪術師テンカ、氷河の大仙人キルカ、北大洞窟のトルイ、
黒湖の呪術師スイカ、南の大魔術師ホルイ、南大洞窟のホミル、赤胡のカミル
、無言の大仙人も偵察隊に参加し各地の谷と盆地と集落の呪術師と戦士達。
隊長は無言の大仙人タルカ。副隊長は大戦士ダンガル。

暴風の谷を進む盾となる志願した戦士2000名が決死隊を山裾まで守るのだ。
肉壁となりわが身の命で命風の暴風を大きく遮る。
どれほど消耗するか長老たちにさえ判らない・・・死人も出るだろう。
2026年6月1日、2100名が進発!
6月15日、谷の出口に到達、複合大呪術が始まった。
内海の全域を網羅する詳細感知呪術であり命がけの複合方式。
6月20日、大呪術師を含む呪術師全員が気絶した・・・
21日、大仙人タルカが目覚めた
「恐ろしい・・・世界の絶望だ・・・我らは一人残らず滅びる定め・・・
内海の真ん中に悪魔の土地が生まれた・・・命風はそこに消えてる。
2000万年続いてきた生物のすべてが滅びてしまう・・・
恐ろしいのはその土地に多数の水生物が生きてる事だ」

「そんな!俺達でも死んでしまう命風の暴風だぞ!
水生物が生きれるはず無い」
「普通の水生物では無いのだよ・・・恐ろしいと言うのは・・・
水生物が命風の暴風を平気で吸収してる事だ・・・」
「馬鹿な!俺たちでさえ吸収できる強さを超えてるのに・・・」
「土地だけではない水生物さえ命風を吸い込んでる・・・
歴史空前の大怪物だ!やつらが山や谷に押し寄せてきたら?」
「・・・俺たちの命も吸い出される・・・」
「だから言うのだ・・・世界の絶望と」
「どうしよう?」
「どうすれば良いんだ」
「俺達の命は命風に削られ空を飛ぶ事さえ出来なくなってる・・・」
「海を超える手立ては無いよ・・・」
うなだれていたタルカが青く発光し発言を制した

「どなたかな?命風の暴風をついて術を通すのは?」
「東族の大呪術師マイサの弟子、キルン。悪魔の谷撃滅の参加を求めてる」
「キルンに尋ねれる、悪魔の谷は判るが、撃滅とは?方法が在るのか?」
「はるかな伝承に撃滅の方法は在る!」
「おお、おお・・・我らに希望が在るのだな・・・方法は?」
「伝承では戦士が一丸となり最大速度で突撃し悪魔岩を砕いたと在る」
「・・・何人の戦士が・・・」
「数千人が突撃し全員が・・・死んだ。種族の生き残りはわずか・・・」
「・・・陸地は広いぞ・・・」
「勝算が無くても東族は突撃する!無抵抗で滅びてたまるか!」
「若いのだな・・・谷族の長老たちに伝えよう・・・東族の勇気を」
「待っている、たとえ一人の戦士でも歓迎する!」

「大仙人タルカ、何かの連絡が?」
「来たとも!東族は全戦士が突撃し悪魔を滅ぼす考えだ」
「悪魔を滅ぼす・・・そっま事・・・出来るのか?」
「東族の伝承に悪魔の岩を滅ぼした話が在るそうだ・・・」
「滅ぼせたのか!」
「そう伝えてきたよ・・・戦士に勇気が必要と言ってたが」
「勇気なら負けないぞ!」
「そうだとも!突撃で滅ぼせるなら死など恐れない!」
「谷へ帰ろう、伝えなければな」
2026年7月29日、谷へ帰還。
命風で死んだ者40、意識不明63。
偵察は大成功。
山脈全域に広く住む谷族に呼びかけが広がる

・・・世界を救う悪魔討伐に勇気ある戦士を求む・・・

(我が大仙人タルカ?ただの嘘つきじゃ・・・)
(単なる願望でも・・・絶望よりは良いからの・・・)


やがて悪魔の恐怖が世界に認識され大軍勢が作られた。
谷族戦士含む1200万が東族と共闘し悪魔撃滅に突撃する準備が進んだ。

 

 

 


コメントを投稿