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小説「2023年日本転移」25話

2020年12月30日 | 小説

             25話 2024年7月8日

1000トンのフェリー4隻は修理完了し名古屋と大阪で備蓄少量を満載し台湾に
向けて航行中、帰路は新潟にて建設参加者を下船させ狩猟食料を搭載し台湾へ。
修理開始してるのは1000トンのフェリー6隻、回収準備中が3000トン3隻。
船舶が多数擱座してるのを確認はしてるが距離と大型船で回収に困難がある。
政府は下関ー沖縄ー台湾の航路維持を優先する考え。
青函トンネルの回復は計画さえ出来ていない・・・
他の優先航路として、新潟ー室蘭ー稚内。ひたちなかー仙台ー八戸ー釧路。
(それにしても、政府は最初から無理を要求していたものだ)
杉原総理と最初に会い帰る間際に言われた事
「鈴木さん、60歳以上の国民、被災民を頼みます!」
ただの外交辞令と受け止めていたが・・・
(まさか現実に数百万どころか1000万もの活動を調整する役目とは・・・)
鈴木は大変だが政府はそれ以上に大変な責任を負っていた
食料、回収、治安、エネルギー、輸送、資源、教育、医療、技術維持、
戦力維持、状況調査、台湾支援・・・

第二人事総局陸上課、回収室と農作室は合同で関東農作計画を策定し実行中。
大枠は回収と農作地整備を同調させ関東一円を大農作地域とする事。
高崎ー宇都宮ーひたちなかー銚子ー千葉ーさいたまー所沢ー飯能ー東松山・・・
新潟平野計画。
流出した農作地全域を海抜20mにかさ上げし将来の流出を防ぐ事を期す。
現実には新居が平野の全域をかさ上げすることになるのだが・・・
土石は佐久と松本の間の山を除去し平坦地を作り出す工事の残土を使う。
複複線はこれらの工事を考慮している。
だが現状は手つかずに近い、関東農作計画を推進するだけで能力は限界。

産業回収と回復、車両回収と整備、農作地計画、周辺領域調査計画、船舶修理。
人員と運用・・・
3000万人の主作物を米と仮定すれば1000万トンを必要とする。
輸入途絶の今、食糧作物は米、ジャガイモ、サツマイモ、粟、稗、蕎麦・・・
気候によるがトウモロコシ、ピーナッツ・・・
米の問題が大きい。
日本全国の平野部農地は大災害で壊滅している、土は流され農業施設は破壊され
使用不可能、そして肥料生産にも大被害が出た。化学合成の出発原料は石油由来
であり海岸プラント壊滅により入手不可能。
中央領域で全行程肥料工場を建設中だが生産量は極わずか・・・

鈴木は夕暮れの空を見上げてため息を吐いた
(海洋課の狩猟が日本国民の命を繋いでいるのだ・・・戦後のクジラの様に)

ため息で仕事は終わらない。翌日・・・
総理の元気で明るい表情
「局長!新型偵察機が出来た!高高度偵察が出来るぞ!」
(・・・空元気だろうな、偵察人員の全滅は厳しいはず・・・)
「総局も乗員を・・・」
「うんまあ、そういう事なんだが。乗員がな・・・そろわんのだよ」
「・・・人数は?」
「うむ・・・12名は・・」
鈴木の頭に友を死地に向かわせる自分の姿が見えた
「日数の猶予は?」
「うむ、6日は有るだろう」
「人選を・・・進めて置きます」
「お願いする・・・」

船舶回収室から局長に報告が来た。
・・・船舶回収工事で事故発生、死亡16名負傷8名・・・
・・・修理作業で事故発生、死亡4名負傷3名・・・

関東農作計画室より報告。
・・・現在までの集計、事故死亡146名負傷357名行方不明24名・・・

建設室より報告。
・・・現在までの集計、事故死亡897名負傷1340名行方不明254名・・・

膨大な活動をすれば犠牲者は出てしまう・・・急ぐ必要が有るからなおさら。
実際は集計外の犠牲者ははるかに大勢居るのだろう。
鈴木は夕日に両手を合わせ目を閉じた。

 

 

 

 


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