英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(06)

2004年12月11日 | 名詞
EG05で扱った「物質名詞」の続きです。以下、見ましょう。

(1)a rice (×) (米1粒)
(2)a grape (〇) (ぶどう1粒)

(1)の‘a rice’「米1粒」はアウトで、一方、(2)の‘a grape’「ぶどう1粒」」はOKである、ということですが、お互いに、独自の形状をもつという点は、共通していますし、物質である、という点も共通しています。しかし、その一般的な扱いは、異なっていますので、その基準となる、目を付けるポイントとしては、有意義な象徴的役割が、たやすくイメージできるかどうかにあります。

(3)a grain of rice. (〇) (米1粒)

「米1粒」は、一般的に、有意義な象徴的役割が、たやすくイメージできないようで、むしろ、物質的な側面を強く感じさせると思われていますので、(3)のように、‘a grain of ~’「~ 1粒」として、その粒の単位を、別に表現してやらなければなりません。米は、どちらかというと、たくさんの粒を、十把一絡げにして茶碗に盛る、などというような扱いが普通ですからね。

しかし、一方、ぶどうは、房からちぎって1粒ずつ食べることが一般的ですから、‘a grape’「ぶどう1粒」がOKになります。というわけで、ぶどう1粒と米1粒は、一般的に見方が異なるわけですが、このように考えていくと、以下のような例も、ある程度は合点がいきます。

(4)a sugar (×) (砂糖1粒)
(5)a salt (×) (塩1粒)

(6)a pinch of sugar (〇) (砂糖ひとつまみ)
(7)a spoon of salt (〇) (スプーン1杯の塩)

(4)の‘a sugar’「砂糖1粒」も、(5)の‘a salt’「塩1粒」もアウトです。砂糖や塩の場合も、粒子が細かいものの、米と同様に、液体ではなく固体であり、その1粒1粒が、一応は形状をもっていると言えますが、しかし、あまりにも粒が小さすぎて、やはり、一般的に、その1粒に対して有意義な象徴的役割が、たやすくイメージできません。そこで、むしろ、物質としての側面を強くとらえて、(6)や(7)のように表現するのが、妥当となるわけですね。

ここまでの考えで、とりあえず、一般的に有意義な象徴的役割がイメージしやすいかどうかが、名詞の「可算・不可算」を決定している要因であることは、理解できると思いますが、しかし、実は、このような説明では、まだ不十分であると思われる、結構、身近な反例があります。

(8) a. a chalk (×) (チョーク1本)
   b. a piece of chalk (〇) (訳同上)

(9) a. a paper (×) (紙1枚)
   b. a sheet of paper (〇) (訳同上)

学校で習う際も、強調されることが多いので、よく知られていると思いますが、「チョーク1本」や、「紙1枚」を、(8a)や(9a)のように、ただ単に、‘a’を付けただけで表現すると、アウトです。そこで、(8b)の‘a piece of ~’や、(9b)の‘a sheet of ~’のようにして、表現しなければなりません。

しかし、ここで、簡単にわかるように、「チョーク1本」にせよ、「紙1枚」にせよ、有意義な象徴的役割を果たす状況など、いくらでも想像できますし、また、そういった状況を、特殊なものであり、一般的ではない、などと言って切り捨てることは、いくら何でも無理だと思われます。

チョーク1本は、学校の授業などで、黒板に字を書くという、極めて一般的な用途が定着しており、一方、紙1枚だって、別に、複数枚で使うことが一般的であるにしても、逆に、1枚だけで使うような状況も、同様に一般的と言えるレベルにあると言っても、何ら不自然ではありません。ですので、「チョーク1本」や、「紙1枚」の有意義な象徴的役割をイメージするたやすさは、「米1粒」、「砂糖1粒」、「塩1粒」などのイメージのしにくさとは、雲泥の差があると言えます。

(10) a chocolate (チョコレート1個)
(11) a cup of hot chocolate (カップ1杯のホットチョコレート)
(12) chocolate in powder (粉末状のチョコレート) 

そこで、今度は、‘chocolate’「チョコレート」を考えてみたいと思います。チョコレートには、様々な側面があり、(10)のように、固体である場合もあるし、また、(11)のように、液体である場合もあるし、また、(12)のように、ケーキのトッピング (例えば、ティラミス) などの粉末の状態である場合もあります。

しかし、(10)のように固体の場合のみが、‘a chocolate’「チョコレート1個」のように、直接‘a’をつけて可算名詞として扱えます。チョコレートは、明らかに単一の物質から成るものですが、(8a)の‘a chalk’や、(9a)の‘a paper’がアウトであることとは対照的です。

ですので、(10)の‘a chocolate’のような場合は、物質的な側面が強く感じられないケースに該当する、ということになり、物質的な側面が強く感じられる‘chalk’「チョーク」や‘paper’「紙」とは、決定的に扱いが異なります。

そこで、物質としての側面が強く感じられる「チョーク1本」の場合と、そうではない「チョコレート1個」の場合は、どのように、一般的なイメージの違いがあるのか、ということになりますが、そのポイントは、どうやら、その形状にあると言えそうです。と言うのも、「チョーク1本」の場合、その形状が、常に、単純な棒状であるのに対して、一方、チョコレートの場合は、様々な形状があり、一般的に、1つのデザインとして完結しているものが多いのが特徴です。

具体的には、「チョーク1本」の形状は、その製造過程で、もとはさらに長い棒状だったものが、スパスパと切断されて、手頃なサイズとして、その1本1本ができ上がったような、切断面を簡単にイメージさせるような印象を、色濃く残しています。つまり、デザインとしての完結性が希薄に感じられ、かつ、切りとった一部という、物質的感覚を、なおも保っている形状ということになります。

このことは、「紙1枚」にも当てはまります。やはり、その形状は、その製造過程で、もとはさらに広い面積の紙だったものが、スパスパと切断されて、手頃なサイズとして、その1枚1枚ができ上がったような、切断面を簡単にイメージさせるような印象を、色濃く残しています。やはり、これも、デザインとしての完結性が希薄に感じられ、かつ、切りとった一部という、物質的感覚を、なおも保っている形状ということになります。

(13)a stone (〇) (石ころ1つ)

(13)のような、‘a stone’「石ころ1つ」に関しても、デザインの完結性という点では、「チョコレート1個」と同じ視点でとらえることができます。「石ころ」の形状には、個体差はあるにしても、他から切りとったような、連続性を感じさせる印象はありません。

(14)a bread (×)
(15)a slice of bread (〇) (スライス切り1枚のパン) 
(16)a loaf of bread (〇) (パン1塊)

(14)の‘a bread’「食パン1個」は、アウトです。‘bread’「食パン」は、なかなか難しい部類に入りますが、一般的に、(15)のような、スライス切りした状態で、目にすることが最も多いと思います。これは、当然、外見上からも、切ったような他からの連続性を感じさせる形状になっていますから、デザイン上の完結性は感じられず、‘a slice of ~’「スライス切りの ~」が表現として、妥当ということになります。

一方、(16)のように、まだ、スライス切りされていない状態の大きな塊であるパンはどうかというと、これも不可算で、‘a loaf of ~’「1塊の ~」で表現することになっています。この場合、個体差はあるにせよ、デザインは、(13)の「石ころ」と同じく、連続性を感じさせない完結性があるように思えますので、‘a bread’で表現したい、と考えたくなります。

しかし、「食パン1塊」は、一般的に有意義な象徴的役割、という点では、イメージを欠いています。「食パン」は、スライス切りしない状態で、大きな塊のまま、ガブリと噛みつくようなことは、一般的には、まずありません。ですので、この点、(10)の「チョコレート1個」のように考えるわけにはいきません。

そこで、「食パン」は、一般的に有意義な象徴的役割、という点では、やはり、スライス切りした状態の方で、圧倒的に、そのイメージが浸透していますから、(15)のような、スライス切り状態の方が、主役として認知されているという、特殊なケースに該当します。

つまり、物質名詞が、可算名詞として使われことがOKとなるためには、①・一般に有意義な象徴的役割が感じられるか、という視点に加えて、②・デザインとしての完結性が感じられるか、という2つの条件を、同時に満たしていなければならず、①と②の、どちらかがクリアできない場合、不可算名詞のままでなければならない、ということになります。

今回のポイントは、物質名詞の中でも、よくわかりにくい、「可算・不可算」の境界線を決定する基準の1つの目安です。一般的に、有意義な象徴的役割を果たすと考えられるか否か、という視点に加えて、見た目の印象も、「可算・不可算」の決定に影響を及ぼしている、ということです。それは、デザインとしての完結性があり、他からの連続性を感じさせないような外観をもつ、ということが重要である、ということです。

しかし、このような基準は、結局のところ、主観的なものであることに変わりはありませんから、一応の目安ということ以上に、期待感をもって臨むことは禁物です。ただ、このような視点が身に付いていると、感覚的には、比較的、抵抗感なく、名詞の習得効率は上がっていくと思われますから、まあ、1つ技ということですね。

■注1 :特定の状況に限り、‘a sugar’が、OKになる場合があります。ただし、(4)のように、「1粒」という意味ではなく、「1杯」という意味です。コーヒーに砂糖をいれるような場合、そのような状況は、日常的で、頻繁に起こっていることなので、一般的に、例えば、‘two sugars’「砂糖2杯」、などというような表現が、OKになりやすいようです。

■注2 :「食パン」以外にも、「パン」は、「チョコレート」と同様に、様々な形状があり、デザイン上も、それなりに完結性の感じられるものがありますが、それでも、‘a bread’「パン1個」は、アウトです。というのも、日本語の「パン」と、英語の‘bread’には、認識の差があり、あくまでも、英語の‘bread’は、普通の「食パン」が守備範囲だからです。「パン」は、様々な単語があり、「食パン」以外は、‘a roll’「ロールパン1個」や、‘a bun’「小型の丸パン1個」など、一般的に、別の単語で表現します。


●関連: EG05

みんなの英会話奮闘記★  ★元祖ブログランキング★  ★英語・人気blogランキング


最新の画像もっと見る

コメントを投稿