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英語学習法(07)

2004年12月11日 | 名詞
EG05、EG06の続きです。「物質名詞」です。以下、見ましょう。

(1)a hair (〇) (髪の毛1本)
(2)hair (〇) (全体の頭髪)

(1)も(2)も、髪の毛を表していますが、それぞれ、表現の対象は異なっていて、(1)の可算名詞‘a hair’の場合、「髪の毛1本」になり、一方、(2)の不可算名詞‘hair’場合は、「頭に生えている髪の毛全体」を指しています。そこで、(1)であろうと、(2)であろうと、どちらも、単一の物質的な感じがしますので、両者には、どのような差があるのか、考える必要があります。

単純に考えるならば、頭髪は、1本1本の髪の毛がたくさん集まることで、でき上がっていると言えますから、複数形にして、‘hairs’だと考えたくなります。しかし、(2)の不可算名詞‘hair’の場合、ただ単に、髪の毛の集合を意味しているわけではありません。

むしろ、頭から生えている、髪全体がひとつのまとまりを成して、そのスタイルが整髪によって整ったり、一方、風になびいて崩れたりなどすることが、頻繁に起こるわけですから、どこか、つかみ所のない様々な形状をもっているような感じが、一般的な認識としてあります。ですので、この「形状不定」という点をとらえて、イメージとしては、頭髪全体が物質的な側面を強く感じさせるものとなっているようです。

では、一方、(1)の可算名詞である方の、‘a hair’「髪の毛1本」の場合はどうか、ということになりますが、髪の毛は、例え、1本であろうとも、単一の物質であることに違いはないので、それを、あえて可算名詞とするには、物質的な側面があまり強く感じられないような要因がどこかにある、と考えなければなりません。

(3)a chocolate (〇) (チョコレート1個)
(4)a chalk (×) (チョーク1本)

(3)の‘a chocolate’「チョコレート1個」はOKですが、一方、(4)の‘a chalk’「チョーク1本」はアウトです。チョコレートもチョークも、同じ物質名詞ですが、「可算・不可算」の扱いには、差があるわけです。これは、デザインとしての完結性がイメージできるかどうかが、ポイントとなっています。

チョコレートは、様々なデザインが工夫されていることが、一般的な認識であり、そのことが、物質感の払拭に一役かっていますが、一方、チョークは、単調なブツ切りの状態が一般的な認識ですので、どうも、デザインの完結性に乏しく、まだまだ物質感が強く漂う外観ということになります。 (EG06、参照。)

(3)と(4)のような差は、デザインの完結性という視点で、一応の説明は可能ですが、このような視点で見た場合、(1)の‘a hair’がOKなのは、デザインとしての完結性があるからだと、果たして言えるのかという疑問がわいてきます。そもそも、一般的には、髪の毛1本に、デザインとしての概念など、入り込む余地はない、と考えるのが普通です。

(5)a pipe (〇) (パイプ)
(6)a ditch (〇) (溝、水路)
(7)a road (〇) (道路)

そこで、(5)~(7)の例ですが、どれも可算名詞です。まず、(5)の「パイプ」の場合は、最も単純で、細長い管が一般的です。(6)の「溝、水路」の場合は、一般的に、やや複雑な構造のものもありますが、やはり細長い形状が特徴的です。(7)の「道路」ともなると、信号があったり、横断歩道があったりと、もっと複雑な感じはありますが、それでも、細長い形状が特徴となっています。

というわけで、これら、(5)~(7)は、それなりの構造をもっているし、また、その機能も、かなり明確なので、その点、物質感には乏しいのですが、イメージ上の共通点はあり、どれも、細長い形状が特徴です。そこから、浮かび上がるイメージとしては、「線」というものがあります。この「線」のイメージは、ヒトの認識上の基本概念の1つとも言えるものです。

(8)a line (1本の線)

(8)の可算名詞‘a line’「線」は、(抽象名詞ではありますが) その切れ目を意識する必要など、全くない可算名詞で、例え、どこまでも果てしなく続いていたとしても、「1本」という概念でとらえることが許される名詞です。つまり、例え、目には見えなくとも、どこかにたどり着いて、そこが切れ目になっているのだろう、というような、想像をさせる余地があるので、それだけで、可算名詞として、OKなんですね。

この「線」のイメージは、それに近い形状をもったものを表す名詞を、可算名詞として、特化させるはたらきがあります。(5)~(7)の場合は、多少、物質感に乏しい例ですが、別の視点から、よく考えてみると、「パイプ」、「溝」、「道路」といったものは、それが設置されている場所によっては、先がどこまで続いているのかわからないまま、「1本」として、とらえてしまうことがよくあります。

「線」の概念は、細さが感じられ、そして、相対的に長さが感じられる、ということにつきると思われますが、こういった「線」のイメージが強いと、物質感の強い名詞も、それに影響されて、可算名詞となってしまう傾向があります。今度は、ある程度、物質感の強い、他の例も見てみましょう。

(9)a thread (〇) (1本の糸)
(10)a wire (〇) (針金1本)
(11)a tape (〇) (テープ1本)

(9)~(11)の「糸」、「針金」、「テープ」の場合、どれも、単一の物質から成るものですが、しかし、細さと長さが感じられるものですから、「線」ととらえて、「1本」となり、‘a’をともなう可算名詞の扱いを受けます。しかし、これらは、逆に、細さと長さが感じられない形状になった時点で、不可算名詞としての扱いを受けるようになります。

(12)a spool of thread (糸巻き1巻)
(13)a coil of wire (針金1巻)
(14)a roll of tape (テープ1巻)

(12)~(13)の「糸」、「針金」、「テープ」の場合、どれも、巻いた状態になってしまっているので、もはや、「線」のイメージが失われて、単一物質の塊に感じられます。その巻き方は、もちろん、常に一定ではなく、様々な巻き方がありますので、「形状不定」の物質というイメージの変化が現れて、物質感の強さが色濃くなります。ですので、‘a’をともなうことのない、不可算名詞の扱いを受けています。

ところで、この「線」のイメージは、かなり強力な認識概念らしく、①・一般的に有意義な象徴的役割があるか否か、そして、②・デザインとしての完結性が感じられるか否か、といった概念を、簡単に凌駕してしてしまうほどの力があります。 (①については、EG05、②については、EG06、参照。)

例えば、OKである、(1)の‘a hair’「髪の毛1本」の場合、なかなか、①に合致するようなイメージがあるなどとは、想像できませんし、また、既に述べたように、②の概念なども、介入する余地がありませんので、本来ならば、アウトになってしまうところです。しかし、それにもかかわらず、ただ単に、その形状が、細く、長い、と判断されて、「線」のイメージが確定した時点で、一発で可算名詞として、OKになってしまうんですね。

「線」のイメージが、強力な認識概念であることは、(5)~(11)の全ての例で、例え、それがどこかで終わってしまうような、切断された「線」であっても、OKにできる、という事実からも、よく理解できると思います。例えば、(4)の‘a chalk’「チョーク1本」はアウトですが、その原因は、他からの連続性を感じさせるような、ブツ切り感が漂う形状のためで、②のイメージに乏しい、とされたことにあります。

しかし、(5)~(11)の場合、「パイプ」、「溝」、「道路」、などは、どれも、どこかで途切れているのだろう、というようなイメージは、誰でももっているし、一方、「髪の毛」、「針金」、「テープ」などは、ハサミで切り取ってしまえば、まさに、ブツ切り状態にすることが可能です。それでも、なお、細く、長い、という「線」のイメージが漂っていれば、可算名詞として、OKにできるわけです。

こういったことからも、「線」のイメージは、名詞の「可算・不可算」を決定する上では、①や②の概念の、さらに上に位置するような、一段高い上位概念である、と言えます。ヒトは、ある対象を、デザインとしての完結性があるか否かで区別する傾向がある一方で、単純に、「線」として認識できるか否かにも、意識をはたらかせて区別をする、という認識活動を行っているわけですね。

今回のポイントは、デザイン的な完結性とは、全く無縁の概念である、「線」のイメージです。このイメージは、ヒトの認識活動上、非常に重要なウェイトを占めているため、その認識の発現例として、かなり物質的な感じのする名詞をも、可算名詞に変化させてしまう威力があるのがわかりました。ヒトは、基本となる認識概念から、対象をとらえようとする生き物である、というのは、なかなか面白いものですね。

■注 :「チョーク」は、どうやら、細く長い、とは見なされないようなので、①や②の条件をクリアすべき対象になるようです。確かに、実物を見れば、わかるとおり、細いというには、案外、太さがあり、また、長いというには、案外、短いものです。

●関連: EG05EG06

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