キリスト者の慰め

無宗教主義の著者が、人生の苦しみに直面し、キリストによって慰めをえる記録

カナの婚礼

2009-08-31 16:30:25 | 聖書原典研究(ヨハネ文書)
あなたは良いぶどう酒を今まで取っておかれました。
(ヨハネ福音書2-10/新共同訳)



イエスが起こした最初の奇跡である「カナの婚礼」。

結婚式でぶどう酒が足りなくなり、

イエスが水をぶどう酒に変え、

この貧しき新郎新婦を祝福したと解釈されている「カナの婚礼」。

これ、明確な誤訳というよりは、人間勝手な曲解である。

使徒ヨハネはイエスの受難の序曲を記述せんとしていること、

さらには、原語では「あなた(συ)」を強調していることから、

賛嘆の言葉というよりは、非難の言葉と解釈すべきである。


あなたという人は、良いぶどう酒を今までとっておいたのか!
(ヨハネ福音書2-10/私訳)


当時の結婚式では普通、最初に良いぶどう酒を出し、客を楽しませ、

酔っ払って味がわからなくなったころに、悪いぶどう酒を出した。

だから、良いぶどう酒を最初に出すことは、常識中の常識だった。

それが最後に良いぶどう酒を出したものだから、

「あなたは何で今まで良いものを取っておいたのか!?」

と管理者は非難したのである。

イエスの最初の奇跡、善意から出た奇跡が、

罵倒されるほどに誤解されたということ、

このことを、使徒ヨハネは言いたいのだと思う。


預言者の後に神(イエス)は来る。その逆ではない。

しかし人は、最上に良いもの(イエス)を、非難する。

彼は世を救うために来たのに、すなわち善意から来たのに、

「何で来たのか!?」と非難し、攻撃し、極刑を課したのである。

カナの婚礼は、イエスの生涯の縮図である。


人は、自分に似たもの、世から出たもの、

自分の好みに合うものは、おおいに歓迎するが、

自分と異質なもの、すなわち神には、

到底耐えられないのである。


カナの婚礼は、神の祝福の初めではない。

カナの婚礼は、イエスの受難の初めである。

カナの婚礼にイエスの悲劇を見ることによって、

イエスの十字架上の死の深刻さと、神の恩恵の強さが、

鮮やかに映し出されるのである。

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1 コメント

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そのとおり (あんちかると)
2011-03-08 16:27:00
そうですよね、そうだそのとおり
納得です。
教会は、間違った事ばかり離している。
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