この世には、どうにでもできる問題と、できない問題がある。
自分の境遇を変えることは、残念ながら、人間の直接的な支配領域ではない。
仕事に不満を持っていても、それを明日にでも変えることはできず、
人間関係に不満を持っていても、まるで魔法使いのように変えることはできない。
しかし境遇を変えられずとも、人間はその境遇の受け取り方を変えることができる。
不遇な境遇にあっても、それを日々嘆きつつ生きるか、
その根底に自分を修練させる意図を読み取り、喜びをもって生きるか、
それは人間の自由である。
境遇は変えられない、しかし、自分の心は変えることができる。
変えられない境遇を嘆くよりも、それを支配できない自分の心を嘆くべきである。
哲学者エピクテトスが言ったように、変えられない境遇について嘆くから、
いつまでも不安が耐えないのである。
そして、答えの出ない不安に囚われているから、
不安が不安を呼び、生きる力を蝕んでいくのである。
嘆くべきは、境遇を支配できない己の心である。(箴言16-32) . . . 本文を読む