ビジネス書の厳選情報を毎日お届け 「ビジネスブックマラソン」 バックナンバーズ

アマゾン元バイヤー、土井英司による厳選ビジネス書評メルマガ。ベストセラー分析と本当に読むべき珠玉の一冊を提供しています。

『コミュニケーションのノウハウ・ドゥハウ』

2005年05月16日 | Weblog
http://tinyurl.com/akqrl

本日の一冊は、野口吉昭さんが代表を務めるコンサルティングファーム、HRインスティテュートによる定番シリーズの最新刊です。

シリーズものとはいえ、今回は「コミュニケーション」がトピックということもあり、売れているようです。

本書で扱っているコミュニケーションは、個人のものから、リーダー、チームまでさまざまです。全体としては、コミュニケーション力を「人間力」「論理力」「対話力」に分け、それをさらに「自分軸」「相手軸」に切り分けて、必要なスキルをまとめています。

注目したいのは、それぞれのスキルを鍛えるのに必要な、トレーニング方法が示されている点。これまで、極めて感覚的なものとされていた「人間力」についても細かく分解し、人間力を高めるための考え方やトレーニング方法が示されています。

チェックシートもついているので、自分のコミュニケーション力をチェックして、必要なスキルの部分を拾い読みするだけでも効果があると思います。

使い勝手がよく、コミュニケーションの要諦がうまくまとめられています。「伝える力」を鍛えたい人に、ぜひおすすめしたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆「守・破・離」によって人は成長する
・「守=信頼」~基本を備え、基本を遵守する
・「破=理解」~矛盾・壁を超え、異なる価値を認め合う
・「離=行動」~新たな価値創造へ向けて動き出す

人は人の話を聞いていない。だからこそ、まずは、コミュニケーションの基本でもある「関係性を認識する」「連携を図る」ことが不可欠

◆コミュニケーションに必要な3つの力
1.人間力:自己を確立し、相手の立場に立つ力
2.論理力:話を構造化し、相手にわかりやすく伝える力
3.対話力:しっかり相手の心を捉え、相手の納得を生む話をする力

「納得」のコミュニケーションをとるためには、相手の心を捉え、相手の心に訴える話をすることができるかが問われる

1.「人間力」に必要なスキル&コンピテンシー
自分軸:使命感、本質探求力、ポジティブ思考
相手軸:誠実な姿勢、幽体離脱、モチベート
2.「論理力」に必要なスキル&コンピテンシー
自分軸:フレームワーク思考、仮説検証力、プランニング力
相手軸:心聴力、問答力、創発力
3.「対話力」に必要なスキル&コンピテンシー
自分軸:情報収集力、ビジョン共有力、提案力
相手軸:わかりやすい表現力、メッセージ力、パワースピーチ力

そもそも信頼できる人は、人間としての「(視点の)高さ」と「(思考の)深さ」と「(行動の)明るさ」をもっている

人間は相手との関係性によって、侵されたくない自分との距離を持っている。その距離に立ち入れば不快感を与えることになるが、逆にあえて立ち入ることによって、相手の感情を自分優位にすることもできる

女性にとって、親しい異性から軽く触れられて心地いい場所が「頭」、そして男性の場合は「二の腕」

「会社が目指す方向はこうだ!」では弱い。「だから、わがチームは、私はこうする!」を発信する。リーダー自らが目的志向になる。そして、メンバーにも、常に目的志向であり、自らのミッション、役割を自覚させることである
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『コミュニケーションのノウハウ・ドゥハウ』
http://tinyurl.com/akqrl
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■目次■
はじめに
第1章 そもそもコミュニケーションとは何か?
第2章 コミュニケーションに必要な「三つの能力」
    ――人間力、論理力、対話力
第3章 「自分パワーアップ力&相手シナジー力」を鍛えて、
    相手から信頼される
第4章 「ロジック力&聴く・訊く力」を磨いて相互に理解しあおう
第5章 「シナリオ力&伝える力」を向上させ、次なる行動を生み出す
第6章 「言霊」――言葉に宿るパワーを活用しよう
第7章 「身体を使う」――言葉にしなくても伝わるメッセージ
第8章 「チームアップ!」――チームを進化させるコミュニケーション
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『思考停止企業』

2005年05月15日 | Weblog
http://tinyurl.com/93ryw

本日の一冊は、ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会(JECS)が、クライアント企業の事例をもとに、ナレッジ・マネジメント実践の要諦をストーリー形式でまとめた、注目の一冊です。

1950年代に創業されたユニバーサル精機という精密機械部品メーカーを舞台に、ナレッジ・マネジメントによる「営業改革」のドラマを繰り広げられる、なかなか刺激的なビジネス小説です。

体系的にまとめられた理論書では決して表現できない関係者の利害関係や心情がうまく描き出されており、改革を実践する際の、現実的な問題点を理解することができるのが特長です。

プロジェクトチームにどんなメンバーを招集すればいいのか、各部署の利害関係の調整はどうするのか、ナレッジ・マネジメントを成功させるための具体的な手順はどうすればいいのか…。じつにさまざまなトピックが、このストーリーに凝縮されています。

ただ、問題があるとすれば、明確な手順を示したとはいうものの、「本当にこの施策で人は動くのだろうか?」という疑問が残る点。

社員が実際に参加するしくみ、という点では、『100億稼ぐ超メール術』で紹介されていたライブドアの営業日報の方が参考になると思います。

※参考:『100億稼ぐ超メール術』
http://tinyurl.com/5ojhg

全体的には、小説の内容もおもしろいし、マネジメント的にも参考になる部分が多いと思います。ナレッジの共有に関心のある方は、ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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雇用の流動化で腰が落ち着かない新人に、先輩だって親身に仕事を教えるはずがない

成果主義の弊害=トラブルやクレームに対する減点意識

研究開発や生産、そして営業という基幹部門は、知識と経験とノウハウが要求される分野だけに、そう簡単に優秀な人材を補充できるものではない

プロジェクトは、秘密にすればするだけ、ねたみや批判的な人が出てくる。全社的な危機意識を持たせるためにも、ある程度はオープンにしておいたほうがいい

神経が切れているなら、つなげばいい

成功している企業は、すべて固有の価値を持つ製品をつくっている。その根幹にあるのは人間のアタマのマネジメントであり、ヒトの配置や業務プロセスやカネの使い方は、それを中心として発想されなければならない

すべきことと目標は、できるだけ単純化したほうがいい。現場では詳しい説明が必要な言葉は使わないほうがいい

ナレッジマネジメントを目的でなく、何かを達成する手段として位置づけておかないと、人は動きません

オマケ的な評価では本腰を入れた協力はしてくれない

訪問記録にせよ、提案書にしても、結果だけでなく、なぜそうなったのかといった背景情報がついていなければナレッジにならない

事業の課題は組織で解く。組織の課題は事業で解く
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『思考停止企業』
http://tinyurl.com/93ryw
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■目次■
第1章 忍びよる危機
第2章 スペックと価格だけではモノは売れない!
第3章 組織の壁を乗り越える
第4章 成果への確かな歩み
エピローグ
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『非常識会計学!』

2005年05月14日 | Weblog
http://tinyurl.com/d3k4x

本日の一冊は、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』で大ブレイク中の山田真哉さんと、ベストセラー『公認会計士2次試験 非常識合格法』の石井和人さんによる共著です。

※参考:『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』
http://tinyurl.com/4rarp

※参考:『公認会計士2次試験 非常識合格法』
http://tinyurl.com/9xlqg

サラリーマン・投資家向けに財務諸表の読み方をわかりやすく書いた本はこれまでもありましたが、この本は、学問としての会計学をわかりやすく学べるのがポイントです。

重要な原則を囲みや太字でまとめ、身近な事例をイラスト入りで紹介したつくりがとても読みやすく、好感が持てます。

また、山田真哉さんのファンにとっては、コラム的に掲載されている「女子大生会計士の事件簿 ベンチャー企業殺人事件」が注目。いつも通り、カッキーと萌さんが大活躍する、楽しい読み物です。

会計の原則や考え方の基礎を学びたい人は、堅苦しい会計書を読む前に、ぜひ読んでみてください。

きっと理解が深まるはずです。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆費用収益対応の原則
企業活動における経済的な成果と経済的な犠牲とをできる限り経済的な因果関係に即して把握すべきことを要求する利益計算の基本原則

◆実現主義の原則
1.財貨または用役(サービス)の企業外部者への提供
2.現金または現金請求権の受領
という2つの要件を充たしたときに収益を計上する原則

◆出荷基準
商品や製品を出荷した時点で収益を計上
※売上収益の計上については、実現の要件を充たしているかどうかがポイントなのであって、「はじめに出荷ありき」というわけではない

◆発生主義の原則
数量の減少、価値の低下、時間の経過、役務(サービス)の提供など、経済価値の費消事実が生じたときに費用を計上する原則

◆費用配分の原則
資産の取得原価のうち、その費消部分を当期の費用として配分するとともに、未費消部分を次期以降の費用として配分すべき

◆棚卸資産の評価方法
1.先入先出法 2.後入先出法 3.個別法

◆保守主義の原則
企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない

◆棚卸資産の評価基準
1.原価基準 2.低価基準

◆経理自由の原則
1つの会計事実に対して、複数の会計処理方法を認め、その中から、業種、規模、経営方針などの個別的事情や環境諸条件に照らして、最も妥当と判断されるものを企業が選択して適用する自由を認める原則

◆継続性の原則
企業会計は、その処理の原則および手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない

◆流動固定分類のポイントとなる短期間か長期間を決める基準
1.1年基準(ワン・イヤー・ルール)
2.正常営業循環基準
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『非常識会計学!』
http://tinyurl.com/d3k4x
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■目次■
第1話 お金を使って初めて見返りが得られる
第2話 因果関係ってどんな関係?
第3話 「本当の儲け」と「ウソの儲け」
第4話 土地や建物も棚から卸すの?
第5話 犠牲と成果を結びつけるにはどうすればいいの?
第6話 売った商品の仕入れ値がわからないときはどうしよう?
第7話 商品の価値が下がったらどうする?
第8話 いずれダメになるなら、いつ費用にすればいいの?
第9話 企業の個性は尊重される?
第10話 費用を計上したいが貸方科目がない?
第11話 V字回復のトリック?
第12話 負債は債務とは限らない?
第13話 元手と儲けは株主のもの?
第14話 粉飾決算は絶対にいけない
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『適材適所の法則』

2005年05月13日 | Weblog
http://tinyurl.com/98mo9

本日の一冊は、NPO法人学習学協会の代表理事であり、コーチング関連の著書で知られる本間正人さんが書いた、ありそうでなかった「適材適所」に関する本です。

本書のなかで著者は、企業にとって「適材適所」が重要になった理由を6つ、挙げています。かいつまんで言うと、現在の企業では、企業の将来を担う正社員の比率が著しく減少しており、個人のキャリアパスをきちんと考えてあげる必要性が高まっています。

ところが、コンピテンシー・モデルは導入したものの、外的・客観的に計測可能な能力分野に偏ったものが多く、コンピテンシー自体が不適切になるという事態が生じています。

加えて、若手はプレイング・マネジャーとして登用され、マネジャー適性とプレイヤー適性の両方を求められる。それに成果主義や人材の流動化が加わって、優秀な若手が辞めてしまうという現象が起こっているのです。

では、このような事態を防ぐために、どうやって適材適所を実現していくべきなのか。本書は、まさにこの点について述べています。

おもしろかったのは、適材適所を考える際は、「ある時点をとってピンポイントで考えるだけでなく、数年間、数十年の期間を通じて、『長期的に適材適所になっているかどうか』を考える必要があるという指摘です。

これは、成果主義により短期的な成果を求められる現在、マネジャー、部下双方に欠けている視点ではないかと思われます。

本書では、この長期的な適材適所を実現するために、マネジャーがどうやって部下と対話すればよいか、という点を、コーチングの視点から説明しています。

具体的な対話例をもとにした「適材適所コーチング」の例は、マネジャーにとって良い参考となるのではないでしょうか。

チェックシートや具体例などが豊富で、とても実践的な一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆「適材適所」が重要になった6つの理由
1.正社員比率が低下し、プロフェッショナル人材への要求も高まった
2.あらゆる職種で、求められるコンピテンシーが変わった
3.コンピテンシー・モデルを導入したのに、うまくいかない企業が多い
4.プレイング・マネジャーが激増し、不適合も増えた
5.転職率の上昇で、不適所と思えば優秀な若手ほど辞めてしまう
6.成果主義の導入で、不適所になると報酬もやる気も低下する

企業として大事なことは、いつの時点で、「マネジャー候補か、この道一筋でいくスペシャリストか」を判断するということ

非正社員の人にも適材適所を

あるコンピテンシー・モデルで定義された仕事があったとき、それに一番近い人を選ぼうと思っても実際にはその仕事の周りには人がいます。だから人間関係も考えてあげないと、いくら個人としてはコンピテンシー・モデルに適合していても、実際の仕事はうまくいきません

プレイヤーとしての能力が高くても、マネジャー適性が低い人をマネジャーに抜擢してはいけない

適材適所度は、ある時点をとってピンポイントで考えるだけでなく、数年間、数十年の期間を通じて、「長期的に適材適所になっているかどうか」を考えることができる

◆適材適所の法則
1.適材適所は事後的にしかわからない
2.「適材適所度」を学習努力により高めることができる
3.「適材適所度」を高めるには対話が役立つ

組織人として高い業績をおさめてきた人の多くが、不遇の時にしっかり充電をして、次の飛躍に備えていたようです。適所の場合にも人間は成長するものですが、不適所にある時こそ、意識して学習するかしないかの差が大きくつくのではないでしょうか?
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『適材適所の法則』
http://tinyurl.com/98mo9
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■目次■
まえがき
第1章 今、なぜ適材適所が重要なのか
第2章 あなたの「適材適所度」を分析する
第3章 これからの適材適所モデル
第4章 適材適所の法則
第5章 適材適所コーチング
第6章 「適材適所度」を高めるために
あとがき
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『成功する男はみな、非情である。』

2005年05月12日 | Weblog
http://tinyurl.com/avbmu

本日の一冊は、土井にしては珍しく、ライターさんの書いた本です。

通常であれば、ライターの書いた受け狙いの本はご紹介しないのですが、この著者の角川いつかさんは、数多くのビッグネームたちから、取材を通じて裏話を聞き続けている人物。

そのビッグネームたちが語った、権謀術数の「強者の理論」ということで、あえて紹介することにします。

『成功読書術』の『君主論』のパートで述べたように、ビジネスにおいて、ビジョンや理念は大切ですが、強くなければ、大切なものを守ることはできないのもまた事実です。

※参考:『成功読書術』
http://tinyurl.com/4s4kf

※参考:『君主論』
http://tinyurl.com/8f9jl

本書では、紹介するのもはばかられるような、成功者の人との付き合い方や交渉、考え方などが、ありのままに書かれています。

著者の主張や、ときおり誌的になる表現に「?」を感じることもありますが、「野獣の気性」を学びたいビジネスパーソンには、良い刺激を与えてくれる一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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できる男は、まず結論から先に言う

すぐ行動しなければ、チャンスはつかめない。成功する人にはスピード感がある

成功する人間は深々と頭を下げる

金に照れてはいけない。そうすると金が逃げるよ(大手芸能プロ会長)

成功する人間は、何とかして人に”貸し”をつくろうと苦心する

矢が飛んでこない一番後ろのほうにいて、やばくなったらとっとと逃げる。卑怯と言われようが、それが戦い方というもの。将が生きている限り、復活のチャンスはいつでもある

マイナスをプラスに裏切って、なおかつ、人を動かす。でも、本性は見せない

成功した人は、自分が気に入った若い人に賭けたがるもの

上位二割になれる人間は、覚悟がいる。平凡な幸せに拘泥しない

誰を斬るべきかは、変な同情心を捨てればはっきりわかる。それを斬れないから「成功者」になれない

ついていい嘘がとっさに言える――これも成功するために必要な要素かもしれない

いざというタイミングでは、親しい友人や、女でも平気で裏切れる自己中心的な精神構造が必要
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『成功する男はみな、非情である。』
http://tinyurl.com/avbmu
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■目次■
はじめに
第1章 非情の哲学
第2章 成功者の行動
第3章 成功者の条件
第4章 成功者の見方
おわりに
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『団塊と団塊ジュニアの家族学』

2005年05月11日 | Weblog
http://tinyurl.com/drf3e

本日の一冊は、これからの日本の消費をになう、団塊世代と団塊ジュニアに関する動向分析です。

執筆を、電通の消費者研究センターが担当しており、データに基づく分析が、両世代の現状をよく説明しています。

結婚や出産、仕事に対する考え方、ライフスタイルや消費の傾向など、マーケターが知りたいあらゆる情報が入っています。

データの解釈が腑に落ちない部分もあるにはありますが、その点を差し引いて考えれば、なかなか参考になる本です。

データを読むことのメリットは、これまでの思い込みを捨てることができる点です。たとえば、「単独世帯が今後増えていく」という話は、誰もが納得する話ですが、多くの人が連想するのは、「結婚しないひとり暮らしの若者が増えていく」ということで、じつは、「長寿化に伴って、お年寄りのひとり暮らしが増えていく」ことが原因であるとはなかなか気づかないものです。

こうした思い込みに気づかせてくれるのが、本書の魅力的な点です。

本書では、これからの団塊・団塊ジュニアのトレンドとして、親と近居する「平成拡大家族」というコンセプトを打ち出し、その具体的な消費性向についても述べています。データによると、かなり多くの人々がこのライフスタイルをとっており、今後の消費をうらなう上で、重要な考え方になると思われます。

マーケターはもちろん、これからビジネスを立ち上げる方や、投資家にとっても、参考となる一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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一家4人の核家族を含む「夫婦と子からなる世帯」は1980年に全世帯の42.1%を占めたのをピークに減少し続け、2000年の1492万世帯を経て、2025年には1200万世帯に減少してしまいます(24.2%)。それに代わって、2007年にはひとり暮らしの人からなる「単独世帯」が最も多い家族形態になります

(年配の)女性は平均で9年間のひとり暮らしの期間ができる

さほどキャリアを求めていない85%の女性でも結婚と子育てに埋没せずに社会とつながりを続けられるような、開かれた家族像を求めている

既存の職業や仕事ではなく、「自分というブランド」で絶大な影響力を他人に対して持ちたいというのが現在の若者の夢

東京圏では未婚者の約35%がパラサイト・シングル

若い男性の中で、女性のように、自分のテイストやポリシーを持って、自分を魅力的にプレゼンテーションしていきたいという動きが見える

収入が高い人ほどやりがいがあるいい仕事に就いているので、その仕事を他人に取られないように、より一層仕事を頑張るようになり、そのうち始終仕事のことが頭から離れず、家族のことに費やす時間がなくなってしまう

単独世帯の77.3%は女性

◆団塊世代が挑戦したいライフスタイル
1.体を動かす生活を目指す
2.遊びを中心とした生活
3.自己表現にこだわる生活
4.新たにボランティア・NPO運動を始める生活
5.発言権を増す団塊世代

結婚して親と近居が新たな幸福戦略
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『団塊と団塊ジュニアの家族学』
http://tinyurl.com/drf3e
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■目次■
第1章 いま、再生に向かう家族の肖像
第2章 CMから見る家族像の変遷
第3章 団塊世代と『平成拡大家族』の肖像
第4章 『平成拡大家族』のマーケティング
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『パワー・セールスの技術』

2005年05月10日 | Weblog
http://tinyurl.com/czdt8

本日の一冊は、コンピュータ業界を中心に活躍した伝説の営業マンで、現在、アメリカでもっとも有名なセールス・トレーナーとして活躍中のアンソニー・パリネロさんによる法人営業の極意です。

サブタイトルに「商談を2回で決める戦略シナリオ」とあるように、その内容はじつに戦略的です。

情報収集のポイント、キーパーソンを押さえる際の考え方、そして細かな営業テクニックまでが、実例をもとに紹介されています。

著者が言うには、営業では、推薦者や影響者、決定者、承認者といった4種類のキーパーソンを押さえ、各営業プロセスにおいて活用していくことが重要です。

本書では、そのキーパーソンたちの見極め方や、彼らとどう関わっていけばよいかといった点が詳しく説かれています。著者の失敗例を読みながら、真のキーパーソンを探し出すための考え方が学べる点が、本書の最大の特長かもしれません。

著者によると、キーパーソンは複数おり、しかも一人が複数の役割を兼ねていたりもします。では、どうやってこれらのさまざまなアクターを管理すればよいのでしょか。著者は、これに対し、独自の「TIPシート」と呼ばれるメモの活用をすすめています。

これをベースにキーパーソンを管理し、キーパーソンたちが
1.嬉しいと感じること
2.すべきこととしてはならないこと
3.投げかけるべき質問
のリストを考慮すれば、商談が円滑に進められるでしょう。

さらに本書では、顧客と接触するさまざまな場面でのやり取りの方法を、具体的な会話例を交えながら説明しています。なかには、通常の営業本で語りつくされているような内容もありますが、ポイントを明確に押さえた議論で、好感が持てます。

法人営業のプロに読んで欲しい、実践的な一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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相手企業の誰が何の権限を握っているのかを知らずして、成功はおぼつかない

2回目以降の交渉では、キーパーソンを正しくとらえられるかどうかですべてが決まる

最も重要な要素は、舞台に上がった人物の「影響力」「決定権」「承認力」である。この3つの力を持つキーパーソンに照準を合わせれば話は早く、2回目のチャンスは増え、営業という仕事が楽しくなり、儲けも増える

生涯価値は、相手企業に対して横断的に働きかける営業担当者の力量に正比例している。さまざまな部署に広く働きかけていこうという気持ち、真のニーズを理解し、しっかりと把握しようとする気持ち、1回限りでない長いお付き合いを志し、ますますひいきにしてもらえるよう努力しようという気持ちだ

◆営業プロセスの4ステップ
1.感触を探る→推薦者
2.情報交換を開始する→影響者
3.味方につける→決定者
4.説得する→承認者と決定者

◆5つの大罪
1.独善的なおしゃべり→話のポイントを定める
2.不適切な言葉遣い→相手にわかりやすい表現の仕方を把握する
3.独演会→時間制限を設けて、必ず守る
4.誇張→約束の内容を吟味する
5.領域侵犯→断りを入れてから、段階的に接近する

◆10の原則 ※一部抜粋
1.地位の低い人物を最初に働きかける相手に選んではならない
2.他人に営業活動を任せてはいけない
3.商品知識を見込み客に教えすぎてはならない
7.異論反論を無視したり、中途半端に答えたりしてはならない
8.切迫感をつくり出せ
10.最初のアポを取るときは、トップと会う約束を取り付けよ
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『パワー・セールスの技術』
http://tinyurl.com/czdt8
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■目次■
1.現状を見つめる
2.キーパーソンは誰か
3.4つの役回り
4.横断的な働きかけ
5.営業プロセスの4ステップ
6.営業プロセスの基本
7.2回目のアポを有効にするために
8.5つの大罪
9.最初の一手が成否を決する
10.10の原則
11.勝率を上げる3つのカギ
12.話題の選び方
13.顔合わせのポイント
14.自信を持ってアピールする
15.引き際のポイント
16.ニーズはあるか
17.手紙とeメールのコツ
18.電話のコツ
19.最初のアポを取る
20.効果的な宿題のコツ
21.10のパワー・ステップ
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『すごい会議』

2005年05月09日 | Weblog
http://tinyurl.com/9km9k

本日の一冊は、インターネットブームの際にシリコンバレーで起業し、著書『ガズーバ!』で好評を博した著者が、アメリカで習得した「すごい会議」のやり方を示した注目の新刊です(現在予約中)。

※参考:『ガズーバ!』
http://tinyurl.com/eyzmp

本書で紹介されている会議の手順は、著者が現地の著名なマネジメ
ントコーチ、ハワード・ゴールドマンに教わったもので、著者自身も現在、このサービスを生業にしているようです。

この手法は、ヤフー!やアップル、P&G、アクセンチュアなどの有名企業でも採用されているようで、ひと言で言えば、会議を建設的に行い、成果を出すための質問術&運営術です。

会議の目的を確認する、他人の意見に左右されないように紙に書いてから発表する、問題点や懸念事項を「どのようにすれば~か?」の疑問文に言い換える、など、数多くのアイデアが示されており、じつに参考になります。

巻末には、この会議の手順や、必要となるシートを掲載しているので、すぐにでも実行できるのが特長です。

著者が言うように、「放っておくと会議の時間の九五%は『コメントの交換』に使われて」しまいます。

建設的な会議を望むマネジャーに、ぜひおすすめしたい一冊です。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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最初の質問は「このミーティングが終わったときにどんな成果を上げることを期待しているか?」

普通だったら、「紙に書いてから言うと、人の意見が入らないメリットがあるので、紙に書いてから発表してください」とやるところを、「まずやってもらってから、そのメリットに関して質問する。深い洞察のアイデアを提供する」の手順でやると、納得というか、落とし具合がとてもすとんと入る

うまくいっていることを発表し合うという手法を使えば、「雰囲気をよくする」ことができる

「できない説明ではなく、解決策を言ってほしい」というのは、すべての経営者が社員に対して求めていることだが、それを手に入れられる経営者は多くない。ところが、「どのようにすれば」と言い換えただけで、その状況がいとも簡単につくれてしまった

言わなかった問題、言えない問題、言ってはいけない問題はなにか?

この部屋の外にいる連中に、ここで起こったことをどういうふうに伝えれば、彼らから情熱を注いでもらえるか?
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『すごい会議』
http://tinyurl.com/9km9k
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■目次■
はじめに
第1章 展望と挫折、そして困惑
第2章 現状が求める能力が、自分の能力を超えるとき
第3章 Let's Begin!
第4章 組織を「自己啓発」する
第5章 会議が変われば会社が動き出す
エピローグ
おわりに
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『ジョイ・オブ・ワーク』

2005年05月08日 | Weblog
http://tinyurl.com/7olbh

本日の一冊は、デミング博士の弟子であり、現在、青山大学大学院の教授をつとめる吉田耕作さんが、自らが編み出したマネジメントおよび仕事の方法論を紹介した一冊です。

多くの本で成果主義の問題点が指摘されていますが、本書で著者は、成果主義がうまくいかない理由を統計学的に説明しています。

つまり、仕事全体のクオリティを高めるためには、ばらつきがあってはいけない。成果主義のもとではばらつきが大きくなって、全体のクオリティが下がるというのです。

また、デミング博士の「ビーズの実験」の例を取り、サラリーマンの成果の約8割は、その個人の属しているシステムに決定されており、本人にはコントロール不可能である、とも指摘しています。

つまり、企業にとって大切なのは、「質」を生み出すためのばらつきの管理であり、経営者に求められるのは、安心して働ける環境作りだというのです。

そこで、著者が提唱するのが、CDGM(Creative Dynamic Group Method)と呼ばれる概念。簡単に言えば、人々を協調させることによってグループ全体の生産性および組織全体の競争力を高めようというものです。

本書では、このCDGMについて、概念から具体的な実践方法、実際の企業の実践例までが示されています。QCに対しては、悪いイメージを持っている人もいるでしょうが、成果主義が崩壊しつつある今、この考え方自体は注目すべきものと思われます。

また、コラム的に扱われてはいますが、個人的には、セブン-イレブンが選択と集中で業績を改善した話や、内因性モチベーションを外因性モチベーションにすりかえ、子供に悪口をやめさせた用務員のおじさんの話などが載っている、「吉田語録」が参考になりました。

値段や装丁、タイトルなどのせいでちょっと手に取るのをためらってしまいそうな本ですが、オペレーションの担当者や人事、トップマネジメントは必読です。経営者として、個人的にもいい勉強になりました。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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品質管理でいう品質向上とは、ばらつきを減らし平均値を改善することを意味する

競争は一般にばらつきを広げ、協調は一般にばらつきを狭くする

デミング経営哲学の2本の柱は、従業員の心理の理解と、個々の人間及び部門が全組織とどう関わっていくべきかという理解であり、特にトップマネジメントの責任が強調される

人間としての最も基本的な2つの欲求――生理的欲求と安全欲求――を満たす主たる責任は、トップマネジメントにある

下部の4つの欲求が満たされていない限り、いくら経営者が従業員に質の良い仕事を求めても徒労に終わる

成果の約8割は、その個人の属しているシステムにより決定される

重要なのは従業員の手足だけではなく、彼らの頭脳であり感情である

長続きのする小集団活動は主として外因性モチベーションではなく、内因性モチベーションにもとづいた意欲付けが必要

◆デミング14ポイント ※一部抜粋
1.競争力をつけ、生存し続け、そして従業員に職を与え続けるために、製品やサービスをつねに向上させる一貫した不動の目的を打ち立てること
3.品質を達成するために、検査に頼るのをやめること。最初の段階で質を製品に織り込むことにより、大量の検査に頼る必要性を排除すること
4.価格だけで仕入れを決定する習慣をやめ、その代わり、総コストを最低にすること。それぞれの仕入れ項目については、忠誠と信頼の長期関係にもとづき、仕入先を1社にする方向にもっていくこと
8.全員が会社のために効果的に働けるように恐怖心を取り除くこと
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『ジョイ・オブ・ワーク』
http://tinyurl.com/7olbh
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■目次■
はじめに
第1章 なぜ日米の競争力は逆転したのか?
第2章 新しいTQMのコンセプト
第3章 どうしたら改善できるのか?
第4章 ばらつきを管理しよう―管理図
第5章 Creative Dynamic Group Method―創造力を最大限に発揮させるグループ
第6章 日本のQCサークルはなぜ衰退したのか?
第7章 社会福祉局だって、改善できる
第8章 CDGMの実践1―元気のいい中小企業の話
第9章 CDGMの実践2―成熟した会社だって、改善できる!
第10章 デミング経営哲学の真髄―デミング14ポイント
第11章 文科系の学生に競争力を
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『起業バカ』

2005年05月07日 | Weblog
http://tinyurl.com/7jdqf

本日の一冊は、14年間で2500社のベンチャービジネスを取材したという経済ジャーナリスト、渡辺仁さんが、現在ブームとなっている起業の実態を明らかにし、これから起業しようとする人々に警鐘を鳴らした一冊です。

内容は、自らも雑誌を立ち上げて7号で潰し、起業の「天国と地獄」を経験したという著者だけに、必要以上に起業に悲観的だったりします。

元締めが得をするフランチャイズやマルチ商法の危険性、そして多くのビジネスパーソンが情報源としている活字メディアの問題点など、真剣に起業を志す人間なら、当然知っておいて欲しい情報が並んでいますが、おそらく、こうした基本的なことすらわからない起業家予備軍が多いということなのでしょう。

実際、ここで紹介されている起業の失敗例を見ていると、あまりにビジネスプランが甘くて驚きます。利益モデルや集客の方法など、当然押さえておくべき事がらで失敗しているケースがほとんどなのです。

起業しようとする人なら、本書で示されている厳しい現実や、企業に潜む落とし穴は、最低限きちんと認識しておいた方がいいでしょう。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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カネがなくても会社が作れるよう、商法を変えた「1円起業」も浅薄な策と言えよう。資金を調達できない人は、起業する資格なぞない

フランチャイズ加盟者は40、50代が圧倒的に多いのも、また事実だ。それは中高年サラリーマンが、「本部(他人)がお膳立てした事業に乗りやすい」という証拠でもある

2007年から大量の定年退職が始まる団塊世代。この小金持ちの団塊世代の退職金を狙ったビジネスがうごめき始めている。起業がらみでは、「投資」「マルチ商法」「フランチャイズ」この3つのビジネスが代表格だろう

朝日、読売、日経にも悪徳商法の広告が載っている

サラリーマン時代の活躍は、しょせん、会社の手のひらの上で踊っていたにすぎない

いい情報や価値ある情報は、いつの時代もどんなときも「人」が握っている

要は顧客が何を求めているか、冷静に考えろ、ということだ。当たり前だが、このことは商売の基本だと思う。世の起業本の多くには、「夢を実現する」などと、それこそ夢のようなことが書いてあるが、自分のことを第一義に考えた企業に、顧客などよりつくはずもない
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『起業バカ』
http://tinyurl.com/7jdqf
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■目次■
Introduction はじめに
Chapter1 みんなこうして失敗した
Chapter2 起業でハマる3つのワナ
Chapter3 「起業後」に待ち受ける誘惑とワナ
Chapter4 脱サラを喰いものにするフランチャイズ商法
Chapter5 フランチャイズは底なし沼
Chapter6 いまのニッポンで起業するのは損か得か?
Chapter7 ベンチャーにはだかる4つの「抵抗勢力」
Afterthoughts おわりに
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『第8の習慣』

2005年05月06日 | Weblog
http://tinyurl.com/8uksq

本日の一冊は、今春もっとも注目のビジネス書。スティーブン・R・コヴィー博士による大ベストセラー『7つの習慣』の続編です。

※参考:『7つの習慣』
http://tinyurl.com/6t7sc

『7つの習慣』が、ビジネスにおいて効果を発揮する方法を指南したのに対して、今回の『第8の習慣』が問題とするのは、より全人的な成功を実現し、「偉大」になるための習慣。

単なる個人としての成功だけでなく、リーダーとして、自分の内なる声を発見し、部下に対してもその価値や潜在能力に気づかせ、導くことの重要性を説いています。

著者によれば、人がついていくリーダーシップは、自己よりも奉仕を優先するときにはじめて可能になります。まさに、ドラッカーが『経営者の条件』で述べている、貢献にフォーカスすることの重要性が、ここで再び確認されるのです。

中盤は『7つの習慣』の復習や、リーダーシップに関する既存の考え方の延長ですが、最近の成功本に欠如している、人間性の部分や心のあり方に言及した、大変興味深い一冊です。

知識やスキルを超えた、人間的成功とは何か。本書を読めば、その答えが少しわかる気がします。

久々に、読み応えのある一冊でした。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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新しい時代に私たちに求められるものは何かといえば、それは偉大さである。別の言い方をすれば、情熱を持って実行すること、課題を達成すること、そして大いなる貢献が求められている

私たちは価値観に基づいて行動するが、その結果を左右するのは価値観ではなく原則

私たちは自分自身の選択の産物なのである

◆リーダーシップの4つの役割
1.模範になる 2.方向性を示す 3.組織を整える 4.エンパワーメントを進める

信頼性は人格と能力から来るものだ。人格と能力を強化することによってもたらされるのが知恵と判断力――優れていて、永続する業績であり信頼の基礎である

◆リーダーシップの役割
共通のビジョン、価値観、戦略的優先事項の三つにおいて方向性を示す

◆謙虚なサーバント・リーダーがすべき質問
1.どんな進み具合か?
2.何を学んでいるか?
3.目標は何か?
4.自分にはどのような手助けができるか?
5.自分は助言者として役立っているか?

◆第8の習慣
自分自身のボイスを発見し、それぞれのボイスを発見するよう人を奮起させること

自己よりも奉仕を優先するときにはじめて、人がついて行きたくなるようなリーダーシップが可能となる
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『第8の習慣』
http://tinyurl.com/8uksq
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■目次■
第一章 苦痛に満ちた現状
第二章 問題を理解する
第三章 問題解決への道
第四章 ボイス(内面の声)を発見する
第五章 ボイス(内面の声)を表現する
第六章 自分のボイスを発見するよう人を奮起させる
第七章 影響力を発揮するボイス
第八章 信頼性を発揮するボイス
第九章 信頼を築くボイスと信頼がもたらすスピード
第十章 ボイスの融合
第十一章 一つのボイス
第十二章 実行のためのボイスとステップ
第十三章 エンパワーするボイス
第十四章 第8の習慣とスイート・スポット
第十五章 自分のボイスを賢明に生かし、人々に奉仕する
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『プロダクトストラテジー』

2005年05月05日 | Weblog
http://tinyurl.com/c3qfo

本日の一冊は、世界的な技術コンサルティング会社PRTMの創業メンバー、マイケル・E・ダグラスによる製品戦略のテキストです。

マイクロソフトやアップル、デル、SAPなど、日米欧600社のメーカーから集めた250の事例を挙げながら、製品戦略の要諦をうまくまとめています。

もっとも大切な戦略ビジョンの策定から、製品プラットフォーム戦略、製品ラインアップの決定、競争戦略、価格戦略、急成長を狙う際の戦略など、およそハイテク企業に必要な製品戦略はほぼすべて網羅されています。

フレームワークだけを概観すると、誰でもできる気がするのですが、かつてのIBMや、業界向けのVTRで大成功を収めていながら、家庭用の市場をさらわれていったアンペックス社など、さまざまな失敗事例を見ていると、人間がいかに短視眼的になりやすく、またそれが失敗の原因となり得るのかがよくわかります。

また、本書を読んで、ハイテク企業が破壊的技術によっていとも簡単に凋落してしまう事実や、製品を市場に投入する際に次世代製品の構想を持っていない事実を考慮すれば、投資家はもっと慎重にならざるを得ないでしょう。

全体を読んで感じたのは、やはり製品や技術にはライフサイクルがあり、その波にうまく対応できないと、ハイテク企業は生き残れない、という事実です。

本書は、この変化の波に素早く対応する方法を、具体的に教えてくれる、数少ない良質なテキストと言えるでしょう。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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◆完璧なコア戦略ビジョンへの3つの問い
1.達成すべき目標は何か?――短期的な目的と長期的なビジネスチャンスとの間のバランスがカギ
2.どうすればそれを達成できるのか?――すぐ次に出る製品だけでなく、何世代にもわたって長続きするもの
3.なぜそれが成功するのか?――通常これは顧客に提供される価値に基づいている

プラットフォーム戦略の固有技術の選択は、ハイテク企業にとって最も重要な戦略的意思決定である

主要な製品プラットフォームが衰退期に入るとき、タイミングよく手を打たなければ、ビジネス全体がおかしくなる

ハイテク企業は、破壊的技術によって影響を受けやすいので、市場の長期的繁栄に関して、懐疑的で恐らく偏執狂的でなければならない

製品戦略の持つ真の可能性は、優れた製品ライン戦略があって初めて実現される

市場が成熟期に近づいたときには、アップグレードは継続的な収入増加の有力な手段である

差別化が成功するためには、顧客が価値を認めるような優位性が求められる。顧客が何に価値を認めるかを見誤ると、その結果として生まれた製品は、ほとんど失敗する

価格リーダーシップ戦略は、実際のところコストリーダーシップ戦略
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『プロダクトストラテジー』
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■目次■
Part1 製品戦略のフレームワーク
第1章 戦略にはビジョンを
第2章 ビジョンと戦略の整合を取る
第3章 製品プラットフォーム戦略で基礎を構築する
第4章 製品ライン戦略で製品ラインアップを決める
第5章 MPPフレームワークで市場の実現可能性を検討する
第6章 「てこの原理」で拡大路線を成功させる
Part2 競争戦略
第7章 差別化ベクトルで持続的な差別化を実現する
第8章 製品価格戦略
第9章 市場一番乗りと二番手戦略の優位性を活用する
第10章 グローバルに製品戦略を考える
第11章 ビジネスチャンスとカニバリゼーションのリスクを把握する
Part3 成長戦略
第12章 急成長へのハイウェイ
第13章 買収による成長
第14章 新規ベンチャーによる成長
第15章 イノベーションによる成長
Part4 製品戦略のプロセス
第16章 戦略上のバランスとポートフォリオマネジメント
第17章 製品戦略のプロセス要素
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『魅せる技術』

2005年05月04日 | Weblog
http://tinyurl.com/cecqg

本日の一冊は、サッポロビール、ダイハツ自動車、西武百貨店などの大手企業でのセミナー実績を持つイメージコンサルタント、西松眞子さんが、ビジネスパーソンのためのファッションやマナー、自己演出の方法などを指南した一冊です。

著者もプロローグで述べているように、この本のポイントは、イメージとか自己演出といった言葉の曖昧さと、そのベースとなる心理学、色彩学、マナー、ファッション、ボディーアクションなどを統合した点にあります。

シャツやネクタイ、スーツの選び方だけでなく、色指南、テーブルマナー、笑顔、ゼスチュアなど、さまざまなトピックが網羅されており、土井のように、何となく自分の趣味や感性だけでファッションを決めているビジネスパーソンには、適した一冊です。

タイトルからは単なるファッション関係の本かとも思われますが、じつは男女問わず、広くビジネスパーソンに訴求する、良質な自己演出マニュアルです。

普段人前で講演をする方などには、ぜひおすすめしたい一冊です。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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パーソナルイメージが悪くては、ビジネスのスタートラインにすら立てない

◆ビジネスにおける好感度
1.知性 2.信頼 3.親しみ

知性や信頼感を感じるのは低くて深い声

◆魅せる(プレゼンテーションの)スピード=1分間で300文字読む

正しいうなずきは最高の褒め言葉に匹敵する

簡単なあいづちこそ無意識のうちに語尾に本音が出るので注意

「なわばり理論」。初対面では1・2m以内に入らないように

顎角度の基本は+-0度

人間の得る情報である五感のうち87%を占めるのが視覚(中略)
さらに視覚情報を決定する要素の80%~90%を色が占めている

◆自分に似合うカラーの探し方
1.肌に青みを持つ人=クール系の人は主にベースに青みを含んだ色
2.肌に黄みを持つ人=ウォーム系の人はイエローをベースにした色
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『魅せる技術』
http://tinyurl.com/cecqg
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■目次■
プロローグ 所ジョージ的 魅せる3原則
第1章 もう一度会いたくなる話し方の基本
第2章 感情を揺さぶるアクションの基本
第3章 押さえておきたいファッションの基本
第4章 個性を生かすカラーコーディネイトの基本
第5章 恥をかかないマナーとエチケットの基本
第6章 好感度を上げるコミュニケーションの基本
おわりに
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『これだけは知っておきたい「営業」の基本と常識』

2005年05月03日 | Weblog
http://tinyurl.com/86mmm

本日の一冊は、NTTドコモやリクルート、日本経済新聞社など、数多くの大手企業を相手に講演活動やコンサルティング活動を行っている著者が、主に新人向けに、営業の基本的な心構えとテクニックを説いた一冊です。

マンガでダメな営業マンの例を見てから、問題点・改善点を学ぶというつくりになっており、内容は非常に理解しやすいです。

営業本と言いながら、じつはビジネスパーソンとしての基本的な心構えを説いており、あらゆる職種の方に参考になります。

お客様への声の掛け方やちょっとした交渉テクニック、紹介客を顧客に変えるまでのプロセスなど、じつに詳細に書かれています。

人事だと思って見ていると、笑えますが、自分も知らず知らずのうちに同じことをやっているかも、と思うとゾッとします。

あくまでオーソドックスな営業本なので、人によっては物足りないかもしれませんが、新人営業マンはもちろん、ある程度仕事に慣れてきた営業マンも、気を引き締める意味で、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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営業とは人を相手にする仕事。だから、あなたは”知識”より”智恵”を身に付ける必要がある。なぜなら、”人”に対する対応は、学歴や資格試験とは無関係だからだ。

◆愚かな営業マンの条件
1.お客様に”自分の言いたい”ことしか言わない営業マンはバカ!
2.お客様が”聞いてもいないこと”を説明する営業マンはバカ!
3.お客様の言葉に惑わされ、その”真意”がわからない営業マンはバカ!
4.お客様に対し、自分のできることは何かを考えない営業マンはバカ!

目先のことに追われたり、自分本位な生活を送って泣いたりわめいたりしている間に大切な人は黙って去っていく

危機感とは”自分を疑う力”のこと

お客様がご紹介していただける方の説明をしてくれた後は、「どんな方なんですか?」と、自分が紹介していただける相手に興味があることを表現するのがベター。

会話のツボを見つけるには、お客様があなたに「何を言おうとしているのか?」「何をしてほしいのか?」を探り当てなければならない。

◆紹介営業で成功するための3ステップ
1.紹介者と今から会うお客様との関係を知る
2.あなたと紹介者の関係を売り込む
3.相手の出方をみて、関係をつくる

甘い期待をせずに、可能性を信じて売り込めば、目に映るすべてのコトが”突破口”や”手がかり”に見えて来る
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『これだけは知っておきたい「営業」の基本と常識』
http://tinyurl.com/86mmm
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■目次■
第1章 ああ、ウチの営業部はこんな感じ?
第2章 あなたはお客様のサインを見抜けるか?
第3章 いい加減な営業マンは、こうして生まれる
第4章 得意先からお客様を紹介された。さあどうする?
第5章 紹介をいただいていざ出陣!果たしてその結果は?
第6章 それでは肝試し。新規のお客様に電話をしてみよう
第7章 新規のお客様を訪問?とんでもないよ!
第8章 営業マンは、どんなことで悩んでいるんだろう?
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『ファンサイト・マーケティング』

2005年05月02日 | Weblog
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本日の一冊は、『クチコミュニティ・マーケティング』をはじめ、数々のベストセラーを持つ、ハー・ストーリィの代表取締役、日野佳恵子さんによる注目の新刊です。

いまだにWebサイトを紙メディア同様に扱っている企業が多いなか、本来のメリットである双方向性を活かし、顧客とつながることの重要性を説いています。

著者がかかわっているダスキンの「ビビサージュ」をはじめ、会員数40万人を数える「ベネッセウィメンズパーク」、クルマの評価や自慢などの本音が集まる「マツダウェブメンバーズ」、スポーツの種目別にコミュニティサイトを持つミズノの「スポコミ」など、じつにたくさんの事例が紹介されています。

しかも、紹介されている事例は、いずれも大企業が顧客との対話に成功した事例ですから、個人との双方向のやり取りを恐れ、しり込みしている企業にも応用できるヒントが満載です。

事例中心の本なので、読書の楽しみというよりは、実践してナンボ、の本です。

企業経営者やマーケターにとっては、顧客とのコミュニケーションの重要性と、具体的な施策を学ぶいい機会となるでしょう。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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これからの時代は、そうした絆やつながりなどの「見えない感情」を、いかにお客さまに根づかせていくかによって、企業の命運が左右されるようになっていく

企業は今まで、こうしたインターネットの本来の得意である「個」とつながるという特性を、積極的に活用してこなかった

商品力よりも、サイトを訪れるたびに開発経緯を見ることのほうが、はるかに「欲しい」という気持ちを刺激します

人数をやみくもに集めることよりも、企業にとって価値のあるコミュニティをどう作るかが大切

Webサイトの最大の魅力は、この「人の動きの把握」ができること

今、「お客さまの声を集めるサイト」に変えれば、「聞く耳」を持って商品開発を進めていけば、5年後、きっと優位に立てる

基本は、会員化による企業と顧客(または生活者)との対話の場

ファンサイト・マーケティングは、「売る」のではなく「買いたい」と思われる企業になるために、企業の「真摯な姿勢」が問われる学びの場
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『ファンサイト・マーケティング』
http://tinyurl.com/d9bxf
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■目次■
はじめに
第1章 ファンサイト・マーケティングとは
第2章 企業Webサイトの現状と方向性
第3章 企業事例に学ぶ、成功するファンサイト
第4章 具体的メリットに絞り込んだファンサイト
第5章 「価値」を生むファンサイトを作る
おわりに
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