遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「新・炎のリーフ(すずしく生きよ)」

2010-11-20 | 現代詩作品
(新)炎のリーフーすずしく生きよ



眼の底に吹き溜まる
糸くずのような
嫉視感をひっぱると
うっすら地図のような一枚の記憶がめくれる
(すずしく生きよ、…
空気に触れると
とたんに変色する
バス停小屋の横にこびりついて剥がれない
古い映画ポスター
昭和の顔は
マジックでいたずらされている


不能犯の手のひらの上で
ふみにじられた微細な日々の
緑の風は吹き
険しい民のまなざしを
覆いかくす錯誤のまんまく
緑の風は虚しさを語りかけるから
朽ちかけた円錐筒になげかける花束もなく
川向こうの視界に暮れる
水嵩がゆっくり引いたあとの無惨にも
観念の屍がるいるいとうかびあがる
少年の日に見た西部劇が流れ寄る


時の波に洗われる水晶体の
書庫に、さびしい残像の墓場に
風は吹き白昼の野に漂う
まるで空腹にたおれた残骸を擦過して風は吹き
吹きだまる糸くずが
眼の底の図像をひきはがす
(すずしく生きよ、…
いきなり火を噴くコトバの弾痕のかけらが
眼の中のいのちに突き刺さり
さびしい眼差しの記憶の方角まで狂わせる
草原の青い空からもう手を振るな


(シンジュクの「ナギサ」ダッタカ/「モクバ」ダッタカ/イツモイリビ
タッテイタ/キミハホントウニ/カゼトナッテ/ボクラノコシテキエタケ
レド/ボクラノマブタノ/ウラガワニ/ヤキツイテ/キエルコトハナイ)
きみが残して行った一九六〇から六八までの古い雑記帳には、コルトレ=
ンの『至上の愛』を中心としたジャズ・レコードの感想及び論考と一緒に
米国黒人史といっていい記録が書き込まれていた。


……六〇年食堂座り込み運動全米に波及。六一年アラバマ州を中心にフリ
ーダム・ライダーズ事件騒動。六二年ミシシッピー大学のメレジス入学事
件起る。六三年アラバマ州バーミングハムの黒人デモ大規模衝突。アラバ
マ大学で黒人入学紛争。エバーズ暗殺。奴隷解放百年記念の二十万人ワシ
ントン大行進。バーミングハム黒人教会爆破。六四年マルコムX黒人回教
団から脱退。人種差別撤退に対する公民権成立。ハーレム暴動各地に波及。
キング師ノーベル平和賞受賞。六五年マルコムX暗殺。公民権法成立(投
票権登録差別撤廃)ワッツの大暴動。六六年カーマイケルSNCC委員長
就任。カーマイケル、ブラックパワーを提唱。全米に暴動紛争続く。六七
年ニューヨークの暴動。デトロイト暴動。ワシントン暴動。全米ブラック
・パワー会議。六八年キング師暗殺。また各地で黒人暴動(以下略)……


きみは世界の陰画の部分についていつも熱心に語ってくれたがあの視線に
見据えていたものはなにか。二十一世紀の今も謎でしかない(宇宙戦争?


謎という草に命をやどしても
永遠に暗闇のむこうがわにはもどれないおれたち
風は時どきなにも見なかったふりをする
(すずしく生きよ、…
いま、きみの住む裏の宇宙はすずしいか
そのうち俺も行くが非電化という暮らしは
すこぶる快適なのか
ほかならぬ夢がかりたてた、かつての
炎の眼差しはいまも、まぼろしの
暴動をみつけているのか



*朝日をまぶしく感じる朝です。家にいるのがもったいないくらです。
さて、どこへでかけようか。空気も澄んで気持ちが良さそうだから。


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