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ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

Minute By Minute/The Doobie Brothers

2006-06-08 21:28:53 | 音楽
あるところから商品券をもらったので、これはCDでも買うべしと商品券の使える、
いつもとは違う地元のCDショップへ出かけた。
品揃えは都心のメガストアとは比較にならないほど少ない。
したがってかなり制約条件の多い中から選ぶことになるのだが、それはそれで結構楽しかったりする。
どうしてもメジャーな作品が多くなるので、普段は買わないようなものも選択肢に入ってくる。

夏も近づいてきたのでいわゆるAORを少し買ってみようというのをテーマに探し始める。この棚をめぐって探す時間が至福の時間。
AORの全盛期は70年代中期から80年代にかけて。したがってこのカテゴリーで探してもなかなか見当たらない。
結局AORらしきアーティストであったのがBoz Scaggs、TOTO、Doobie Brothers、
Bobby Caldwellあたり。
この中からDoobieとBobby Caldwellを選んだ。こんなことでもないと買わないアイテムだ。
『Minute By Minute』。Doobie Brothersの最高傑作といってもいい名盤だろう。
それだけに逆に今までその価値を見落としていたみたいなところもある。マイナーなものばかりに目が行く僕としてはなおさら。

このアルバムは完全にMichael McDonaldのグループだ。彼自身のキーボードがサウンドの核になっている。
「What A Fool Believes」は何度聴いてもゾクゾクとするほどセクシーだし、高揚感がある。
ひとつの明確なストリームを緩やかに流れるような構成には思わず引き込まれていく。
よく練れているサウンドも安定感があるし、グループとしてのひとつの成熟期といえるだろう。

とにかく久しぶりに聴いたDoobie。再発見の歓びとはこのことである。



VOICES from FIFA World Cup

2006-05-31 08:10:43 | 音楽
晴れ。

普段この手の企画ものには殆ど触手が伸びないのだが、前回日韓大会のアンセムがとにかく耳に残ったので、今回は早めに聞いてやろうということで買ってみた。
しかしやっぱりちょっと微妙な内容。ドイツ大会の公式CDだというのに、アメリカのアーティストが非常に多い。

Billy JoelやMichael Jacksonは言うに及ばず、なぜ2006年のワールドカップElvisの「Allways On My Mind」が選ばれたのか?
極めつけはBarbra Streisandの「Woman in Love」。こうなるといったい何を選曲の基準にしたのかさっぱり分からない。
決して1曲、1曲が悪いと言っているのではない。
なぜ、これらの楽曲がFIFA公認のアルバムに収められたのかよく分からないし、
これらのアメリカン・ポップスがワールドカップの雰囲気にマッチするようにはどうも思えないのだ。
開催国ドイツのミュージシャンや作曲家をもっと多用しても良かったと思うし、
サッカー発祥の地イギリスや、南米の楽曲、出場しているアジアやアフリカの国々のミュージシャンを起用しても面白いものができたのではないかと思う。
トリノ・オリンピックの開会式のときも感じたことだが、音楽になると勢いロック、
それもアメリカの曲ばかりが採用されてしまうのは、ちょっとなあ、と思う。

公式アンセムはドイツのポップシンガー、Herbert Gronemeyer feat. Amadou & Mariam の「Celebrate The Day」。
さすがにドイツのアーティストを起用してきたが、これもまた微妙な曲。
高揚感とかキャッチーなメロディという、祭典にマッチした曲調とはちょっと言いがたい。

どうにも中途半端な作りばかりが感じられる内容だった。

H2O/Daryl Hall & John Oates

2006-05-12 22:33:25 | 音楽
晴れ。

80年代懐古シリーズの第2弾。
この作品を聴いたのは高校1年のとき。洋楽をかなり貪欲に聴き始めた頃である。

先のYMOなどが先鞭をつけたテクノポップは世界的に広がり、この頃にはポップスの方法論として定着し始めた頃でもある。
実際、このアルバムからのヒット曲「Maneater」は初めて聴いたときには完全にテクノポップの肌触りとして聴いた覚えがある。

Hall & Oatesのようないわゆるブルーアイド・ソウルのデュオの始祖はなんと言ってもRighteous Brothersだろう。
男性ポップデュオとしては、Seals & Croftsなどもいたし、Americaなんていうのもいた。
Hall & Oates の後にはWham!が出てきたりと、男性ポップデュオというのにはひとつの系譜があって、
節目節目で新たなスターが誕生してきた。

とりわけ、このHall & Oates はソウルミュージックへの深いリスペクトと
キャッチーで口ずさみやすいメロディで多くのヒット曲を放ってきた。
ラジオから盛んに流れていたし、当時全盛だったMTVでも毎週のように取り上げられていたので
いまでも彼らの曲を聴くと当時の自分の生活や見ていた風景が懐かしく思い起こされる。

Calture ClubやDuran Duranのようなアイドルグループが出てくる中で
当時でも Hall & Oatesが好きというのは、ちょっとかっこ良かったりした。
そういうところで大人ぶって奇をてらうことで一目置かれたい年頃だったのだ。
「Maneater」のリズム・パターンがモータウンのそれであるという薀蓄を披露したりして、
ちょっと背伸びしたかった頃の自分を懐かしく思い出す。

当時からオールディーズに目覚め、同時代音楽をあまり聴いてこなかった私にとって
Hall & Oatesは数少ないリアルタイム・ミュージックだったのだ。

アフター・サーヴィス/YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)

2006-05-02 21:59:38 | 音楽
YMOはまさに我々の世代の音楽だった。
70年代の終わり、日本のポピュラー音楽の世界はいわゆる歌謡曲と、
その歌謡曲に対するアンチテーゼとしてのニューミュージックがヒットチャートを
まだらに形成していた時期だった。
今にして思えば筒美京平氏や松本隆氏の書く歌謡曲と、
主にシンガーソングライター達によって演じられるニューミュージックの世界とを
殊更区別する必要はどこにもないと思うのだが、何しろ当時は出自が大事だったのだ。

YMOはそのような音楽状況のニッチから出てきた。
当時も殆ど好事家の世界だったマーティン・デニーのエキゾチック・ミュージックを、
日本人が、クラフト・ワークのようなシンセサイザーとコンピュータを多用した電子楽器で再現したらどうなるか。
・・・といのが最初のコンセプトであったように思う。
マーティン・デニーのエキゾチック・ミュージックは西洋人から見たアジア的、ミクロネシア的なものへのオマージュであり、
現実にありそうで、実際にはどこにも存在しない世界を描いたものであった。
それを同じ東洋人である日本人が最先端のテクノロジーを持って再現させるという意味において二重の意味での「捻れ」があったと思う。
彼らの音楽は歌謡曲とニューミュージックという単純な対立構図の間において意味をなすものではなかったと言えるし、
もともと日本のマーケットを意識していたのではなかったのではないか。
そういうこともあってか、まず彼らはアメリカやヨーロッパにおいて評価された。
人民服で奏でられる日本人によるクールなシンセサイザー音楽、
しかもそれは沖縄、中国、東南アジア、ミクロネシアなどが渾然となった細野晴臣いうところの「チャンキー・ミュージック」。
かつてどこにも存在しなかったヴィジュアルとサウンドが、新しいスタイルとして熱狂的な支持を受けた。
そしていつしかこの音楽を我々は「テクノポップ」と呼ぶようになる。

スネークマンショーとのコラボレーションや環境音楽への接近など新しい試みを繰り返しながら、
そのキャリアの晩年においては、なんと歌謡曲にアプローチをしてみせる。
それはサブカルチャーのカリスマとして存在していくことをクールに拒否するかのようでもあったし、
奇しくも歌謡曲とニューミュージックというナンセンスな議論に楔を打ったのがYMOだったという気がする。

やがて「散開」。
その頃にはもう私自身は彼らに興味を抱かなくなっていたような気がする。
武道館での「散開」ライブの模様はNHK-FMで完全オンエアされ、
オートリバースでないカセットデッキの前に陣取ってエアチェックしたテープを、その後長いこと聴いてきた。
この模様が収められたライブ盤がこの『アフター・サーヴィス』である。

80年代にどんな音楽を聴いていたかなあ、と思い返すうちに
そういえばYMOよく聴いたなあ、と思い出して20年越しでCDを買ったのだった。

The Roy Orbison Song Book/The Sunset Strings

2006-04-24 23:01:46 | 音楽
晴れ。

今回入荷したNick DeCaro関係のもう一枚がこれ。
ジャケットはかなりぼろぼろで、放送局だか図書館だかの管理用シールが貼ってあったりするが盤質は結構良かった。

これは珍しいレコードだと思う。Nick DeCaro率いるところの架空の楽団、
The Sunset StringsがRoy Orbisonのヒット曲を演奏、しかもプロデューサーはSnuff Garrettという一枚。

Nick DeCaroのキャリアの中でも割と初期に作られた作品だと思うが、
Roy Orbisonの楽曲に挑むあたり、若々しい野心も垣間見られる。
全体的に習作的な感じがしないでもないけど、
アメリカの同士Bill Reed氏作成のリストにも載っていないし、かなりのレア盤じゃないかな。

Exotica Classica/Martin Denny

2006-04-22 07:37:24 | 音楽
Nick DeCaroコレクションがまた増えた。
ハイファイ・レコードのホームページで検索していてついつい衝動買いしてしまった2枚のうちの1枚。

Beatles、Stonesはいうに及ばず、作曲家の作品とかを集めているコレクターも結構いると思うが、
アレンジャーのNick DeCaroを集めているというのはまあ、稀有なほうではないだろうか。
まあ、そういうへそ曲がりというか、他人が歩いていない道というのが楽しかったりするわけで・・・。
だって、Beatlesなんて一生かかっても全部集めることはまず不可能だが、
Nick DeCaroだったら何とかなるかもしれないじゃないですか。

これは数あるMartin Dennyのエキゾチック・シリーズの一枚。
Nick DeCaroはアレンジャーとして携わっている。
Martin DennyとNick DeCaroのコラボレーションということで、両者の持ち味が微妙にブレンドされた出来だと思う。

スタンダードな曲を何曲もやっているということもあるのだけど
Martinのいわゆるエキゾチック路線は薄まっていて、その分Nickのアレンジによって、
イージーリスニング調に仕立てられたという感じ。

Martin Dennyの艶のあるピアノがNick Decaroによるストリングス・アレンジに乗っているというような趣で
Nickのアレンジは楽しめるがMartin Dennyのファンからするとちょっと物足りないかもしれない。

At This Time/Burt Bacharach

2006-04-17 23:12:04 | 音楽
晴れ。

Burt Bacharachというとコケティッシュなのに切ないという相反するイメージがある。
バカラック・ワールドとでも言うべき独特の転調と吸い込まれるような流麗なメロディライン。
一聴しただけでそれと分かる、類まれなる作曲センス。

今再び彼の新譜を聞くことが出来るとは思わなかった。御歳78歳である。
数年前にElvis Costeroとコラボレーションしたときも相当に驚いたが、
こうして新譜が手許に届けられることになったのもひとつの奇跡であろう。
彼のワン・アンド・オンリーなスタイルは健在で、年齢を考えればこの創作意欲と衰えない作曲センスには脱帽である。
「In Our Time」や「Dreams」の美しいメロディラインは往年のバカラック・メロディそのものである。

今の彼にはHal Davidというロマンティックな作詞家はいない。
28年ぶりのこのソロアルバムでは自らの長いキャリアの中で初めて作詞まで手がけた。
その背景には9.11というアメリカ人にとって拭い去ることのできない出来事がある。
先に書いたDonald Fagenもそうだが、
あれから5年を経て9.11を何かの形で残しておこうとするアーティストが増えてきているのではないだろうか。
ベトナムの時にちょっと状況が似ている気がしないでもない。
Burt Bacharachが再び創作を開始したのもあの忌まわしい出来事の記憶が大きく作用してのことではないだろうか。

Elvis Costeroが振り絞るように歌う「Who Are These People?」では
「僕らを囲むこの愚かしい混乱状態はひどくなっていくばかりで
あまりにも多くの人たちが死ぬ必要もないのに死んでいく」
とペシミスティックな情感を投げかける。
そこにはラブ・ソングの大家としてのバカラックはいない。
静かに「今このとき」の世界を憂えるばかりなのだ。

タイトルを『At This Time』としたのは、そうした現状に対する強いアンチテーゼもあるだろうが
音楽を通して自らを今の世に問うた彼自身の矜持の表れでもあるような気がする。

Shiplaunching/冨田ラボ

2006-04-14 23:14:30 | 音楽
曇り。

私が聴いてきた日本のロック、ポップス(あえてJポップとは呼ばない、笑)は常に団塊の世代とその5歳前後という、
ちょっと歳の離れた兄姉たちの手によるものだった。
彼らは日本のポピュラー・ミュージックのパイオニアとして或いは担い手として常に時代の先を行っていたし、
私はそれをリスペクトすることによって自らの音楽観を築いて来たといっても過言ではない。

私たちの世代が確固とした音楽の海図を容易には示すことができないほど、
文字通りど大きな塊として彼らはさまざまな形で日本独自のポピュラーミュージックを提示し続けてくれた。
最早どのようなジャンルも一度あの世代の誰かが歩いた轍になっている。

そして最近は彼らの世代のミュージシャンにリスペクトすることによって、
また自分の形を具現化しようとしている私と同世代か或いはもっと若い世代の音楽が、ひとつの光を放っている。
それは脈々と途切れることのない鉱脈が放つ光のようでもある。

冨田恵一の冨田ラボもそうした、日本のミドル・オブ・ザ・ロードをしっかりと引き受けてきた人である。
船上音楽会をモチーフにしたこのアルバムでのコンサートマスターはもちろん冨田恵一。

その彼が団塊アーティストたちと世代を超えたコラボレーションを展開しているのがこの作品である。
とりわけ作詞陣が豪華。吉田美奈子、高橋幸宏、糸井重里、鈴木慶一、大貫妙子らそうそうたる顔ぶれが執筆した。
大貫妙子と高橋幸宏はヴォーカルでも参加している。
そこにキリンジやChemistryなど若いミュージシャンたちが水先案内人のように揚々と進んでいく。

ヴァラエティに富んだ作品の数々にはどこか懐かしさが漂う。
個人的には詞、曲ともに男のロマンティシズムに溢れた「ずっと読みかけの夏」feat.CHEMISTRYにグッときた。

同時代音楽として、同世代音楽として寄り添っていくのはこういう音楽だと思う今日この頃。

Morph The Cat/Donald Fagen

2006-04-11 20:56:04 | 音楽
Donald Fagenが久しぶりのアルバムを発表したというニュースを知ったのは、CDショップに置いてあるフリーペーパーでだった。
本当に忘れたころに突然ふらりとやってくる。
前作の『Kamakiriad』のときもそうだった。『The Nightfly』からすると24年。
24年で3作品。恐ろしく長いスパンだけれども、この人の場合はそれもある種の必然と思えるフシがあるから不思議だ。

80年代以降のSteely Danも含めて、彼の紡ぎ出す音楽は他の追随をまったく許さない。
およそ流行とは無関係にひたすら自分の納得のいくまでスタジオワークを追求する。
音楽と真正面から向かい合った結果としての、聴いただけでそれと分かるゆるぎないスタイル。

今回改めて『The Nightfly』から順番に聴いてみたのだが、肌触りがまったく変わらない。
演奏陣ががらりと変わっても基本的なテイストがまったく変わっていないのだ。
これはもうワンパターンとかというものではなくて一種の職人、マイスターの域である。

むしろ若い頃の『Nightfly』のほうがロマンティシズムに溢れていて、
作品を重ねるにしたがってどんどんドライで端整になっていくところがいかにもこの人らしい。
そして、あの頃背伸びして聴いていたような彼らの音楽が、
ようやく自分にもフィットしてきたように感じる歳周りになってきたことを実感する。
なにしろ24年前は10代だったのだ。
そういうことを実感するような歳になってきても、こうして新譜でもって実感できるというのがうれしい。
リスナーとしては音楽を長く聴き続けてきたことへのご褒美のようでもある。

Striking It Rich!/Dan Hicks & His Hot Licks

2006-04-05 15:39:43 | 音楽
雨。

ハイファイ・レコードで今回入手したもう一枚は、Dan Hicksのアルバム。
Dan hicksという人は日本ではほとんどメジャーな評価を受けていない人である。
ミュージシャンズ・ミュージシャンというか、いわゆる玄人受けというか好事家の聴くタイプの音楽だと思う。
カントリーやフォーク・ミュージックなどのいわゆるルーツ・ミュージックをベースにしたミュージシャンであり、
日本人の感覚からするともっとも「感じにくい」音楽のスタイルだからかもしれない。
民謡や演歌の世界がアメリカ人にはうまく伝わらないのに似ているかもしれない。

Blue Thumbレーベルということもあって、プロデューサーはTommy Lipuma。
Nick DeCaroはその縁でストリングス・アレンジを手がけている。
Nick DeCaroは全く幅の広いアレンジャーである。
彼がアレンジやプロデュースで関わったアーティストを調べてみると実にさまざまなジャンルの音楽にまたがっている。
Dan Hicksなどはまさにその最右翼で、このアルバムにTommy Lipumaとともに参加したことがアルバムの強いアクセントになっている。
フォークやカントリー、ブルースといった彼のアイデンティティとTomyとNickが持ち込んだジャズの要素が絶妙にブレンドされて、
どこにもないDan Hicksだけのテイストに仕上がっている。

この人もなかなかに寡作な人で、数年前に20数年ぶりというアルバムを発表していたが、
たまにはこのなんとも言えないコケティッシュで緩いサウンドに身を委ねる日曜日の昼下がりというのも悪くない。