小児科に通い続ける大人たち 医療進歩、治療しながら成長
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11276928.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11276928 より
小児科に通う大人たちが増えている。医療の進歩で亡くなる子どもは減ったが、うまく成人の診療科に移れないケースが相次いでいる。日本小児科学会が1月、対策をまとめるなど、解決に向けた動きも出始めた。しかし、治療を続けながらの出産や就労など、患者本人と医療現場の模索が続く。
■子ども専門に成人500人
東京都府中市の都立小児総合医療センター。子ども専門の病院だが、20歳以上の患者は500人を超す。
<中略>
■診療科「橋渡し」が課題
医療の進歩で、先天性の心臓病がありながら成人になった人は40年で8倍に増えた。武井修治・鹿児島大教授らの05年の調査では、小児慢性疾患の患者は年間約1千人ずつ成人になり、うち53・6%が病気や後遺症を抱えていた。
だが、小児科医は成人の疾患や妊娠出産への対応に明るくない。一方、成人の専門医はその逆だ。成人の診療科で診察を断られる患者もいる。
小児科から成人の診療科への橋渡しが、日本で始まったのはここ数年だ。大人の先天性心臓病患者の専門診療科は現在、全国約30施設。腎臓病患者などを対象に、都立小児総合医療センターでは昨年、「移行期看護外来」を設け、隣接する多摩総合医療センターと連携を始めた。
病気によって教育や就労といった社会人として必要な手立てを得る機会を患者が失っていることも課題だ。
関西医科大付属滝井病院(大阪府守口市)の石崎優子准教授は以前、心療内科でそうした患者を診ていた。「能力はあるのに、自分で何かをやり遂げたという達成感を得られないまま大人になり、仕事につかずにひきこもる例もある」という。
また、治療を受けるうえでの判断を親に委ねてきたため、大人になっても薬を決められたとおりに飲めないなど自己管理ができない例もある。そうした患者を小児科が抱え込んできた面もある。
都立小児総合医療センターの本田院長は「小児科医が患者のためと思ってきたことが、甘やかしだったという現状もある。生涯を通じて考えなければならない」と話す。
聖路加国際病院(東京都中央区)の丹羽公一郎・心血管センター長も「15~18歳になったら、親とは別に病気について説明し、患者の自立を促す必要がある」という。
映画「風のかたち」
http://www.mmjp.or.jp/pole2/kazenokatati.html より
2008年夏、聖路加国際病院副院長の細谷亮太医師、済生会横浜市東部病院小児医療センター長の月本一郎医師、あけぼの小児クリニック院長の石本浩市医師、三人によって企画された“SMSサマーキャンプ”は10年目を迎えました。
元気一杯な年頃なのに、毎日病室で治療の日々をおくる小児がん患者の子どもたちに、自然との触れ合いや元患者のボランティアとの交流の機会を与えようというサマーキャンプを、カメラは10年間追い続けました。
かつては“不治の病”と云われた小児がんですが、今日では10人に8人が完治するようになりました。しかし、ドラマや映画の影響で、いまだ患者には偏見や差別が付きまといます。また、実際にも、眼に発症したがんによる失明、白血病による出産への影響など、完治しても後遺症が残る可能性があります。
それでも、病気を克服し、社会の小児がんに対する偏見や差別を跳ね返そうと、子どもたちはもがいているのです。
細谷亮太医師のもとには、完治した後も検診に訪れる元患者がたくさんいます。1年目のキャンプで患者であった少女は、10年目のキャンプでは一児の母となってボランティアとして参加します。小児がん経験を活かし看護師になりたいと夢みた少女は、聖路加病院で細谷医師の下で働くことになります。しかし、そのような中でも、完治できずに逝去してしまう子どももいます…。
小児がん患者や体験者を、悲劇の主人公ではなく、「再生」のシンボルとして描いたこの作品は、単なる難病を扱ったドキュメンタリーという枠にとどまらず、命の尊さ、生きる意味、未来への眺望、の映像化として、閉塞的な現代の社会全体に大きなメッセージを送ります。
※「SMS」とは「スマート・ムン・ストン」と読み、三人の医師の名前の頭文字「スマート(細)」「ムン(月)」「ストン(石)」から取られています。
感想;
入院児と遊ぶボランティアをしていました。その病院は白血病やガンの子どもたちが多く入院していました。小児病棟なのに20歳以上の方も何人か入院されていました。小児科の先生が治療した子供たちが大人になっても治療を継続していました。
小児がんは昔は不治の病でした。今は7~8割治るようになりました。ところが治った子どもたちが、病気が治ってもその後の通院や薬を飲まないと行けなかったりして、社会復帰ができない場合があるのだそうです。
3人の先生方は子どもたちのこころのケアをするためにサマーキャンプを始めました。サマーキャンプに参加した子供たちが大人になり、サマーキャンプを手伝います。
病気を治し、こころを育てる。それに取り組んでいる医師たちがいらっしゃることが嬉しいです。
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