『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

陰暦10月10日  しはぶき婆

2008年01月04日 | 伝説
大須賀筠軒(天保12(1841)年~大正元(1912)年)が、
明治25(1892)年に書き記した
『磐城誌料歳時民俗記』(歴史春秋社刊)を
ひも解くこととします。
どうぞ、お付き合いください。

さて、『磐城誌料歳時民俗記』の陰暦10月10日の項には、
次のような記述もあります。

大ナル草履ニハ茶ヲ紙ニ包ミタルト、とうがらしトヲ插ム。
是ハくつめきヲ流行サスルしばぶき婆ヘノ供物ナリトゾ。
江戸ニテ杓子ヲ倒ニシ、くつめき無用ト書シ、
入口ノ柱ヘ打付ケオク事アリ。
畧似タル事ナリ。

これを現代的な表現に改めると、
次のようになるかと思います。

玄関先に吊るす大きな草履(ぞうり)には、
お茶の葉を紙に包んだものと唐辛子を挟んでおく。
これは喘息(ぜんそく)を流行させると
いわれている「しばぶき婆」へのお供え物だそうだ。
江戸では、杓子を逆さにし、「くつめき無用」と書いて、
入口の柱に立て掛けておく風習があるが、
それとほぼ同じような意味合いのものである。
コメント
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