『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

いわきの十九夜様

2006年10月04日 | 伝説
いわき市内では、「十九夜様」とか、
「十九夜講」と呼ばれる女性たちによる月待ち講が広く行なわれている。
これについて、大須賀筠軒(おおすが いんけん 1841年~1912年)は
『磐城誌料歳時民俗記』のなかに次のように記している。

十九日 十九夜念佛トイフアリ。
女人ノ罪障ヲ滅除スル為メトテ、
毎月十九夜、米銭ヲ持寄リ、酒食ヲ饗シ、
歌念佛ニくどきヲ入レ、和讃ナド云フモノヽ如ク唱ヘ、
奇妙頂来十九夜のいわれを悉しく尋ぬれば南無阿弥陀佛云々ト、
サモ感歎悲哀ノ情アル如クニ聞ユル唱方ナリ。毎月、宿ハ順還ナリ。
懸銭アリ。之ヲ積ンデ、地藏、又ハ如意輪観音ノ石像ナドヲ立ルトイフ。

これを現代的な表現に改めると、次のようになるかと思う。

毎月の十九日、十九夜念仏という月待ち行事が行われる。
女性の罪穢れを除くため、毎月十九日の夜に、女性たちが米や銭を持ち寄り、
酒や食事を楽しみ、歌念仏に口説を交え、和讃などのように唱え、
「奇妙頂来、十九夜のいわれを悉しく尋ぬれば、南無阿弥陀仏」などと、
感嘆、悲哀の情を込め唱える。
毎月、宿は順番で代わる。
お金の積み立ても行い、この資金で地蔵や如意輪観音の石像などを建立する。
  

コメント
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