「ぐるくん」のひとりごと

大好きな海のこと、沖縄のこと。 また今関心を持っている韓国語の学習、韓ドラ・レビューなど気ままな雑記

<559> 日中韓の漢字の違い

2007年11月07日 | 韓国・韓国語
 昨日の『朝鮮日報』に面白い記事を見つけた。 → こちら

 日本で『韓中日:同字異義語辞典』なるものが出版されると言う。

 ≫中国や日本に旅行し、急にトイレに行きたくなって、トイレットペーパーが必要な時に何と言うか。 韓国では「休紙(ヒュジ)」と言うが、日本では「トイレットペーパー」、中国では「衛生紙(ウェイショエンズー)」と表現がバラバラなため、分かってもらうのは大変だ。
 韓国、中国、日本は同じ漢字文化圏に属するが、同じ漢字でも意味が違ったり、単語自体が存在しない例がとても多い。 そこで、筑波大の佐藤貢悦教授(東洋思想)と八洲学園大学の厳錫仁(オク・ソクイン)教授は、こうした例を280個余り集めた『日中韓漢字通用小辞典』を2年かけて執筆し、日本の雄山閣から来月出版する。≪


 以前に読んだ金文学さんの『日中韓 表の顔裏の顔』と言う本の中で、≫同じ漢字であっても全く意味が異なる事から来るとんだ笑い話は、それこれ枚挙のいとまがないほどあって、整理してまとめれば充分に一冊の辞典が編集できるだろう。≪と書いておられた。

 まさにその辞典ができたのだろうか?

 金文学さんの著書にも、漢字の表現、意味の違いに関するエピソードがいくつか紹介されていた。

 韓国では、便箋の事を「便紙(ビョンジ)」と言うそうで、日本のホテルで便箋を所望するのに↑のように書いて頼んだ所、従業員は元気よく「トイレットペーパー」を持ってきたそうだ。

 日本の「手紙」も中国では、化粧紙を意味するそうで、きっと中国のボーイさんは慌ててトイレットペーパーを運んでくるのかもしれないw


 この辞典を編集した両教授も、「字が同じであるがゆえに、旅行中に誤解したり、失敗することが多い」と言う体験が足がかりになったそうだ。

 記事の一覧を見るだけでも、面白いものだなぁ~と実感するw



 
 この出版に先駆ける報道が11月3日にあった。 → こちら

 漢字文化圏に属する韓国、中国、日本、台湾の4カ国の学者が、5000-6000字の常用漢字について、字体を統一した「標準字」を定めていく事を北京伝媒大学(北京メディア大学)で開かれた「第8回 国際漢字会議」で合意したそうだ。

 この会議で、韓国、中国、日本、台湾で使用されている漢字の「比較研究辞典」を作成し、段階的に各国で使われる漢字の字体を統一していく事を決めたと言う。

 「国際漢字会議」は。1991年に日本、中国、韓国&台湾の学者らによって、それぞれ異なる字体を統一する「共通常用漢字」を制定しようとスタートしたそうだ。

 以後、思うような成果がなかったそうだが、この第8回会議で先週北京で正字を中心として、標準字5000-6000字を協力して作る事となった。



 ハングルを学習する上で、「漢字語」と呼ばれる語彙は、比較的、受け入れやすい。

 漢字の読みも一字一音読みだけなので、覚えてしまえば、応用が利く。

 しかし、韓国では漢字を殆ど使用しなくなっている現状がある。

 実際の話として、こんなエピソードが・・・
 ≫1995年のある日、成均館大中文科の全広鎮(チョン・グァンジン)教授に、当時小学校4年生だった娘がこう聞いてきた。 「お父さん、“トウゴウ”ってなあに?」 「うーん、それは“互いに同じであることを示す符号”を言うんだよ。」 「それじゃあ、どうしてそれを“とうごう”って言うの?」
 その瞬間、全教授は頭がぼんやりとする気分に襲われた。
 「等しい“等”」「符号の“号”」と言う漢字さえ分かればよいのだが・・・表音文字のハングルでは「トウゴウ」と表記しても、何も分からないのではないか。≪


 チョン教授は、それから12年の歳月をかけて、2000ページ余にも及ぶ『韓国漢字語意味辞典』(LBH教育出版社刊)を出版したそうだ。

 「国語辞典で“楕円”と言う言葉を探してみると、難しい数学的定義だけが載っています。 しかし、“細長い(楕)円”という単語そのものの意味を、学生はもちろん教師たちもあまり知らずにいる。」と教授は言う。


 日本人にしてみれば、文字自体に意味を持っている漢字の特性を学びつつ、熟語など学んでいくが、ハングルの普及と裏腹に漢字が廃れてしまった韓国では、「学生たちが教科書の難しい単語を丸暗記するのではなく、一つ一つの文字がどう言う意味で、それが単語の意味にどう言うヒントの役割を果たしているかが分かるようになれば、漢字語の意味がはっきりして面白みがあるだけでなく、簡単に覚える事ができるようになります。」とチョン教授は力説。

 『韓国漢字語意味辞典』は、普通の(韓国の)国語辞典と違い、漢字の基本的な意味について解釈に力点を置いているそうだ。

 韓国語の語彙の70%、学術用語の90%以上を占めている「漢字語」だが、例えば「在米」と言う言葉がどう言う意味なのかを分かっている高校生がわずか5%と言う現実から、チョン教授の主張は、韓国教育の盲点を正確に突いていると評価されているそうだ。


 文化の面を考えず、単純に漢字圏と言われる東アジアで漢字の統一が進み、漢字の優れた特性である「表意」が統一されたなら、それはかなり便利なツールになるだろう。

 漢字の持つ意味が各国違うと言うのは、とりもなおさずその国の文化であるから、その筋の学者先生が国際会議で頭を寄せても、難しい作業になるのだろうけれど・・・



 『私の名前はキム・サムスン』で、自分の名前を嫌うサムスンの漢字表記は「三洵」だった。

 「洵」は「まこと」と言う意味がある。

 しかし、彼女はヒジンと言う憧れの名前に改名申請をする。

 ヒジンの漢字表記は「煕珍」。

 「煕」は「ひかる」とか「やわらぐ」となかなか趣きがある意味合いだが、「珍」で丸潰れのような・・・w

 韓国の人の姓名の、最近は漢字表記がない名前もたくさんあると言う。



 同じ漢字にも各国それぞれに秘められた意味合いがあるのだろう。

 

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