読む日々

テーマばらばらの読書日記

クローバー

2011-09-01 | 
島本理生「クローバー」


大学生で東京で2人で暮らす双子の姉弟の恋の様子を描いた本です。

奔放というか自分に正直で分かり易い姉・華子。
なんだかこめんどくさい思考回路でシャッキリしてない弟・冬治。

姉は華やかな恋愛遍歴があるものの、すぐに飽きる。そこに登場するのが熊みたいな公務員・細野。(でも姉弟からは熊野と呼ばれる)
高校の時の失恋を引きずり、恋に臆病な冬治には、同じクラスで地味な容姿の雪村さんが登場。

そこに同級生やら姉弟の従弟やらが登場し、てんやわんやなんだけど、一つ一つの章にしんみりしたり、なるほどなあ、と唸ったり、とってもおもしろかったです。

なんだかたくさん、涙がじんわり出てきました。

将来を決めなくちゃいけない時期。「子ども」でいられるのも、両親が作った家庭の「家族」でいられるのもあとわずか、って時ですよね、大学生って。
そんな時期の心の揺れみたいなのが結構伝わってきました。

タイトルは、姉弟と両親を表しています。

最後は姉も弟もその四ツ葉から旅立って、自分の人生を始める時がくるんだな、という気配で終了。


冬治が、雪村さんの為に、実家近くの大学院を諦めて東京の院に進みたい、という相談をしに実家へ行った時の父親のセリフがとってもよかった。

ちょっとだけ引用
「人間は人生の必要な時期に、必要な人間としか出会わないし、そこで色々と学び尽くして一緒にいることの意味がなくなれば遠ざかっていくのは仕方ない。」

深いなあ。でも、一緒にいる意味があり続ける人、というのがいるんだよね、っていうメッセージだと思うんだけど。

満足度100

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