読む日々

テーマばらばらの読書日記

チヨ子

2011-08-31 | 
宮部みゆき「チヨ子」

 ちょっと不思議な現象をテーマにした怖くて優しいお話5篇。
いきなり文庫化、とあり、しかも出たばかりなので


ネタバレ注意


雪娘・・・小中学時代の仲良し4人組で集まろう、でも本当は5人組だったよね。ユキちゃんは小学校6年で殺されてしまい、事件は迷宮入りだった。集まった日、雪が降り、みんなには雪子の姿が見えたのに「私」には見えない。

オモチャ・・偶然我が家の近くに、消息不明だった大叔父が商店街でオモチャ屋を営んでいた。入り婿で。そしてその妻が亡くなり、妻の子どもたちと大叔父で相続のイザコザがおこり、商店街では大叔父が妻を殺したんじゃないかなどという噂まで流れる。そしてある日大叔父が亡くなり、商店街は次々と店がつぶれて行く。

チヨ子・・・バイトでウサギの着ぐるみを着るハメになったわたし。着ぐるみの目を通すと、周囲の人々がぬいぐるみやらオモチャやらに見える。自分を鏡で映したら、幼いころ大事にしていたうさぎのチヨ子に見えた。大事な想い出のない人達は普通の人間に見える。

いしまくら・・・編集者の父は娘から、殺害された女子高生にまつわる悪い噂を否定する為の取材に付き合えと言われる。悪いことをしたら我が身に返ってくるという、江戸期の訓話「石枕」のように、別な事件の犯人がその事によって浮かび上がる。

聖痕・・・12年前の少年事件。その犯人が自殺してメシアになった、とネットで広がっている。犯人の父親が「せっかく立ち直ってきているのに」と調査会社に調査を依頼。実はそのサイトでみんなを煽っていたのは・・・。


最後の聖痕はちょっと読みづらかった。あとは面白い。
いしまくらのお話は「旅人をもてなす夫婦は実は強盗犯で、石の枕で眠った旅人の頭を夜中に木槌で打ち殺し、金品を奪う。それを嘆いた実の娘が旅人の代わりに自分が寝て、両親は誤って殺してしまう」とあった。イソップだかグリムだか、昔の童話で、継子を殺そうとした母親が間違って実子を殺した話しを思い出した。

怖いよ~

満足度80

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