読む日々

テーマばらばらの読書日記

光と祈りのメビウス

2013-06-20 | 
松本侑子「光と祈りのメビウス」



プロフィールが作者とダブるので実話がベースかと思ったけど、さすがに違うか。

アメリカ人の夫とうまくかみ合わない生活を送る中、歳の離れた弟が事故死。
ショックに打ちひしがれる母親の影響で占いやに精神世界やら、ヨガなんかに惹かれていく。

そして、東京を離れ、大阪の郊外の山の麓で、自然に根差した暮らしを送る中、近在の青年と恋に落ち、夫とは離婚。
彼との子どもを宿したかも、という時に阪神大震災で、たまたま神戸に行っていた彼が亡くなる・・・

って話でした。
ラスト、生まれた息子が成長し、亡くなった彼の両親に存在が知られ、逢わせてあげに行く辺りで号泣。
なんか簡単に感想は言えないです。
最初は冗長的な展開にイライラしたんだけど、これがなければ後半ここまで心が動かないと思う。


田舎暮らしの描写も面白かったです。

満足度100

29歳

2013-06-20 | 
「29歳」

29歳の女性が主人公の8編のアンソロジー。


山崎ナオコーラ「私の人生は56億7000万年」

私語とをやめて、出版の学校に通いながら書店でバイトする29歳のカナと、親友の留美子。自分探しの話?よくやかんなかった。

柴崎友香「ハワイへ行きたい」

派遣で働く女性。遠距離恋愛の彼とは終わりかなぁ、と思いつつ、仕事を通して自分の気持ち再発見。

中上紀「絵葉書」

色んな事に煮詰まっていた時友人に海外で一緒にカフェをやろうと持ちかけられ騙され、最後はそのお陰でやりたいことを見つける。

野中柊「ひばな。はなび。」

ずっと、付き合っていて大好きな彼に、海外転勤について来て、と言われても即答できずわかれたみたいになっていた。同じマンションで、母を亡くした少年になつかれ、その父とも話すように。ある日その人にときめいてしまう。彼が帰ってきて会うが、刈れとは終わりだな、と悟り、その父との未来が感じられるラスト。

宇佐美游「雪の夜のビターココア」

不倫に疲れ、同じ年頃の男と付き合う。不倫相手の妻が亡くなったと知り会いに行くがもう、ときめかない。しかし同じ年頃の男は他に女がいて。

栗田有起「クーデター、やってみないか?」

やな雰囲気の会社に転職。ある日専務からクーデター~話を明かされ、そちらに与するよう要請。新たな人生の幕開け。

柳美里「パキラのコップ」

花屋勤務の女性。客の男と付き合うが、婚約者がいた。

宮木あや子「憧憬☆カトマンズ」

派遣先の上司と不倫中。若い男が入社、同じ趣味でもりあがる。何か欠損がある自分に気づく。親友といつかカトマンズに行こうと盛り上がる。


うまくまとめられなかったけど、宮木あや子のが一番おもしろかった。これはこれで他の短編と共に本になってるらしいので、機会があれば読みたいです。
あと、柳美里は、私小説以外を始めてよんだけど、意外にノーマルなお話でビックリしました。

野中柊のが主人公を一番理解できたかも。


満足度80