読む日々

テーマばらばらの読書日記

潮風のおくりもの

2011-04-14 | 絵本
「潮風のおくりもの」パトリシア・マクラクラン・作 掛川恭子・訳


サラ・シリーズの作者。サラとは訳者が違うのかな・・ちょっと確認。あ、サラは金原瑞人さんだ。

どおりで。


これもたぶんとってもいいお話。生後1日しか生きられなかった赤ん坊の死に沈んでいた家庭に、捨て子というか「しばらく預かってほしい」という置き手紙とともに1歳になろうとしている赤ちゃんがやってきて、その子との関わりの中で、家族全員が赤ん坊の死を乗り越えていく物語。

主人公は女の子だし、児童書なんですげと、訳が抽象的過ぎてよく内容がイメージできない。
大人でもこんななんですから、子供が読んで果たして作者の意図は伝わるのか・・

金原さんの訳は、どんな小説を読んでも素晴らしいです。
サラはすごく読みやすいし、物語にスーっと入り込めたのに、同じ作者の本でもこんなに違うって、翻訳って難しいんですね
海外物は、訳者も注意して見てないとだ。

日月めぐる

2011-04-14 | 
諸田玲子「日月めぐる」

少し前に買った文庫。その後図書館へ行ったので、珍しくしばらく放置してました

駿河国小島藩という、わすが一万石、城さえない小藩を舞台に、述べ50年の人々の生きざまを描く連作短編。
その藩内の岩場から覗く川には、不思議に綺麗な渦が見えますが、その渦がキーポイントとなって物語が動きます。

すべての話しが何となく心が落ち着くというか、人生は何が起きても永い時間の中ではすべて思い出に変わるし
その思い出を糧に自分や子孫や周囲の人々の、また違う生活が営まれていくんだなぁ、と感じます。

どのお話もよかったけど、最後、徳川の時代が終わりを告げたあと、小島藩の人達が他へ移り、
そこへひとまず入ってきた旗本の娘と直参の男が、小島に残った村人との交流を通して前を向き、渦を見て
「思い悩むのはやめよう」と思うお話が、世の中の移り変わりと「人生」をまとめているようでよかったです。

うまく感想かけないですが、この作家さんはなんでこんなに上手なんだろう・・・。
心がちょっと後ろ向きだったり、落ち込んだりしている時に読むと、格段元気づけるような事は書いていないけど
「なにがあっても時は流れていくんだ」「自分の人生は一瞬だけど、それは誰にとっても同じで、その中で精いっぱい生きれれば
なんでもO.K」「人生捨てたもんじゃないな」「小さな幸せってたくさんあるよね」って気持ちにさせてれます。