読む日々

テーマばらばらの読書日記

現代語訳 論語と算盤

2019-10-07 | 

「渋沢栄一 現代語訳 論語と算盤」 守屋 淳 訳

明治期に大活躍した政治家・実業家の渋沢栄一が残した言葉を弟子が拾い上げた書を、現代に甦らせるべく現代人にわかりやすく書き直した一冊。
最近は買ったり図書館で借りたりせず、知人から借りてばかりな怠惰な私(笑)

本のチョイスが、自分では絶対しなそうな今まで読んできたことがないジャンルのもので、それがまた読んでみたら新鮮というか、目から鱗な言葉で溢れた本が多いの。
児童書や恋愛小説はもう人生で浴びるほど読んできたから、そういうのは映画やドラマで楽しむことにして、しばらくはライフワークの絵本や、今まで知らなかった世界の探求に励みたい。
もう少ししたら古典には挑戦してみたいけど。原文で。

逸れた。渋沢栄一は、再来年の大河ドラマの主人公。今から予習しておくと楽しめそう。なつぞらの天陽役・吉沢亮くんが主役。
映画「キングダム」で素晴らしい一人二役、王様と影武者を演じきった彼なら、きっとリアリティに溢れた渋沢栄一を表現してくれるんだろうな、楽しみ。

で、この本はご本人が書いたものではなく、近くにいた人たちが、渋沢さんが話したことを書き留めたものらしい。お釈迦様のお経みたいだね。
なので、テーマというか本の進み方に明確な段落というのがなく、似たようなお話が前後して出てきたりする。(テーマとか言いたいことが似てるお話ってことですが)

読み終えて、一番「これがテーマかな」と思ったのが
・一個人の利益になる仕事よりも、多くの人や社会全体のりえきになる仕事をすべき、という考え方を、事業を行う上での見識としてきた。
・社会に多くの利益を与えるものでなければ、正しくまともな仕事とは言えない。

ということかな、と。それらを貫いてきたバックボーンに孔子の教えがあるんだよ、と。

ところどころ心に残った部分を記憶にとどめるためメモしてみた。
・お金はよく集めよく使うべし
・ただ生きてるだけでは「肉の塊」に過ぎない。何事にも情熱を持ち取り組むべし。
・現実に立脚した道徳こそ大事、理想だけでは行き詰る。しかし自分の事だけ考えていてもダメ。弱者に手を差し伸べタダ飯を食わすのではなく、貧しさを防ぐ方策こそが大事。
なので論語と算盤は一致するのだ。

ここは書名とも一致する部分。こっちがテーマか。だけどご本人のポリシーが一貫しているので、どこをとっても底辺に流れる物は一緒でブレない。
やはり時代を象徴するようなことを成す人物というのは、ブレないものなんだな、と感じた。

成長とか変革とかは絶対必要だしカッコいいと思うけど、そういうことではない、骨格というか魂の底辺というか、そういうものは一度固めたらブレない人が好きだな。
権力者が変われば、または風向きに合わせてフラフラ世の中うまく渡ろう、みたいな人格は好きじゃないな・・・。
どういえばいいかな、そう、自分に偽りのない生き方がしたい、自分の望みとか譲れない事とか、人に合わせて妥協して生きるのが嫌だ。

何が言いたいかわからなくなってきたけど、つまり渋沢栄一さんは、とっても大好きなタイプの人だった。
知れてよかった。

貸してくれてありがとうございます!


人生の勝算

2019-09-12 | 

前田裕二「人生の勝算」


また貸していただいた本♫
著者はライブ配信サービス「SHOWROOM」を立ち上げた人。

幼い頃の体験から得たモノを軸に人生を突き進み、いま成功を収めた方のこれまでの軌跡。
人生に対する考え方などが書かれてる。

大切なこと
・絆・努力・人生という航海において「コンパス」を持つこと

と。そして、絆についてたくさん触れている気がした。
絆の魔法をかけて生み出されるものがコミュニティ。ムラ。
ムラの一員になってもらうことがそのコンテンツが滅びないポイントってこと?

つまり、インタラクティブ。
IT空間の中で人間的な繋がりの価値を消費できる。それによってオーディエンスは、気持ちの上で前向きな課金ができるようになる。

と書いてありました。


あとはビジネス成功までを振り返り掴んだもの。
やはり、人です。人に好かれる大事、そしてそうなるためには自分から相手を好きになること。人間関係は合わせ鏡だから。

1年半前、人間関係で悩んでいたとき、尊敬する先輩に「人の想いは両想いなんだよ。あなたが相手を苦手なら間違いなく相手もあなたのことが苦手なの」と言われたの思い出した。(私はどうしてもその相手を好きになれなかったけど。離れる!って決めたら離れられた)

努力についてたくさん語られていたけど、やはりそれはコンパスがしっかりしてるから活きてくること。それがなくただがむしゃらに頑張るのは、消耗するだけで終わるだろうな。

意図しては書いてないと思いますが、引き寄せの法則にあてはまるな、という記述もたくさん。やはり一流の人は習わなくてもできちゃうんだな、というのが感想です。

まずは「決める」こと。

私事だけど、息子にこそ決めて欲しい、彼の望む未来を(泣)

だけど私も人生まだまだ。てか人の寿命の長短なんてわからないので、あと50年生きるつもりで人生まだ勝ちに行く、と決めよう。

またまた為になる本をありがとうございました😊

ゆっくり、いそげ

2019-09-02 | 
影山知明「ゆっくり、いそげ カフェからはじめる人を手段化しない経済」



また貸していただいき読みました。ありがたいです。

この本は、西国分寺で「クルミドコーヒー」というカフェを経営するオーナーさんが、実践を結集した、理論ではない経済の本。

お店を運営される中で掴んだ、無機的ではない、心の通いあう、みんなが幸せになる経営の本ですかね。

冒頭に、
物事の本質は突き詰めれば原則というのは案外シンプルか?みたいな事が書かれていて。
ここで心を掴まれた・・矮小な人間なので。
先週、米津さんが更新したブログにも、同じようなこと、書いてあった!!と笑

そこはいいとして。
新しい経済システムとして、「特定多数経済」とでも呼べそうなものを提案されてます。特定多数の参加者間に於いて、価値の交換を可能にするローカルシステム、だそう。

今の資本主義社会は、利用し合う関係で、ギブ&テイクの仕組。そうなると、そこに心がないというか、最大限うまくいったとしてもwin-winでしかないというか。それを、企業も社員もお客さんも地域もすべて幸せになれる方法があるのではないか?

とか。そこにあるべき心についてのお話があって、さらに具体例や、取組や、理想の姿が書かれていて読んでいて楽しかったです。

一番響いたのが、
組織のために人は居るのではなく、個人の人生がメインであり、組織は舞台。
という記述。普段から考えていたことなので、みんながそう言う意識に変わればいいなぁ、と思いました。

管理と支援のちがい、とかわかりやすく書いてあります。自発の大事とか、もう、そうそうそう!!とか声に出ちゃったり。

仕事に人をつけるのではなく、人に仕事をつけるの大事。前者は替えがきくので幸せ感が薄い。
後者は一人一人、自発で動けるから幸福感が高い。なるほど。、

人が人らしさを感じて、自分の人生を自分で生きる事ができる社会、が実現すると良いなぁ、と思いました。

なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか

2019-08-26 | 
田口佳史「なぜ今、世界のビジネスリーダーは東洋思想を学ぶのか」
読了。



内容は、

今の世の中のパラダイムは変化の時を迎えている。
西洋思想オンリーに傾いていた近代から、内側を見る東洋思想にシフトしつつある。
世の中はサイクルで動いているが、今、経済の30〜50年の周期と、文明の150年〜200年の周期が同時発生の大転換期を迎えている。その中にあって、東洋思想がポイントになるのではないか、ということをいろんな例を挙げて書いてある本。

「概念」というのは時代で変わるし、それにより人々の考える「価値」も変わる。今は18世紀から続く近代西洋思想が揺らぎ始めている。中世、ヨーロッパはキリスト教会の力が強すぎて理不尽な事も全て「神の思し召し」で押し切られてきた。その後、思し召しではなく、客観性がとても求められる時代になり、機械的数字論が正義みたいになっていた。
日本は明治維新が革命だったが、その機械的数字論を輸入したようなものだったのか?だが今また「思考の源泉」が変わろうとしている。
今は「人間的生命論」へ。命を喜ばせる事、楽しむ事で生まれるイノベーションが盛んになってくる。
※※※※※※※※※※※

ここまで読んで、
今流行っている「宇宙理論」と被るな、と。まあつまり、パラダイムが変わってきているから、なんだけど。宇宙理論をたまたま1年半前くらいから見聞きして、いろんな方のブログを読んだりしているので、言いたい事はよくわかる。とにかく、命を喜ばせる事、ワクワクすることに意識を向けることが大事なのだよ。
ちょっと読んだ、脳心理学とも繋がっているな、と。
とにかく、ワクワクすることに意識を向け実行し、今、ここ、を味わい尽くすことが大切。

そして、「見えるもの信奉」が変わりつつある、と。「見えない世界」が重要度を増していて、そこからイノベーションが生まれている、と。つまり「○○道」と言われるようなものに通じるんだよ、と書いてある。幸せそうにみえることより、本人が幸せと感じることがだよ、と。

万物はひとつ。個々ではない。
時も、線ではなく円。環状なんです。そして皆繋がっているというか溶け込んでいる。一人一人が海の中の一滴のような。水は蒸発してもまた液体となって海に戻ってくる、みたいなイメージが浮かぶ。
話、超逸れるけど、こういう世界観を歌っているのが米津玄師なんだよね。
目には見えないものの大事はさまざまな曲に書かれてるけど、
「ゴーゴー幽霊船」や「フローライト」なんておススメ。
宇宙理論については映画「海獣の子供」見るとよくわかるし、その主題歌「海の幽霊」はそういった世界観を歌ってますよ。

で、本書は最後に近江商人の
「三方よし」についても触れていて。ヒットした小説、みをつくし料理帖も三方よしがテーマだったことを思うと、日本人には馴染みやすいんだろうな。

そういう日本人の性質を活かせる時代がくるんだな!と。
前回読んだ落合さんの本にはその方法が具体的に書いてあり、かなり面白くてオススメでした。

こちらは、精神性についての内容が多く、時代小説好きの人なら、好きな性質の時代がやってきそうだな、と感じてワクワクするかもしれません。


日本再興戦略

2019-08-22 | 
落合陽一「日本再興戦略」




知人より貸してもらい一気読み。これすごい。
いままでボワっと感じたり思ってたりしたことが明確に言葉になっている。

大きな枠での内容はこれから書くけど、自分の中でのシンクロ率もすごくて。
(いやかなり低レベルだけどさ)

・最近どうしても読みたくて買った古事記。古事記についても触れられていて、読むモチベーションがあがった!
・翻訳アプリ、誤訳多い、という知人多数いたけど、いやそれ、日本語を英訳しやすいように入力していないからさ、と常々語っていたことがそのまんま書いてある♪
・ネット怖いとか個人情報云々とか、むやみに怯える同年代も多数。そしたら何もできないでしょうよ、と思ってたら、若い人たちはそういう抵抗感少ない、って。ほらね。


で、内容は、
150年続いた明治以降の「近代」日本がまだ息づいているが、もうそれは終わりにしないといけないよ、と。
テーマは「日本」のアップデート。
日本人の特性にあった国造りをしていこう。「欧米」を見習ってきたやり方はいらない。「欧米」は日本人の脳内のユートピア。
そもそも欧州と米国は別物。欧州も一つではないし。それらをひとくくりにして、部分部分で真似をしてきたからうまくいっていない。
1945以降、足並みそろえて全体観で進んできたけどこれからは個人の時代。代替性の高い人類を生産する必要はなくなった。それらはAIでなんとでもなる。
日本はもともと文化も多様。各時代ごとにまったく違う。だから変えても大丈夫。機械親和性も高い国民だからAI化も難なく受け入れられる。
しかも少子高齢化だから、それせに反対する暴動もない。足りない労働力を機械が代わってくれるのだから。
そしてそれらの技術やシステムを日本より遅れてやってくる世界の少子高齢化へ輸出しよう。

そして日本人は天皇さえ本物なら、あとは機械に指示されてもたぶんO.K。もともと天皇がいて実務は官僚がしていた国。明治から1945までが違っただけ。

ワークライフバランスからワークアズバランスへ。日本人はもともと生活と仕事が一体化していた。バランスとしての士農工商を復活させる。
生き方としては殆どが百姓になる。百姓とは百の仕事ができる人、という意味合い。みんなフレキシブルにさまざまにコミュニティに属し、行ったり来たりを気軽にしつつ
「生業」を保障されることで安心して生きていける。

というようなことが描かれていていちいち納得。かなり感動。日本が生き残る道はこれだ!みたいな。
国防についても、機械防衛軍作ろう、とか、アタマよすぎでしょう。

で、こういう国を作るうえでの国民の意識改革・教育改革などについて超具体的に解説されてます。
本当に読んでて楽しかった。
自分が今から何ができるかはわからないけど、おじさん・おばさんも意識が変わることで、そういうことで国も変わっていくのではないかな。

ノートにまとめたのでさらに読んでいきたいです。