とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「三度目の殺人」 (ねたばれ注意)

2017-09-13 23:59:00 | 映画
結局、役所広司が演じる三隅が殺人を犯したかの真相は明かされない。
しかし、作品としては成り立っている。
映画を観終わって、もやもやした気持ちが残ったのは事実だが、他人に答えを求めている自分に気付く。

裁判というものが、真実を明らかにすることが建前になっており、
証拠に基づいて、検察と弁護人が刑の軽重を争う場となっている面はあるだろう。
それ故に証拠が残っていない真実は明かされない、もしくは真実を誤認して判決がくだされることもある。
よって、目の前の判決の正しさについて、多面的に検証する必要がある。

この作品を観て感じたのは、裁判は比喩であり、真実は簡単にはわからないということだ。

福山雅治が演じる重盛が三隅を理解しようとする過程で、三隅の発言がころころ変わっても、変わらない芯を見つける。
その芯からたどると結論はこうだろうという推論を立てるが、それとて正しいかはわからない。
最後は、何を信じるかの自らの覚悟の問題として、自分に返ってくるのである。

「三度目の殺人」は「殺人」なんであろうか。「救済」かもしれない。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:三度目の殺人
製作年:2017年
製作国:日本
配給:東宝、ギャガ
監督:是枝裕和
主演:福山雅治
他出演者:広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功、役所広司
上映時間:124分


「関ヶ原」 (ねたばれ注意)

2017-09-07 23:59:00 | 映画
岡田准一が演じる石田三成を見たくて鑑賞。
従来の三成像は、頭は切れるが、生真面目で融通が利かず、豊臣への忠誠心だけで生きる人とのイメージ。
これを岡田准一が、豊臣への忠誠は示しつつも、理不尽な命令に悩み、世の中をよくしたいとの情熱を持った人物として演じている。
実際の三成は、西軍の大将を任されるぐらいの人物なので、かなり人望もあったのだろう。
歴史は勝者によってつくられるので、過小評価されている面が大きいと思う。

歴史的な事実は今となっては不明であり、様々な推測が試みられているので、この作品で論じるべきことはないが、
監督が描きたかった「利害で固まった秩序」への挑戦者としての三成を主人公とした作品を今、世に送り出したかった気持ちはわかる。

家康のようにしぶとく生き延びることも大事だし、三成のように自分が殉ずるべき野望も持っていたい。
そのバランス感覚が人生の機微というものだろう。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:関ヶ原
製作年:2017年
製作国:日本
配給:東宝、アスミック・エース
監督:原田眞人
主演:岡田准一
他出演者:有村架純、平岳大、東出昌大、滝藤賢一、北村有起哉、和田正人、キムラ緑子、中越典子、壇蜜、西岡徳馬、松山ケンイチ、役所広司
上映時間:149分