とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

デ・キリコ展(東京都美術館)

2024-06-07 23:59:00 | 美術館
東京都美術館で開催の「デ・キリコ展」を鑑賞。

ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)は、日常の奥に潜む非日常を表した「形而上絵画」と名付けた手法で多くの芸術家に影響を与えた。
また、古典絵画のテーマや技法にも取り組み、自らの世界を創り上げていった人であった。

見慣れたはずの景色が初めて見る景色であるかのようなインスピレーションを絵にするとは、どういうことか。
本来、家の中にあるはずの家具が屋外にあったときの違和感をどのように絵に表現するか。

先入観が邪魔をして見えていなかったものは何か。

単純に絵画を鑑賞することからの発想の広がりが、デ・キリコなのかもしれない。


法然と極楽浄土(東京国立博物館)

2024-06-07 23:30:00 | 博物館
東京国立博物館にて開催の「法然と極楽浄土」を鑑賞。

法然(1133年~1212年)は浄土宗の開祖。
平安時代末期の「末法の世」に「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば誰でも死後、救われるという教えを広めた。
寺を造営することで救われようとするこれまでの仏教も認めつつ、庶民からの信仰を集めた。
より多くの人を救いたいという法然の想いの賜物だが、信徒を増やすという意味で、画期的なアイデアだったのだと思う。

現代人からすると、死後ではなくて、今を何とかして欲しいと思うが、現生は自力でどうにもならないなら、来世に救いを求めるかもしれない。
あるいは現生で悪行を働いてでも生き延びてきた人に、来世での救いの道を見出したということだろうか。
いずれにしろ、来世があると信じないと、意味がない教えではある。
そういう意味では、「死」は単なる通過点と割り切れるのか。

これは自分のやるべきことを行えば、来世の心配はないと受け取れる。
自分のやるべきことが、「戦うこと」なら社会は不安定になり、「働くこと」なら社会の安定に寄与するだろう。
一向一揆から、浄土宗を保護した徳川家康の江戸時代の安定の根底にあったものが少し理解できた気がする。



法然寺の立体涅槃群像