ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

今はどうなっているのか? 大分県中津市の新博多町

2013年01月29日 00時53分18秒 | 旅行記

 私が大分大学教育福祉科学部助教授(大学院福祉社会科学研究科担当専任)となったのは、今から11年前の2002年4月です。それまで講師を5年務め、大分県は大分市に5年住んだ私は、当時の58市町村の全部を周り、サテライト日田問題、市町村合併問題などに取り組んでいました。これらとは異なって論文などの形でまとめていませんが、中心街空洞化は、大分大学に講師として就職した1997年4月から、まさになりたての住民としてすぐに知った問題であり、現在に至るまで関心を持ち続けています。

 とくに関心を強めるきっかけとなったのは臼杵市の二王座へ行った時であったと記憶していますが、別府市、佐伯市などでも同様であり、とにかく自家用車か鉄道かを利用して当時の58市町村全てを周り、中心街と言える場所を歩いては実態を観察していました。中でも、私が最も強い衝撃を受けたのが、助教授となった2002年の9月23日に訪れた中津市新博多町でした。今回は、以下で「待合室」の第28回「中津市新博多町の現状」を再掲載し、皆様に「問いかけたい」と考えております。

 (以下、原文のままです。)

 久しぶりに大分県の様子を紹介します。今回は、大分県北部を代表する都市、福沢諭吉にゆかりのある中津市です。

 9月23日、大分駅から特急に乗り、中津駅で降りました。中津市には何度か行ったことがあるのですが、駅周辺をゆっくり歩いたことがなかったので、中心街がどのようになっているかと思い、行ってみることとしました。

 中津駅を降り、海側に出ると、すぐに細いアーケード街に出ます。その中を歩き、新博多町の山国川のほうに向かいました。祝日のお昼でしたが、人通りはそれほど多くなく、多くの店がシャッターを閉めていました。

 上の写真のように、私以外は誰も歩いていないような状況です。開いている店もあるのですが、お客さんはほとんどいません。大分県の各市街地は、大なり小なりこうした様子ですが、歩いた経験からすれば、ここまで惨憺たる状況は中津市と臼杵市くらいでしか見られないのではないでしょうか。別府駅周辺や豊後竹田駅周辺、そして佐伯市も空洞化の激しい場所ですが、もう少し人通りがあります。

 写真では奥のほうになりますが、アーケードが途切れる箇所があります。交差点になっていて、右折すると寿屋中津店跡があります。心なしか、建物が傷んでいるようにも見えました。寿屋の中には別の会社によって営業が再開された店舗もあるのですが、私が知る限り、中津店と三重店(大野郡三重町の郊外にある)では再開の目途も立っていないようです。また、寿屋中津店跡のそばにベスト電器中津本店もありましたが、既に郊外(旧国道10号線に沿った所)に移転しています。

 そして、新博多町をさらに歩くと、脇に入れば行き止まりというような、変な一角があります。ここに足を踏み入れた時、思わず驚きの声を上げました。いくら中心街で空洞化が進んでいると言っても、こんな光景を見たことがなかったからです。それが下の写真です。

 暗いので見づらいかもしれませんが、肉眼でもこのような感じでしたので、あえて修正していません。この奥に入ってみたのですが、時間が悪かったのか、それとも他の理由なのか、開いている店は一つもなく、歩いている人も私以外にいなかったので、不気味でした。もはや壊滅と表現してもよい状態です。

 この後、(名前を覚えていませんが)夜であればおそらく歓楽街であろうという所を歩き、中津駅に戻った後、旧国道10号線を宇佐方面に歩きました。川を渡ると、郊外型の駐車場つき店舗が建ち並ぶ街があります。商圏はここに移ったのかもしれません。また、中津市の隣、三光村には、新国道10号線沿いに大型のショッピングセンターがあります。山国川を越えると福岡県ですが、そちらからのお客さんも多いようです。

 新博多町を歩きながら、改めて、中心街空洞化の深刻さを思い知らされました。

 ※※※※※※※※※※

 上の記事を記してから数年後に、中津市と下毛郡の各町村(三光村、本耶馬溪町、耶馬溪町、山国町)は合併し、新しい中津市が誕生しました。勿論、新市の中心は旧来からの中津市の部分でしょう。空洞化は深まっているのか、止まっているのか。気になるところです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 上野恩賜公園と国立西洋美術館 | トップ | iPhone5を使ってみて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

旅行記」カテゴリの最新記事