ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

何を聴こうかと迷った時には……(5)

2019年05月31日 22時29分15秒 | 音楽

 久しぶりに、音楽の話でも。

 今年の2月23日、妻とサントリーホールに行きました。大ホール、小ホールの双方でコンサートが開かれましたが、我々は小ホールのほうに行きました。

 ハープ奏者、吉野直子さんのコンサートです。

 正直なところ、何処かの会社の大会議室のような構造の会場には疑問符ばかりが浮かびましたし、コンサートの最中、何度となく、観客の携帯電話、スマートフォンのヴァイブレーターが作動していたのには、私も妻も驚きました。我々はスイッチを切りますが、そうしない人が多いのでしょうか。青葉台のフィリアホールと比較しても、いや、比較にならないほど、会場としての適切さには欠けたと思います。

 しかし、演奏曲目などはよかったのでした。特に、最初に演奏されたジョン・ケージ作曲の「ある風景の中で」、それから吉松隆作曲の「ライラ小景」が気に入りました。

 「ある風景の中で」は、あのケージにしては保守的とも言える作品ですが、アルペジオのような音型(一時期のシンセサイザー音楽を思い起こさせます)、しかも四分音符か八分音符だけで構成されたような曲でもあり、ケージが東洋の音楽にインスピレーションを受けたのかとも考えられます。一方、「ライラ小景」は、聴き通せば物語が頭の中に浮かんでくるような組曲で、ハープの音響を相当に意識したのだろうと思える作品でした。これを聴けただけでも「来てよかった」と感じたのです。

 果たして、会場では最新作の「ハープ・リサイタル4:武満・細川・吉松・ケージ・サティ」が売られており、これらの曲も収録されていましたので、早速購入しました。

 それ以来、何かといえばこのCDを聴いています。

 ちなみに、2月24日に国立劇場で開かれた「天皇陛下在位30年記念式典」に、吉野さんも出演されました。私は、たまたま実家で中継を見ていて、声をあげてしまったほどです。まさか、二日連続で演奏を聴けるとは、という訳です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

腹立たしい

2019年05月30日 00時33分30秒 | 日記・エッセイ・コラム

 一昨日(2019年5月28日)の朝に飛び込んできた速報。

 川崎市多摩区登戸新町(のぼりとしんまち)で発生した事件。何度か通ったことがある所でした。

 速報を見てから、中央大学経済学部での講義のために武蔵溝ノ口駅から南武線の下り電車に乗りました。登戸駅前で渋滞が発生していました。電車が同駅を発車してすぐに、一瞬ですが現場が見えました。

 腹立たしい。結局はこの一言に尽きます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

行政法講義ノート〔第7版〕への前口上

2019年05月26日 00時00分00秒 | 行政法講義ノート〔第7版〕

 法学部に所属していない学生でも、ウェブで手軽に行政法の勉学を進めることができる。

 これが、この講義ノートを2001年3月25日に開始した理由です。当時、私は大分大学教育福祉科学部講師でした。

 それから18年が経過していますが、この間に多くの方々に利用していただきました。直接、公務員の方、税理士の方などから「わかりやすい」というありがたい評価をいただきましたし、行政書士試験受験者向けのブログなどで、行政法の真髄でもある行政裁量論を扱った箇所に関して非常に好意的な評価をいただくこともできました。

 2019年度に、大東文化大学法学部、国学院大学法学部、東洋大学大学院法学研究科および中央大学経済学部で行政法の講義を担当します。第6版の開始から4年近くが経過していること、および「財政法講義ノート〔第6版〕の、長すぎる前口上」において記したように、マイクロソフト社による簡易なホームページ作成用ソフトであるFrontpageおよびExpression Web 4の開発が終了していることから、第7版の掲載はとりあえずブログで行うこととしました。第7版とは銘打っていますが、開始から二度の名称変更を経ていますので、実質的には第9版となります。

 私が大東文化大学において担当する講義の範囲は行政作用法総論ですが、ホームページでは当初から、行政作用法総論、行政救済法および行政組織法の基本的な部分を対象としております。これは、直接的には大分大学時代に公務員研修を何度も担当したこと、および、2005年の4月から10月まで、早稲田大学法職課程教室公務員試験講座・専門科目講座「行政法」を担当したためですが、別の理由もあります。行政作用法総論の講義であっても、常に行政救済法や行政組織法の内容を意識しなければならないのです。この点は、実際に行政法学の教科書をお読みになればおわかりでしょう。

 日本に存在する法律の大部分は行政法に属する、と言われます。それだけに、範囲も膨大なものとなりますが、ここでは、初学者の皆様にも取り掛かりやすいように、ごく基本的な部分を扱います。但し、少々突っ込んだ内容となっている部分もあります。これは、公務員試験、行政書士試験などの受験を検討されている方々などのお役に立てば、という思いもあるからです。

 ここで、注意事項を記しておきます。

 1.必ず、六法を手元に置いて読んで下さい。小型の六法で十分ですが、有斐閣の判例六法Professional、三省堂の模範六法などの中型またはそれより収録法令数の多いもの、また、学陽書房の地方自治小六法、ぎょうせいの自治六法などであれば、さらに良いでしょう。なお、六法に収録されていない法令が登場することもありますが、現行法であれば「e-Gov 電子政府の総合窓口」の「法令索引検索」を参照するとよいでしょう。

 2.行政法学に限らず、法律を勉強する際には、判例、実例などの検討を欠くことはできません。そこで、まず、判例解説書の併読をおすすめします。とくに、公務員試験受験を考えられている方は、判例解説書を備えるようにして下さい。そして、実際に、公式判例集などを参照するように努めて下さい。

 この講義においては、宇賀克也・交告尚史・山本隆司編『行政判例百選Ⅰ』〔第7版〕および同編『行政判例百選Ⅱ』〔第7版〕(いずれも2017年、有斐閣)を参考書の一つとします(2分冊になっていますが、1セットと考えてください)。同書にて解説がなされている判例については、ⅠまたはⅡの○○番と記します。 但し、同書(Ⅰ、Ⅱのいずれも)には最高裁判所の判決しか取り上げられていませんので、稲葉馨・下井康史・中原茂樹・野呂充編『ケースブック行政法』〔第6版〕(2018年、弘文堂)、下山憲治・田村達久編『判例ライン行政法』(2012年、成文堂)などもおすすめします。

 3.定評のある教科書を併読することをおすすめします。

 4.また、行政法学の基本用語については、このページでも説明を行っておりますが、黒川哲志・下山憲治・日野辰哉編著『確認行政法用語230』〔第2版〕(2016年、成文堂)の併読もおすすめします。

 5.行政法学は、応用的法学の一つとして考えられています。そこで、基礎的な六法(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)の学習を済ませておくのが望ましいのです。最低限、憲法、民法および刑法の学習を十分に行って下さい。

 もっとも、法学部以外の学部の学生、さらには法律学に全く触れてこなかったという方もおられるでしょう。そこで、憲法、民法、刑法などの基本的な部分にも触れておきたいと考えています。

 

 〔これまでの経過〕

 2001年3月25日、「行政法への前奏曲集」として開始する。

 2003年4月1日、「行政法への入口(前奏曲)」と改称。順次、修正・補充などを行う。

 2004年4月16日、「行政法講義ノート」と改称。

 2005年6月28日、第2版として順次改訂。

 2008年5月16日、第3版として順次改訂。

 2011年3月15日、第4版として順次改訂。

 2013年2月20日、第5版として順次改訂。

 2015年9月22日、第6版として順次改訂。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

財政法講義ノート〔第6版〕の、長すぎる前口上

2019年05月25日 10時00分00秒 | 財政法講義ノート〔第6版〕

 日本にある大学、とくに法学部で、財政法という名称の講義を開いているところはどれだけあるのでしょうか。

 このように記している私の本務校である大東文化大学法学部には、現在、財政法という講義が存在しません。2011年度から2016年度まで(2013年度を除く)「法学特殊講義2A(財政法A)」および「法学特殊講義2B(財政法B)」を担当していましたが、いくつかの事情により内容を変えてしまいました。また、非常勤講師(兼任講師、客員教授)として講義などを担当している大学にも、財政法という講義はありません。

 担当していない講義のノートを作成して公開するというのもおかしな話ではありますが、私が2000年6月3日から現在まで続けているホームページ(「大分発行政・行財政研究」→「高島平発法制・行財政研究」→「川崎高津公法研究室」)においては「財政法講義ノート」を公開していますし、財政法が私自身の専攻分野の一つでもありますので、第5版まで掲載してきたのです。

 そもそものきっかけは、私がまだ大分大学教育福祉学部の助教授であった2003年の8月7日〜10日に、熊本県立大学総合管理学部において財政法の講義を担当したことです。初の財政法の講義であるとともに(その時にはまだ租税法の講義を担当していません)、初の集中講義でもありました。もとより、当時受講してくださった学生の皆さん、聴講してくださった大学院生のT君、そして何よりも機会を与えてくださったI先生には申し訳なく、拙いものでしたが、講義ノートを作成しただけでは勿体ないとも思っていたので、それを基にして第1版の公開を始めました。

  2007年になって、M先生からお話をいただき、同年8月、4年ぶりに福岡大学法学部の財政法の集中講義を担当しました。それを機会に「財政法講義ノート」の第2版を開始し、2009年8月の担当により第3版を開始しました。

 ここまでお読みいただいた方にはおわかりのように、「財政法講義ノート」の第1版から第3版まで、本務校で担当しない講義、しかも集中講義のノートを公開するという、或る意味で異質なコーナーとなっていました。これに対し、第4版は、先に記したように大東文化大学法学部で「法学特殊講義2A(財政法A)」および「法学特殊講義2B(財政法B)」を担当するとともに、福岡大学での集中講義を担当したために開始しました。

 第5版は2014年度に開始しました。それから5年が経過しています。マイクロソフト社による簡易なホームページ作成用ソフトであるFrontpageおよびExpression Web 4の開発が終了していることなどから、第6版の掲載はとりあえずブログで行うこととしました。

 版を改めたと記しますが、内容の面では第5版までとあまり変わりがないようなものとなるかもしれません。また、財政法の範囲は膨大ですので、完成していないというのが本当のところです。しかし、たとえ見切り発車的であっても、敢えて公開することに何らかの意味はあると考えています。もとより、今後、研究の進展状況に応じて補訂や修正などを重ね、充実したものに仕上げたいと思っています。

 この講義ノートを利用される際の注意事項を記しておきましょう。

 1.必ず、六法を手元に置いて読んで下さい。財政法に関しては、基本的な部分であれば小型の六法(有斐閣の『コンパクト六法』、三省堂の『デイリー六法』など)でも対応できます(勿論、憲法、財政法および地方自治法が掲載されていることが条件です)。しかし、これらの六法に掲載されていない法律もありますから、有斐閣の『判例六法Professional』、三省堂の『模範六法』、第一法規の『新司法試験用六法』などの中型またはそれより収録法令数の多いものが望ましいでしょう。また、大蔵財務協会の『財政会計六法』、学陽書房の『財政小六法』という専門的な六法も出版されています。地方財政関係であればぎょうせいの『自治六法』もおすすめです。

 2.財政法についても、判例、実例などの検討を欠くことはできません。とくにこの分野の場合は実例や先例が重要です。もっとも、財政法についてまとまった判例集などはありませんので、憲法、行政法の判例解説などを参照することとなります。

 3.財政法の体系書は非常に少なく、また、絶版または品切れとなっているものばかりです。この講義ノートにおいては、引用または参照という形により、注(本文より小さい字で示しています)において文献を紹介しています。図書館などで探してみてください。なお、この講義ノートの第一部については憲法学の体系書、第三部については行政法学、とくに地方自治法の体系書を参考とすることをおすすめします。

 ちなみに、私が担当する前記講義のいずれも、教科書は使用しておりません。参考文献は、この講義ノートで紹介します。

 4.財政法は応用的法学の一つです。そこで、基礎的な六法(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)、そして行政法の学習を済ませておくのが望ましいのです。最低限、憲法、民法、行政法の学習を十分に行って下さい。もっとも、法学部以外の学部の学生、さらには法律学に全く触れてこなかったという方もおられるでしょう。そこで、憲法、民法、行政法などの基本的な部分にも触れておきたいと考えています。

 

 〔これまでの経過〕

 2003年8月16日、第1版として開始。順次掲載、修正。

 2007年8月5日、第2版として順次改訂。

 2009年7月7日、第3版として順次改訂。

 2011年3月4日、第4版として順次改訂。

 2014年3月3日、第5版として順次改訂。

 2019年5月25日、第6版として順次改訂。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「横浜セントラルタウンフェスティバル“Y160”」 ラッピングトレイン

2019年05月24日 01時34分55秒 | 写真

講義期間中の木曜日の朝、私は渋谷駅で東急田園都市線から東京メトロ副都心線に乗り換えます。

通勤急行森林公園行きの到着を待っていると、4番線に横浜高速鉄道Y500系のY513Fが止まっていました。渋谷で折り返しの各駅停車元町・中華街行きです。

 あくまでも私の印象ですが、横浜高速鉄道みなとみらい線の車両は、何かとラッピングを施されることが多いようです。今回のこの編成は「横浜セントラルタウンフェスティバル“Y160”」のラッピング列車で、4月28日から走っているそうです。

横浜高速鉄道のサイトによれば、6月8日まで走る予定とのことです。見る、撮影するのであればお早めに。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今の南武線は

2019年05月21日 22時00分05秒 | 写真

 川崎市の南部と北部を縦貫し、宮前区および麻生区を除く全区を通る南武線は、元々が南武鉄道という私鉄で、戦時中に買収され、国鉄の路線となりました。それ以来、長らく首都圏の他の路線で使い古された車両ばかりが使われてきました。

 しかし、国鉄の末期には、山手線などとともに、国鉄で数少ない黒字路線の一つでした。それで72系や101系、そして103系が使われ続けたのも不思議なことではあります。

 それも205系が投入されてきてから変わってきました。新車で投入されたのです。たしか、Nゲージで205系南武線仕様が製品化されました。その後、209系も新車で投入されます(改造車も投入されました)。

 そして、現在、南武線の本線(川崎〜立川)ではE233系8000番台に統一されています。上の写真は、今朝、武蔵溝ノ口駅の3番線に停車中の車両です。ダイヤが乱れていましたが、おそらく、この後に宿河原駅の電留線に回送されたのでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

溝口三丁目、金曜日の夜

2019年05月21日 00時44分10秒 | まち歩き

或る金曜日の夜、溝口三丁目にある、この辺りでは有名なショットバーで、妻と飲みました。

 時折、ショットバーに行きたくなります。このような店で飲むのが一番面白いと言えるからです。ウイスキー(ちなみに私はバーボン系を好みます)やブランデー、ウォッカなどの様々な銘柄、そして色々な種類のカクテルがメニューに書かれていたりするのを見ているだけで楽しいものです。瓶が並べられているのを見るだけでもいいのです。勿論、バーテンダーがシェイカーを振ったりするのを見るのも楽しいですね。

 再開発の前、今の溝口一丁目には4/4というショットバーがありました。溝口中央商店街の、現在は回転寿司屋せぶんの辺り、あるいはズバリその場所であったはずです。いつも混んでいたことを覚えています。私が最初に入ったショットバーがその店で、ブラッディマリーやソルティードッグなどを知ったのでした。

 その後もどこかの街へ行ってショットバーを見つけると入ります。横浜の関内駅付近(大分大学教育福祉学部に勤めていた時代に友人と飲み、見事に終電を逃しました)、渋谷の道玄坂、旧東急プラザの裏にもいい店がありましたし、銀座のソニービルの1階にあったショットバーは夫婦で気に入りました(ここもなくなりました)。二子玉川ライズ開業以降は田園都市線・大井町線の高架下が気に入っています。

 酒と税は密接な関係にあります。だからという訳ではないのですが、美味しいお酒を飲める店がいいと思うのです。

 そう言えば、最近は高津や梶が谷の東急ストアでイタリアのモレッティというビールを買うことができます(二子玉川であればライズ地下1階の成城石井、渋谷であればストリームにあるプレッセ渋谷デリマーケットです)。私も妻も好きなビールです。2010年、高津駅にあった売店には、どういう訳かこのモレッティが売られていました。駅の売店で随分とマニアックな品揃えだと感心していたのですが、程なく閉店してしまいました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おしらせです(2019年5月17日)

2019年05月17日 18時00分00秒 | 本と雑誌

 管理人の権限を利用して、お知らせです。

 5月17日付で、TKCローライブラリーの「新・判例解説Watch」に、私が担当した「第二次納税義務者への告知処分と法人格否認の法理」(租税法No. 151。文献番号z18817009-00-131511743。津地方裁判所平成30年3月22日判決<LEX/DB25561962>)が掲載されました。

 御一読をいただければ幸いです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

法律で首都圏の大学に対して厳しくしたところで

2019年05月16日 00時03分50秒 | 受験・学校

 昨年制定された「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律」(平成30年法律第37号)により—というより、実は制定以前から措置として行われていたことですが—東京都23区域にある大学の定員管理が非常に厳しく規制されています。

 しかし、どれほど意味のあることなのでしょうか。

 たまたま、西日本新聞社のサイトを見たら、昨日(2019年5月15日)の6時付で「地方私大の閉校相次ぐ 自治体が誘致、計画の甘さ浮き彫りに…進む淘汰」という記事が掲載されていました(https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/510113/)。今日の朝刊に掲載されていた記事でしょうか。

 読んでみると、直接的には福岡県みやま市にある保健医療経営大学が「2020年度の新入生募集を停止することが14日、関係者への取材で分かった」ことがきっかけとなっているものです。保健医療経営大学のサイトにはまだ何も書かれていませんが、4月15日付で「資料請求をいただいた皆様へ」というページがあり、「現在、本学において調整中につき、後日、追ってご案内申し上げます」と書かれていました。少しばかりは首を傾げる表現です。

 地方公共団体が大学を誘致し、あるいは設置に関わることは少なくありません。とくに1980年代以降に「地域活性化」のために行われたことです。どこかで最近聞いたような話ではないでしょうか。「地方創生」と言葉は変わっていますが、行われていることは30年前と変わらないということでしょう。

 しかし、大学の誘致が「地域活性化」につながったかといえば、控え目に口にすれば「必ずしもそうではない」ということになります。さしあたり、昨年の2月に公人の友社から刊行された高寄昇三『「ふるさと納税」「原発・大学誘致」で地方は再生できるのか』をお読みいただくことといたしましょう(私は、刊行されてすぐに、田園都市線青葉台のブックファーストで見つけ、購入しました)。

 上記西日本新聞社記事によると、保健医療経営大学の場合は、元々、瀬高町(2007年1月に山川町および高田町と合併してみやま市になりました)が用地を無償提供する予定であったそうです。皮算用という言葉を使ってよいものかどうかわかりませんが、660人の学生が集まり、学生向けのアパートが建設されるなどということでおよそ16億円の経済効果が見込まれたといいます(ちなみに、入学定員は80名で収容定員は320名です。660人という数字はどこから生じたのでしょうか)。しかし、実際には全くその通りにならなかったという訳です。むしろ、最初から見通しが甘いと思われたのでしょう。2007年3月に行われたみやま市長選挙で新市長が選ばれた結果、用地の無償譲渡は貸与に変更されました。

 福岡県では、2007年度に東和大学(福岡市南区)が募集停止(2011年に閉校)、2011年度に福岡医療福祉大学(太宰府市。当初は第一福祉大学)が募集停止(2014年に閉校)、2015年度に福岡国際大学(太宰府市)が募集停止(2018年に閉校)となっています。事情は様々でしょうが、厳しい状況です。

 以前、このブログでも成美大学→福知山公立大学(2016年4月より)の話を取り上げました。他にもいくつかの例があり、公立化したことで志願者が増え、倍率もアップしたそうです。しかし、この手を使える所は、もうそれ程多く残されていないでしょう。また、長期的な効果の有無も不明です。

 上記西日本新聞社記事の図表を見てわかることですが、2010年度以降に文部科学省が廃止を認可した大学は各地方に存在しています。東京都では日本伝統医療科学大学院大学(新宿区)、映画専門大学院大学(渋谷区)、聖母大学(新宿区)および東京女学館大学(町田市)があります。また、兵庫県では神戸ファッション造形大学、聖和大学、聖トマス大学および神戸夙川学院大学があります。そう言えば、最近、神奈川県は大和市にある聖セシリア女子短期大学が学生募集の停止を決めました。東京圏だから、京阪神地区だから、という理由で学生が集まるとは言えないことはおわかりでしょう。

 20世紀中にも大学や短期大学の閉校の例はありましたが、21世紀に入ってから多くなったのは事実でしょう。目に付くところは首都圏および京阪神地区以外の地方です。しかし、だからといって東京圏の大学を集中的に狙うことは、端的に的外れと表現せざるをえません。

 いつにもまして、まとまりのないものとなりましたが、今回はこれにて失礼をいたします。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東急唯一の方向幕車編成の引退は近いか

2019年05月14日 00時00分00秒 | 写真

 昨年(2018年)、田園都市線の新車2020系が営業運転を開始しました。増備も進んでいます。

 そのため、2000系全3編成が5両編成化されて9020系となり、大井町線の各駅停車用として運用されています。また、東急に残る数少ない方向幕車でもあった8590系の8695Fが昨年12月に、8694Fが今年(2019年)2月に運用を離脱し、8590系は東急から姿を消しました。

 また、2000系→9020系の大井町線転属に伴い、同線の8500系4編成(8638F〜8641F。いずれも5両編成)が営業運転を離脱しました。これらの編成は8500系の中では最も新しく(それでも30年前後が経過しますが)、当初は5両+5両で田園都市線と半蔵門線を走りましたが、さすがに5両+5両の復活はなかったのでした。

 こうして、今、東急でVVVF車でない車両は、田園都市線の8500系を残すのみとなりました。しかも、方向幕車となると下の写真にある8606Fの1編成10両のみです。東急に残る8500系では最も古い編成ということになります。 

 2019年5月13日、高津駅(DT09)にて撮影。各駅停車長津田行きです。正面の貫通扉にⓀのシールが貼られております。これは、東武伊勢崎線・日光線に乗り入れることができない編成であることを示します(東武線ATSの機器を積んでいないためです。他には8500系の8642F、8590系および2000系も該当します)。

 8500系は、現在、田園都市線と半蔵門線、さらには東武伊勢崎線・日光線で走っていますが、デビューから44年が経過し、東急線からの引退の時期が近づいているようです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする