ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

学校タブレット故障多発問題

2023年10月31日 09時10分00秒 | デジタル・インターネット

 私もタブレット端末を愛用しています。最初はiPadAir2、次が第6世代iPad、現在は第9世代iPadです。うちで使用しているメイン機がMacBook Proであるからということも理由の一つですが、多少値段が高くとも、仕事のために持ち歩くからには高い性能を持つ機械を選ぶほうが安心であるからです。

 それだけに、昨日(2023年10月30日)の18時付で朝日新聞社のサイトに掲載された記事「故障多発の学校タブレット、2年前に変色も 新規調達は別メーカーで」(https://www.asahi.com/articles/ASRBZ5D3SRBZPTLC00H.html)を目にして、あれこれと考えをめぐらせてしまいました。

 話の舞台は徳島県です。日本で教育現場用PCの性能の低さは一部でよく指摘されていることですが、記事に書かれている内容を見る限り、低性能のタブレット端末ではないかと思われます。あるいはバッテリーの寿命なのかもしれませんが、第6世代iPadを3年8か月使用し、MacBook Airを2011年8月から2019年3月まで約7年7か月使用し、現在に至るまでMacBookを4年7か月使用している私には、性能あるいは品質の問題であるとしか考えられません。

 徳島県教育委員会は、2020年度に、県立高校などの29校について16500台のタブレット端末を一括で配備しました。およそ8億円かかっています。単純に計算すれば1台が48000円超であったということになります(実際には違うでしょうが、記事を読む限りでは当時のiPadより高かったような気もします)。そのうち、3500台以上が故障しているとのことです。機械に個体差があることは当然であるとしても、20%を超える割合で故障が発生しているというのは、個体差の問題ではなく、全体的な品質あるいは性能の問題であるとしか思えないのです。これでは「一部の授業で停滞を招いている」としてもおかしくないでしょう。

 上記記事には「故障機は全て中国の『ツーウェイ』社製で、猛暑によるバッテリーの異常が大半という。このため新規調達の際は同社製を除く方針」であるとのことです。iPadしか使用したことがない私には、ツーウェイ社製のタブレット端末がどういうものかがわかりません。ただ、Googleで検索してみると、IT media PC USERというサイトに2023年4月13日付で「総務省がCHUWI(ツーウェイ)を『行政指導』 一部モデルで認証の取得漏れなどが判明 当該機種では『5GHz帯Wi-Fi』は使わないように」(https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/2304/13/news080.html)という記事が掲載されており、「ツーウェイが日本で販売しているPCやタブレットについて、必要な認証を取得していない5GHz帯の無線LANの通信が可能だったことと、技適などの表示が紛らわしい(正しくない)状態で販売されていたこと」が紹介されています。電波法に違反するものであったという訳で、「徳島県教育委員会が学習用端末としてHi10 Xなどを配備した公立学校の児童/生徒に対して、5GHz帯の無線LAN通信を行わないように呼びかけてい」たという事実もあるようです。徳島県の学校では問題のある機械が使用し続けられていたということになり、その段階で何らかの検討を行うべきであったとは言えないでしょうか。

 しかも、いかにも教育委員会らしい話というべきか、2021年5月に徳島県立城ノ内中等教育学校で「同社製のタブレットが黒く変色し、保管庫にすすが充満して発火をうかがわせる事案があった」と、徳島県教育委員会の担当者が明らかにしたそうです(上記朝日新聞社記事によります)。さらに「消費者庁にも伝えていなかったという」おまけ付きです。非常に危険ですし、2021年5月の時点で性能や品質を検証すべきでした。徳島県知事も「公表の遅れも明らかにずさん」と認めざるをえなかったほどなのです。

 以上は、10月30日に徳島県知事によって開かれた記者会見で明らかにされたことであり、知事は「代替機を緊急調達するための費用を盛り込んだ補正予算案を編成し、県議会の11月定例会に提案する考えを示し」ました。そして、知事は「『子どもたちの教育機会を損なってはならず、対応を急がねばならない』と強調し、調達にかかる時間を優先し、端末を新たに購入するかリースするかを選ぶ方針。県議会の招集を待たずに予算措置する専決処分も検討するとした」とのことです。このような機械はリースのほうがよいのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。民間企業、私立大学などであれば購入よりリースのほうが一般的ではないかと思われるのです。

 徳島県知事は「入札、機種の選定、品質確認などこれまでの経緯を検証する。専門家や文部科学省などの協力も得て解明したい」とした上で「県主体の検証は、副知事をトップとする緊急チームで行う」という旨も述べました。当然のことでしょう。

 それにしても、このような記事を読んで、日本企業がiPadのようなタブレット端末を生み出しえなかったこと、国産の機械が選定されなかったことを嘆いてしまうのは、私だけでしょうか。

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北海道が冬季オリンピック招致に距離を置いている(?)

2023年10月30日 00時00分00秒 | 国際・政治

 少し前の話ですが、北海道知事が札幌市への冬季オリンピックの招致活動について休止を要求したそうです。2023年10月27日21時00分付で、朝日新聞社が「『立ち止まって見直しを』 鈴木直道知事、札幌五輪招致の休止を要求」(https://www.asahi.com/articles/ASRBW6QWYRBWIIPE007.html)として報じています。

 10月27日、北海道知事と札幌市長が北海道庁で会談を行いました。その場で北海道知事が冬季オリンピックおよびパラリンピックの招致活動を休止し、再考するように求めたとのことです。

 既に、今月の上旬に、札幌市は2030年の開催を断念しています。10月11日にはJOC(日本オリンピック委員会)と札幌市が連名で「今後の北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピック競技大会招致について」(https://www.city.sapporo.jp/sports/olympic/documents/kaikennkaizyouriri-su.pdf)という文書を公表しており、その中で、次のように述べています。

 「本オリンピック委員会(JOC)と札幌市は、これまで 2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会の招致を目指してまいりましたが、慎重な協議の結果、 将来の冬季大会開催の可能性を探ることに変更し、国際オリンピック委員会(IOC) との開催年次を特定しない『継続的な対話』に留まることにいたしました。」

 「2022年に東京2020大会を巡る一連の事案が発覚し、その対応として、JOCでは『大規模な国際又は国内競技大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方に関する指針』の策定にスポーツ庁と取り組むとともに、『国際競技大会運営支援プログラム』を立ち上げ、札幌市では競技運営体制の見直しやガバナンス体制の検討を行い、招致への理解促進と住民対話を進めてきました。」

 「しかし、現段階において住民の理解を十分に得ているとは言い難く、拙速に招致活動を進めることは、スポーツ及びオリンピック・パラリンピックが持つ価値そのものを損なう可能性があると、JOC が判断し、札幌市に将来の冬季大会招致への変更を提案いたしました。」

 JOC自身が2021年の東京オリンピックについて問題を認めた形になっており、実質的に失敗を認めたとも読める表現になっています。また、札幌市でオリンピック招致に反対する意見が強いことは何度となく報じられていますから、JOCが地元の様々な意見を多少とも聴こうという姿勢を示し始めたとも考えられます。ともあれ、具体的な年号を示さなくなったことにより、2030年はもとより2034年の札幌開催も無理であろうとJOCも考えているということが文書から読み取れます。

 会談で、札幌市長は2023年11月末の国際オリンピック委員会で2030年および2034年の開催地が絞り込まれる可能性があるとした上で札幌市がその対象になる可能性が低い旨を北海道知事に説明したそうです。こうなると2038年以降ということになりますが、市長は「改めて関係自治体と協議したい」という意向を示しています。これを受けてということなのか、北海道知事は招致活動の休止を求めたということなのです。

 札幌オリンピックといえば1972年に行われたものを想起される方も多いでしょう。それで、2021年の東京オリンピック、2025年の大阪万博と同じように「夢よもう一度」の具体的な取り組みなのです。札幌市と北海道が夢の再現に取り組み始めたのは2014年のことだそうで、既に9年が経過しており、さらに7年先の実現に向けて活動が行われていたことになりますが、北海道知事は2022年秋から「招致活動とは距離を置き始めた。副会長に名を連ねる招致に向けたプロモーション委員会は公務を理由に欠席。定例会見でも慎重な物言いが目立つようになっていた」とは上記朝日新聞社記事です。その記事には「道幹部も『秋元市長でなく鈴木知事が表に出て招致すればいいのにとよく言われるが、IOCと開催都市契約を結ぶのは札幌市。北海道は傍観者だ』と突き放していた」とも書かれています。オリンピックの主体は札幌市ですが、北海道が無関係であるとは言えないでしょう。実際に、2030年大会への招致断念の影響が北海道内に現れつつあります。その代表例が、意外に思われるかもしれませんが、JR北海道の函館本線の長万部駅から小樽駅までの区間の存廃問題です。北海道新幹線の延伸開業と引き換えの廃止が決定されていましたが、バス転換するにしても道内全域で運転士不足の問題が深刻で、当然、札幌市にも関係してきます。

 それにしても、世界中でオリンピックが金食い虫などとして疑問視されるようになってきています。日本でも1964年の東京と1998年の長野の後で体験したように、オリンピック閉会後に国または地域で深刻な不況に見舞われることが知られていますし、この40年ほど、とかくオリンピックには金ばかりかかるようになり、肝心の地域住民の社会生活が疎かにされがちです。2021年に東京オリンピックが開催されてから、東京はよくなったでしょうか。

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東急300系304F

2023年10月29日 00時00分00秒 | 写真

今回は世田谷線を走る300系の304Fです。緑系の色ですが玉電色の301Fと異なり、アップルグリーンという、少し薄めの緑です。

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東急300系309F

2023年10月28日 16時00分00秒 | 写真

今回は、久方ぶりに世田谷線を走る300系です。バーントオレンジという色の309Fを撮影しました。

 世田谷線の300系は全部で10編成からなりますが、編成毎に色が異なります。途中、色が変更されたりラッピングを施されたりした編成もありますが、この309Fは登場時からの色を保っています。但し、現在、側面には広告のラッピングが施されています。

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金剛自動車のバス路線のうち、10路線の運行は継続へ/奈良県生駒市でもバスの減便

2023年10月27日 00時00分00秒 | 社会・経済

 再び大阪の金剛自動車の話です。昨日(2023年10月26日)に協議会が開かれました。昨日の18時45分付で毎日放送が「運行終える『金剛バス』自治体が費用負担して『主要路線以外の一部路線』も存続が決定」(https://www.mbs.jp/news/kansainews/20231026/GE00053264.shtml)として、19時57分付で、産経新聞社が「全路線廃止の金剛バス、10路線は継続運行へ 南海、近鉄や関係自治体が継承」(https://www.iza.ne.jp/article/20231026-JD5G25ZDLBPWHJVB6Z3GRHUQ34/)として報じています。

 これらの記事によると、金剛自動車のバス路線のうち、10路線については他の事業者が継承する方向で合意がなされたということです。上記毎日放送記事には書かれていないのですが、上記産経新聞社記事のほうには「今後、関係者間の負担金などを協議し国土交通省に申請をする」とのことであり、「比較的利用の多い主要5路線は近鉄バス(東大阪市)と南海バス(堺市)のほか関係自治体が、過疎地域などで認められる『自家用有償旅客運送制度』を利用し、大型バスを運行する。全体の便数は現在より3~4割減少する見込み」であるとのことです。一方、残りの10路線はそのまま残る訳でなく、5路線のみを残すようです。詳細はわかりませんが、統廃合を行うということであり、地方自治体(おそらく、富田林市、太子町、河南町および千早赤阪村を指すのでしょう)が運行主体になるというのでしょう。上記毎日放送記事は「主要路線以外の路線について協議が続いていましたが、沿線の自治体などでつくる協議会は10月26日、一部については自治体が費用を負担して運行を続けることを決めました」と記しており、「住民の生活を守るという視点では一定の支出はやむを得ない」という松田貴仁氏(公共交通活性化協議会会長)の言葉も載せています。

 いずれの路線についても、程度の差はあれ減便が避けられません。上記毎日放送記事によれば、残りの10路線については「車両は金剛バスの路線バスを引き継ぐことなどを検討していて、運賃は変わらず、これまでの6割~7割程度の便数を補える見通しだということです」が、運賃水準をいつまで維持できるかという点も気になるところでしょう。

 ※※※※※※※※※※

 路線バスの減便は全国的な問題ですが、とくに近畿地方で目立つように思われます。これが単に私の目に付くことが多いのが近畿地方のニュースであるだけなのか、近畿地方のマスコミが積極的に報じているからなのかはわかりませんが、毎日放送のサイトには2023年10月25日19時20分付で「『バスあるから住んだのに』奈良で人口3番目の市で路線バス再編案…存続求め住民訴え」(https://www.mbs.jp/news/kansainews/20231025/GE00053228.shtml)という記事も掲載されています。

 これは、人口10万人超を抱える生駒市における路線バスの再編協議の問題についての記事です。生駒市といえば、近鉄奈良線、近鉄けいはんな線などが通り、大阪市の難波、森ノ宮などに直接行ける、さらに兵庫県尼崎市、西宮市、神戸市にも直接行ける場所ですから、路線バスの需要もありそうなものです。しかし、同市内の4路線、しかも主要駅などを連絡するバス路線を減便や廃止にするという再編案が奈良交通から提案されています。

 理由はいくつもあるのでしょうが、まずは少子高齢化でしょう。これにより、利用者はピーク時(これがいつなのかは不明です)の半分まで減ったといいます。次に、やはりCOVID-19の影響が大きかったようです。問題の4路線の赤字額は2021年度で1億200万円ほどであるそうなので、再編は避けられないということでしょう。記事には4路線について具体的なことが書かれていませんが、「あすか野団地口」というバス停が例としてあげられていることから、ニュータウンあるいは新興住宅地ではないかと考えられます。このような場所は少子高齢化の影響をまともに受けやすいのです。上記毎日放送記事によると、このバス停を通る便は平日で107とのことですが「再編されるとバス停が廃止になる可能性があります」。おそらく複数の運行系統が「あすか野団地口」を通るであろうとは言え、107便というのはかなり多いように思われますので、バス停が廃止されたら通勤通学など住民生活に少なからぬ影響が出ることでしょう。

 一方、上記毎日放送記事には、生駒市役所建設部事業計画課課長の話も載せられています。同課長は、複数の市町村に跨がるバス路線については国や県の支援があるのに対し、生駒市の場合には同市内で完結してしまう路線が非常に多く、こうした路線は国や県の支援の対象にならないという趣旨を語っていました。生駒市の財政状況にもよりますが、全路線の赤字を税収で補塡することはできないということでしょう。こうした状況であれば、滋賀県で検討された交通税の導入なども検討されなければならないかもしれません(私自身は慎重に検討すべきであるという立場をとります。仮にかつての道路特定財源のようなものであるとするならば、法律による税収の使途の限定によって財政の硬直化を招くおそれがありますし〔拙稿「地方目的税の法的課題」日税研論集46号『地方税の法的課題』(2001年、日本税務研究センター)284頁を参照してください〕、逆に一般財源とするならば交通税による収入のどの程度の割合が公共交通機関の維持・発展のために支出されるのかがわかりにくくなります。これについては消費税を想起してください。消費税法第1条第2項は「消費税の収入については、地方交付税法(昭和25年法律第211号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と定めていますが、消費税そのものは特定財源でも目的税でもないとされるため、実際に消費税の収入のうち、どの程度の割合が「制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充て」られているのか、明確にされていません。

 今回は大阪府と奈良県の話題を取り上げましたが、首都圏、とくに京浜地区でもバス路線の減便が多く取り上げられることになるであろうと容易に想像できるため、何度でも扱うこととしています。

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JR西日本の城端線と氷見線があいの風とやま鉄道に移管される さらに七尾線についても

2023年10月25日 14時30分00秒 | 社会・経済

 今回は(も?)、落語にたとえるならば枕が長くなります。

 1990年代、現在の北陸新幹線の高崎駅から長野駅までの区間が開業したことを機に、並行在来線をJRから分離する(但し、分離するか否かについてはJRグループ各社に選択権がある)という方針が政治的に決まりました。私は、これを耳にした当時から「在来線のネットワークをズタズタにしてどうするのか?」、「第三セクター鉄道に引き受けさせるとは最悪の選択ではないか?」、「一体どこまで地方公共団体に負担を押しつけようとするつもりか?」などと考えており、今も変わりません。というより、その思いは強くなっています。北陸新幹線の開業で信越本線は高崎駅から横川駅までの区間、篠ノ井駅から長野駅までの区間、直江津駅から新潟駅までの区間に分断されましたし(おまけに横川駅から軽井沢駅までの区間は廃止されました)、その関係でしなの鉄道も軽井沢駅から篠ノ井駅までの区間と長野駅から妙高高原駅までの区間とに分断されています。例えば屋代駅から北長野駅まで鉄道を利用するとなれば、しなの鉄道の屋代駅から篠ノ井駅までの運賃、JR東日本の篠ノ井駅から長野駅までの運賃、しなの鉄道の長野駅から北長野駅までの運賃が合算されることになってしまいます(実際には割引運賃の適用などもあるかもしれないなど、単純に合算される訳ではないかもしれませんが)。

 そればかりではありません。北陸新幹線の開業により、北陸本線、さらには北陸地方のJR西日本の在来線もズタズタにされ、不合理な路線網となりました。まず、北陸本線については、金沢駅から倶利伽羅駅までがIRいしかわ鉄道、倶利伽羅駅から市振駅までがあいの風とやま鉄道、市振駅から直江津駅までがえちごトキメキ鉄道日本海ひすいラインに分割されました。つまり、基本的には都道府県ごとに分割された訳です。それにもかかわらず、大糸線の南小谷駅から糸魚川駅までの区間、髙山本線の猪谷駅から富山駅までの区間、城端線の全線(高岡駅から城端駅まで)、氷見線の全線(高岡駅から氷見駅まで)、七尾線の全線(津幡駅から和倉温泉駅まで、と記しておきますが、ややこしいので後に取り上げます)はJR西日本の路線のままです。さらに、北陸新幹線の金沢駅から敦賀駅までが開業すると、北陸本線の金沢駅から大聖寺駅までの区間はIRいしかわ鉄道に、大聖寺駅から敦賀駅までの区間はハピラインふくいに移管されます。これによって北陸本線は米原駅から敦賀駅までの45.9kmという、およそ本線という名には似つかわしくない路線になってしまいますし、福井県にある越美北線(越前花堂駅から九頭竜湖駅まで)はJR西日本に残されたままとなります。

 このように見ると、大糸線はJR東日本の部分と、髙山本線はJR東海の部分と接続するものの、在来線のネットワークは分断されていることがわかります。しかも、七尾線は他のJR路線と接続しないために完全に孤立しています。同様の例としてはJR東日本の大湊線がありますが、現在のところはこの2例だけですし、2024年3月のダイヤ改正時からは越美北線も完全孤立路線に加わり、3例となります。もっとも、七尾線の列車は金沢駅から七尾駅または和倉温泉駅まで運行されますし、越美北線の列車は福井駅から九頭竜湖駅まで運行されますから、北陸新幹線に接続することにはなります。ただ、運賃はおそらく第三セクター鉄道とJR西日本の合算になるでしょうからかなり高くなるでしょう。また、七尾線と越美北線が完全孤立路線となることは、JR西日本の経営にとってもかなり非効率なものになるのではないでしょうか。

 ここから本題です。高岡駅を起点とする城端線と氷見線は、完全に孤立している訳ではないものの、他に接続するJR西日本の在来線がないことから、分断された状態にはなっています。北陸新幹線には新高岡駅があり、城端線と乗り換えることはできますが、氷見線を利用するには城端線に乗り、高岡駅に出て乗り換えなければなりません。高岡地区のこの2線がJR西日本の路線のまま残るというのも非効率であると考えるのは自然なことで、このままJR西日本の路線として残るのではなく、あいの風とやま鉄道に移管されるのではないかという話は、以前からありました(これについても後に取り上げます)。実際に、JR西日本も富山県もその方向で動いており、10月23日に、城端線および氷見線をJR西日本からあいの風とやま鉄道に移管することが(事実上)決定されました。朝日新聞社が、2023年10月24日の17時30分付で「富山のJR西2線、3セク移管へ 沿線自治体が受け入れた『条件』」(https://digital.asahi.com/articles/ASRBR7473RBRPISC00H.html)として報じています。

 富山県は、2023年7月に城端線および氷見線について再構築検討会を組織しており、この検討会には富山県知事、高岡市長、氷見市長、砺波市長、南砺市長、JR西日本金沢支社長およびあいの風とやま鉄道社長が出席していました。10月23日に第3回の再構築検討会が開かれており、移管について合意がなされました。移管の具体的な時期はこれから検討されるとのことですが、城端線と氷見線の直通化も検討課題であり、「国の『地域公共交通再構築事業』の補助を受けるため、実施計画を作る」とのことです。

 既に私は城端線および氷見線がJR西日本の路線のまま残るのが非効率であるという趣旨を書きましたが、上記朝日新聞社記事にも2020年1月に「JR西日本が、城端線・氷見線の次世代型路面電車(LRT)化などを検討するように富山県と沿線4市に提案」したと書かれています。富山ライトレールを経て富山地方鉄道の路線になった富山港線と同じような話になっています(実は、富山港線は国有化されるまで富山地方鉄道の路線でした)。JR西日本が両線についてサービス向上は難しいと判断したのも当然のことであったと思います。

 ただ、LRT化するのであれば高岡市と射水市に路線網を持つ第三セクター鉄道の万葉線に移管するという手も考えられなくはないはずである。このようにお考えの方もおられるかもしれません。しかし、現実的には無理な話です。

 第一に、城端線および氷見線は非電化路線であり、かつ、LRTなり路面電車なりが直通運転できるような構造になっていません。かつて札幌市交通局がディーゼルエンジンの車両を軌道線に走らせたことがありますから、万葉線にディーゼルカーを走らせること自体は可能でしょう。しかし、城端線および氷見線をLRT化するとなれば、両線に設けられている各駅の構造を大幅に改めなければならなくなり、莫大な費用がかかってしまいます。また、既存の駅の他に駅なり停留所なりを設けるかどうかも検討しなければならないでしょう。需要を考えると新駅や新停留所を設置する意味はないかもしれません。

 第二に、高岡駅は地上駅であって(駅舎は橋上駅であるとはいえ)高架化されていないので万葉線と城端線および氷見線との直通運転をするとなると駅を大改造しなければならなくなります。さりとて、現在の構造のままでは同じ会社なのに乗り場が違うということになって不便になります。

 第三に、万葉線の経営状態なども考慮しなければなりません。万葉線のサイトには損益に関する記事がなく、令和5年度版の鉄道要覧にもないのですが、2022年6月5日19時55分付の日本経済新聞「万葉線の22年3月期、営業赤字拡大 車両検査費増加」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC027XS0S2A600C2000000/)によると2022年3月期の単独決算で営業損益が2億1400万円の赤字、最終損益が54万円の赤字でした。2021年3月期の営業損益は1億1800万円の赤字、最終損益は466万円の赤字でしたから、補助金のおかげで最終損益は減ったものの、営業損益が拡大している点は気になります。これでは城端線および氷見線をLRT化したところで万葉線が引き受けられるとも思えませんし(出資者でもある高岡市および射水市が納得しないでしょう)、富山県全体の公共交通ネットワークという観点から見ても改善にはならないでしょう。

 第四に、万葉線の運転士などの数です。同社のサイトによれば、運行管理者が4人、運転士が19人、保守要員が8人、事業所要員が6人となっています。万葉線の全路線にとって十分な数であるかどうかは不明ですが、城端線および氷見線を引き受けるとすると増員が必要になります。電車と気動車では運転免許が異なりますし、城端線および氷見線を電化するならばそれなりに多額の費用がかかります。人と資金が十分でなければ話の意味がなくなります。

 第五に、これは小さな問題かもしれませんが、現在の万葉線の高岡軌道線と氷見線は競合しています。両線を万葉線に統合する場合には並存させる手もありますが、その場合には運行系統をどうするのかという問題も生じます。ちなみに、氷見線があいの風とやま鉄道に移管される場合でも、競合状態は続きます。

 その他に考えられうる点も合わせて、あいの風とやま鉄道に移管するということになったのでしょう。

 城端線と氷見線のLRT化については、2020年6月に富山県が「城端線・氷見線LRT化検討会」を設置しています。しかし、2023年6月、LRT化を断念するという結論が下されました。同時に「新型鉄道車両の導入方針を決定」したというのですが、これは新型の非電化路線用車両を導入するということのようです。ディーゼルエンジン車、ハイブリッド車、蓄電池電車などが考えられますが、どれになるのでしょうか。

 再構築検討会では、城端線および氷見線をJR西日本からあいの風とやま鉄道に「移管すれば、乗り換え客の料金面が改善することや、一体運営で合理的なダイヤを組め、県西部の交通ネットワークが向上するなどの意見がこれまで出ていた」とのことです。確かにその通りであるとは思います。しかし、私は、両線の直通運転よりも旧北陸本線の部分と城端線および氷見線との直通運転を行うほうが望ましいと考えています。例えば、富山駅から城端駅までの列車を運行する、あるいは富山駅から氷見駅までの列車を運行するほうが、あいの風とやま鉄道の利用者にとっても利便性が高まると思われるのです。北陸新幹線の富山駅には「かがやき」、「はくたか」および「つるぎ」の全列車が停車しますが、新高岡駅に停車する「かがやき」は非常に少ないので、とくに氷見線については富山駅からの直通列車が運行されるほうが沿線自治体の住民にとっても望ましいはずですし、能登半島東部の観光にも貢献することでしょう。

 JR西日本が移管に積極的であったのは当然として、あいの風とやま鉄道も移管には前向きであったようです。ただ、あいの風とやま鉄道は5つの前提条件を掲げていました。上記朝日新聞社記事を引用させていただきますと「①同社の現路線との経理を分離」、「②運転士や技術系要員を確保するため、JR社員の一定期間出向」、「③移管前にレールやまくら木、分岐器などの再整備」、「④券売機の整備のための財源確保」、「⑤両線を直通化するなら、JRの全面的な支援」です。①については「赤字も見込まれる城端線・氷見線の移管では、経理を別にしたうえで赤字補塡の保証を求めた」とのことですが、両線の直通運転のみにこだわっているとすれば疑問が残るところではあります。先に記したように、富山駅からの直通運転を行うほうがよいと考えるからです。今は需要がないと言われるかもしれませんが、需要は作るものでもあります。首都圏の総合直通運転の拡大をみれば明らかでしょう。富山市の軌道線の例もあります。ともあれ、再構築検討会において「大枠が了承され、ハードルを越えた」とのことです。なお、あいの風とやま鉄道は「2022年度決算で1100万円の黒字を純利益で計上しているが、営業損益は2億3200万円の赤字」で「県の経営安定基金や燃料高騰対策の補助で最終黒字を確保した形」であるとのことであり、「さらに現路線には経営安定基金があるが、移管後も安定するように、行政がどう関わるかなども課題だ」とされています。

 JR西日本が発表している「区間別平均通過人員および旅客運輸収入(2022年度)」によると、城端線の平均通過人員は2,481、同線の旅客運輸収入は2億4,800万円です。また、氷見線の平均通過人員は2,157で、同線の旅客運輸収入は1億4,000万円です。これだけでは営業係数などがわかりませんが、平均通過人員はいずれの路線で1987年度に比して半減というところです。あいの風とやま鉄道に移管されて平均通過人員および旅客運輸収入が増加するかどうかはわかりませんが、先に私が記したように、富山駅への直通運転を行うことによって改善の可能性は高くなるのではないでしょうか。城端線と氷見線との直通運転で話を終わらせるのではなく、旧北陸本線の部分との直通運転という形であいの風とやま鉄道の路線網全体を見渡してのダイヤ編成を行うことこそが、公共交通機関の維持・発展にむけて努力していると評価される(富山ライトレールの事例をみると公共交通機関の維持・発展について自己評価をしている)富山県らしい動きであると考えられます。

 但し、城端線および氷見線があいの風とやま鉄道の路線となれば、富山県でJR西日本の在来線は髙山本線のみとなります。富山駅で北陸新幹線と接続し、猪谷駅でJR東海が管轄する髙山本線と接続するとはいえ、JR西日本の在来線としては孤立します。いっそう、髙山本線を全てJR東海の路線とするほうがスッキリすると思うのですが、いかがでしょうか。

 さて、先程から保留状態になっている七尾線に話を移しましょう。実は、上記朝日新聞社記事を読んですぐに頭に浮かんだのが、城端線でも氷見線でもなく、現在のJR西日本の路線網で完全に孤立している七尾線であったのです。

 「隣同士の県なのに、こうも違うのか!」と思われされることは多々あります。公共交通機関に絞るならば、富山県と石川県はまさにその代表的な例でしょう。1989年、学部生であった私は富山県と石川県の双方を訪れましたが、公共交通機関による移動という点で富山県のほうが便利であると実感しました。とくに金沢市の場合、観光資源には恵まれているのに公共交通機関が貧弱で、金沢駅周辺以外は不便であることに驚かされました。金沢市の中心街である香林坊にはバスで行けますが、地元の人間であればともあれ、土地勘もないような者に複雑な路線バス網は厳しいものです。路面電車を使えば多くの観光地をまわることができる長崎市のような場所であれば、金沢市の観光地としての価値はさらに上昇していたことでしょう。

 富山県は、城端線と氷見線についての動きの他、現在は富山地方鉄道の路線となっている富山港線という好例が示すように、公共交通機関の維持に積極的です。先に記したように、富山港線は富山地方鉄道の路線であったものが国有化され、国鉄の路線となっていました。国鉄分割民営化によってJR西日本の路線となりましたが、赤字を抱え、運行本数も減らされていました。同線のLRT化は、実のところ、岡山県の吉備線とともにJR西日本が提案した話であるそうですが、富山港線については廃止の可能性も高く、それならば富山市が中心となって第三セクター鉄道として引き受けようということになり、富山ライトレールが誕生した訳です。富山市または当時の富山市長が自己評価するように成功であったのかどうかはわかりませんが、沿線の利便性が高まったことは事実でしょう。そして、2020年に富山ライトレールが富山地方鉄道に吸収合併されてから、富山港線は既存の富山地方鉄道富山軌道線と直通運転を行うようになり、利便性はさらに向上しています。富山地方鉄道も決して経営が楽な状態ではないと思うのですが、笹津線、射水線などを廃止したとはいえ、本線、立山線などの路線を維持しています。

 これに対し、隣の石川県は、公共交通機関の維持についてどのような姿勢を見せているのでしょうか。

 正直なところ、よくわかりません。富山市には現在も路面電車が走っており、富山港線との直通運転も行っているほどなのですが、金沢市には路面電車がありません。正確に記せば、北陸鉄道金沢市内線が1967年に全廃されてから、路面電車がないのです。それだけでなく、石川県のあちらこちらにあった北陸鉄道の鉄道路線は次々に廃止されており、現在では石川線と浅野川線しかありません。両線は接続していませんし、中心街を通りません。こうした状況において、石川県が公共交通機関の維持についてどのように取り組もうとしているのか、わからない部分もあるのです。

 城端線および氷見線がJR西日本からあいの風とやま鉄道に移管されるとなれば、北陸新幹線の敦賀延伸後には唯一のJR西日本の路線となる七尾線がどうなるのかは、非常に気になるところです。

 七尾線は、様々な意味において特徴がある路線でもあり、或る意味で厄介な路線でもあります(沿線の皆様にはお詫びを申し上げます)。

 第一に、七尾線は、北陸地方にあるJR西日本の在来線では唯一の直流電化路線です(かつては富山港線もそうでしたが)。直通先のIRいしかわ鉄道の路線は交流電化されていますし、起点の津幡駅の構内も交流電化されていますので、電車は交直流電車です。

 第二に、七尾線は、元々、津幡駅から輪島駅までの区間の路線でしたが、1991年に津幡駅から和倉温泉駅までの区間が直流電化された際に同区間がJR西日本の路線として残り、和倉温泉駅から輪島駅までの区間はのと鉄道七尾線になりました(2001年に穴水駅から輪島駅までの区間が廃止されました)。但し、のと鉄道七尾線の起点は七尾駅であるため、七尾駅から和倉温泉駅までの区間はJR西日本とのと鉄道との共同運行区間ということになります。鉄道事業法による事業者の区別によると、次の通りとなります。

 津幡駅〜七尾駅:JR西日本が第一種鉄道事業者。

 七尾駅〜和倉温泉駅:JR西日本が第一種鉄道事業者、のと鉄道が第二種鉄道事業者。

 第三に、のと鉄道七尾線の線路などの施設もJR西日本が保有しています。のと鉄道七尾線は、現在、七尾駅から穴水駅までの路線ですが、七尾駅〜和倉温泉駅については既に記した通りであり、残りの和倉温泉駅〜穴水駅についてはJR西日本が第三種鉄道事業者、のと鉄道が第二種鉄道事業者であるということになります。つまり、JR西日本が施設を保有しているという点で見るならば七尾線は津幡駅から穴水駅までの区間の路線であり、のと鉄道はJR西日本から線路施設を借りるような形で列車を走らせていることとなります。ちなみに、2005年に廃止された能登線についてはのと鉄道が第一種鉄道事業者でした。

 2022年度における七尾線の平均通過人員は3,428であり、城端線および氷見線よりは高い値を示しています(とはいえ、1987年度と比べれば低い数字です)。それでも、1980年代の国鉄改革で打ち出された基準に照らせば第3次特定地方交通線の水準であり、今後も平均通過人員の低下は続くと予想されます。

 現在のところ、JR西日本は七尾線について何の言及も行っていないようです。北陸新幹線の敦賀延伸によって七尾線が石川県で唯一のJR西日本の路線となるとしても、IRいしかわ鉄道の金沢駅からの直通運転は続けられると考えられますし、それが石川県の意思でもあるのであろうと推測できます。それで上手くいくのであれば、私が何かを書くべきことでもありません。

 ただ、今後、七尾線の平均通過人員が低下し続け、JR西日本からIRいしかわ鉄道、のと鉄道のいずれかに移管することも、考えておかなければならない未来でしょう。のと鉄道七尾線の線路施設などもJR西日本が保有していることからすれば、城端線および氷見線とは比較にならないほど複雑な問題ですが、JR西日本の経営効率を考えるならば、七尾線の将来は今から検討しておくべき課題であると言えます。

 北陸新幹線の敦賀延伸によってもう一つの孤立路線になる越美北線についても、JR西日本がどのような姿勢を見せるのかが注目されるところですが、現在のところはよくわかりません。ただ、越美北線の平均通過人員は2022年度で318と低く、ハピラインふくいへの移管どころか廃止の可能性すらあります。この路線の1987年度の平均通過人員は772でしたので、1980年代に特定地方交通線に指定されてもおかしくなかったのです。実際、1968年9月には赤字83線の一つともなっています。国鉄改革の際には第二次特定地方交通線に指定される可能性もあったのですが、代替輸送道路が冬期の積雪で1年につき10日以上も通行不能となることから存続となったという経緯があります。福井県、福井市および大野市が越美北線についてどのような姿勢を見せるのかが気になるところです。

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多摩都市モノレールに付けられた多摩130周年

2023年10月25日 00時00分00秒 | 写真

多摩都市モノレールの多摩センター駅です。1111Fに付けられたヘッドマークが気になりました。

 「多摩130th since 1893」というヘッドマークが付けられていました。多摩市が市制施行した日から130年が経っている訳がないので、どういう意味かと考えました。

 130周年というのは、多摩地域の30市町村(現在の数です)が神奈川県から東京府(東京都)に移管されてから130周年であるという意味でした。

 この辺りについては、廃藩置県に遡ってみる必要があります。話が複雑になりますが、これは仕方のないことでしょう。

 1867年、府藩県三治制が行われた際に、多摩郡は神奈川県の他、品川県、韮山県に分割されました。1871年には廃藩置県が行われ、多摩郡のうち、現在の中野区および杉並区に該当する地域は東京府に移されますが、その他の地域は神奈川県に移されます(その後の歴史も含めて、実際はもう少し複雑であるようですが、簡略化しています)。その後に郡が設置されて、北多摩郡、西多摩郡および南多摩郡は神奈川県に、東多摩郡は東京都となりました。ここまでは「多摩東京移管130周年!」(https://www.tama-100.or.jp/cmsfiles/contents/0000001/1233/No116(2023.05)2-3.pdf)によりますが、その文書に書かれていない神奈川県側の事情もあるようで、一説には神奈川県のほうが県内の政治状況もあって多摩郡の東京府への移管に積極的であったとか。ともあれ、1893年、衆議院に東京府と神奈川県の境域変更に関する政府案が提出され、衆議院および貴族院を通過して北多摩郡、西多摩郡および南多摩郡は神奈川県から東京府へ移管されます。東京府にとっては、東京市の水道改良事業のために多摩地域の編入が必要であったということのようです。

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かなり気になる ほぼ毎日だから

2023年10月24日 07時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 私は、仕事の関係もあって東急田園都市線、東京メトロ半蔵門線、東京メトロ副都心線および都営三田線をよく利用します。

 そのため、iPhone12には東急線アプリの他、東京メトロmy!、都営交通というアプリを入れています。

 これらのうち、東急線アプリと東京メトロmy!は、東急の各線、東京メトロの各線で遅延などが発生した場合にお知らせをしてくれます。東急の場合には臨時列車の運行なども知らせてくれます。ありがたい機能ではあるのですが、最近、非常に気になることがあります。

 東京メトロ副都心線の一部の電車が遅延しているという趣旨のお知らせが非常に多いのです。ほぼ毎日、しかも複数回、お知らせが着くのです。

 しかし、アプリを開いてみると平常運行という表示が出ることのほうが多く、事故や車両故障が原因ではないようだ、遅延と言っても1分か2分程度だろう、などとわかります。

 副都心線は、よほど定時運行が難しい路線なのだろうか、などという思いが浮かびます。

 考えてみれば、副都心線は短い割にかなり複雑な路線です。渋谷駅から東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線と直通しますし、今年に入ってから東急新横浜線・相鉄新横浜線・相鉄本線・相鉄いずみ野線への直通運転も行われています。小竹向原駅では東京メトロ有楽町線と合流しますし(池袋駅から小竹向原駅までは路線別の複々線になっているため)、その小竹向原駅から西武有楽町線・西武池袋線への直通運転が行われているだけでなく、和光市駅まで副都心線の系統と有楽町線の系統が同じ線路の上を走ります。そして和光市駅から東武東上線への直通運転が行われています。いくつもの運行系統が同じ線路を通る訳ですから、定時運行は絶妙なバランスなり技なりの結果であるということくらいは、ダイヤについて詳しくない私でもわかります。副都心線のB線(渋谷駅→小竹向原駅)に乗ると、時間帯によって、小竹向原駅に到着する前に何分か止まってしまうことを経験された方も多いことでしょう。

 

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二子玉川駅(DT07、OM15)にてTOQ iを

2023年10月22日 00時00分00秒 | 写真

このブログで、何度か総合検測車の東急7500系、通称TOQi(トークアイ)を取り上げました。久々に見ることができたので、二子玉川駅で撮影しました。

今回もサヤ7590を挟んでいません。何らかの計測を行っていた可能性もありますが、詳細は不明です。

 総合検測車は旅客用車両ではないのですが、このTOQiというネーミングは公募の上で決定されました。非常に珍しい例ではないでしょうか。また、事業用車は旅客用車両の改造によることが多いのですが、TOQiが新造車であることは「長津田駅(DT22、KD01)にてTOQ iを」において記しました。

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東京都交通局5500形5524F

2023年10月21日 00時00分00秒 | 写真

2018年から都営浅草線に5500形が走っていますが、どういう訳か今年(2023年)になるまで乗ったことがなく、見たこともあまりなかったのでした。

 鉄道車両のスタイルにも流行があるのかどうかわかりませんが、京王5000系や東急2020系・6020系・3020系などと似ています。それも当然かもしれません。東京都交通局5500形を製造したのは総合車両製作所横浜事業所、かつての東急車輌製造の横浜製作所です。京王5000系を製造したのも総合車輌製作所、東急2020系・6020系・3020系を製造したのも言わずもがなの総合車両製作所なのです。

 東京で、そればかりか全国で最初に他の鉄道会社の路線との相互直通運転を開始したのが都営浅草線(都市交通審議会が付けた番号によれば1号線)です。利用客も多く、泉岳寺駅から押上駅までの区間には京成電鉄、京浜急行電鉄などの車両も走り、賑やかです。最近では東京の地下鉄でもワンマン運転化が進んでおり、都営地下鉄では三田線と大江戸線でワンマン運転が行われていますが、浅草線と新宿線には車掌が乗務しています。

 ちなみに、東京の地下鉄で千代田区を通らないのが、この都営浅草線と都営大江戸線、そして東京メトロ副都心線です。副都心線の場合は起点および終点からして当然と言えますが(ついでに記すと港区や文京区なども通りません)、浅草線および大江戸線の場合は千代田区の近くを通るものの、千代田区に路線は敷かれていません。このように記すと「大江戸線の飯田橋駅はどうなんだ?」と尋ねられるかもしれないのですが、飯田橋駅の所在地は複雑で、JR東日本の駅は千代田区、東京メトロの駅は新宿区、大江戸線の駅は文京区にあるのです。そして、文京区にはJRの駅がありません。山手線が文京区を通るのですが、それは巣鴨駅と駒込駅との間で、距離としても僅かなものです。

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